7月のシネマ塾レポート「流れる」

ミュージアムを舞台にした毎月第3土曜日

午後のトークイベント「北のシネマ塾」。

今月7/15は、「流れる」(1956年、成瀬巳喜男監督)

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をテーマに、安倍雄也理事が話しました。

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芸者の置屋を舞台にしたこの作品。

女主人・つた奴(山田五十鈴)の娘を演じる

高峰秀子さんだけ洋服を着ていることに注目し、

監督の意図などを解説。

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「個人的には、特に杉村春子さんが強烈!

大女優・栗島すみ子さん、田中絹代さん、

色気のある山田五十鈴さん…と、女優さんの演技合戦が

楽しめる凄い作品だと感じました」と熱弁を振るいました。

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原作を読んだ感想を交え、映画との差異の楽しみ方や、

同じく芸者世界を描いた作品、

お手伝いさんが主人公の作品なども紹介。

お客様からも感想や意見が飛び出し、

楽しいひとときとなりました。

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ご参加くださった方々、ありがとうございます!

さて次回は、8/19(土)午後2時から、

取り上げる作品は「遠い雲」です。

遠い雲

トーク担当は高村賢治副館長。

どうぞお楽しみに!

8/11(金)札幌で「彷徨える河」上映会

コロンビア史上初のアカデミー賞外国語映画賞

にノミネートされた「彷徨える河」の

上映会が、8/11(金)午後2時から、

札幌市教育文化会館で開催されます!

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アマゾンのジャングルに生きる先住民族と

そこに救いを求めてやってきたドイツ人民族学者…。

実在した2人の白人探検家の手記に触発されて誕生した

マジックリアリズムに彩られた物語だそうです。

コロンビアの先住民族を取材する

フォトジャーナリスト・柴田大輔さんのトークあり。

会場では、柴田さんの写真展も行うよう。

予約800円、当日1000円。

お問い合わせは、さっぽろ市民シネマ

(080‐3294‐5598、午後1~7時)まで。

最新の会報34号が完成!

お待たせしました!

会報34号が完成しました。

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今回は初の試みとして、

会員の方からの寄稿エッセーを掲載。

また、北海道テレビ方法の樋泉実社長インタビューや

北海道ロケ最新情報など、オリジナル情報盛りだくさんです。

必読は冒頭、関正喜さんによる寄稿「小林正樹の愛したふるさと」。

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元北海道新聞記者の関さんは、

9月2日(土)の6周年記念上映会に

ゲストとして登場予定です。

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ぜひ当日のゲストトークと併せてお楽しみください。

※会報は、会員のみなさま、お世話になった方々へ送付しています。

館内で閲覧できますので、スタッフまでお申し出ください。

川本三郎さんの「『男はつらいよ』を旅する」が出版されました

「北の映像ミュージアム」の活動に力を貸してくれている、評論家の川本三郎さんの新しい本「『男はつらいよ』を旅する」が新潮社から出ました。タイトル通り、旅好きな川本さんが、渥美清演じる寅さんがシリーズ全48作で訪れた全国の町を歩きます。

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北海道では、寅さんが浅丘ルリ子のリリーと初めて出会う第11作「寅次郎忘れな草」の網走、三船敏郎と淡路恵子が貫禄を見せた第38作「知床慕情」の斜里町ウトロ、伊藤蘭主演の第26作「寅次郎かもめ歌」の奥尻島、リリーと再会する第15作「寅次郎相合い傘」の小樽、蒸気機関車が重要な役割で登場する第5作「望郷篇」の函館本線小沢駅などを訪れます。

網走では「寅が商売を始める場面で画面に映っていたレコード店はもうない」と寂しい情景を描写する一方、地元にできた東京農大の女子学生が実習で知り合った農家の息子と結婚するという話を聞き、「話半分にしても漁業や農業に活気があるのはいいことだ」と地方に温かい目を注ぎます。「知床慕情」では、同じ山田洋次監督の「遙かなる山の呼び声」と同様、離農という厳しい現実も描かれている、とあります。小樽では「寅次郎相合い傘」の船越英二のかつての恋人(演じるのは函館出身の岩崎加根子)が営む喫茶店を探し、「この喫茶店は現在はないが画面に映っていた歯科医院が健在で、それを手がかりに場所を探し出すことが出来た」と熱心な探訪の様子を記しています。
松竹による「男はつらいよ」ロケーション一覧はこちら

印象的なシーンの画像も掲載されています。

古い町並みや失われた鉄道が数多く登場する「男はつらいよ」シリーズについて、川本さんは「はじめから古い町を舞台にしているから何年経っても古くならない。繰返しに耐えられる。新しい風俗を描いた映画が、時間とともに古くなってしまうのに対し、『男はつらいよ』は新しさを求めないから長く、長く残ってゆく」と書きます。北海道南西沖地震で失われた奥尻島青苗の街並みが映し出される「寅次郎かもめ歌」では「日本各地でロケされた『男はつらいよ』はいまではその町の歴史になっている」と書かれています。

驚くのは、どこを訪れても、川本さんが「男はつらいよ」のことで、と地元の人に尋ねると、みんなが笑顔でロケ当時のことや、ロケ地(またはロケ地跡)のことを教えてくれること。また、小さな場面のロケ地にも案内板があることなどは、「男はつらいよ」シリーズや寅さんが、いかにたくさんのひとに愛されていたかを示しています。「ロケ地の人々にとって、『男はつらいよ』はいまも大事に記憶されている」と、川本さんは書いています。

出版を記念して6月29日に東京・神保町の三省堂書店で行われたトークイベントで川本さんは、ゲストで帝釈天の寺男の源公を演じた佐藤蛾次郎さんに「奥尻島で会ったタクシーの運転手さんは蛾次郎さんにそっくりで、雑誌連載ではそう書いたけど、運転手さんに悪いかなと思って本にするときは削りました」と話し、会場の笑いを誘いました。トークの会場には、川本さんが女優のインタビュー集「君美わしく」でインタビューした、元祖グラマー女優、前田通子さんが聴衆としていらっしゃいました。「女真珠王」のグラマー女優も、和服の似合う白髪の上品な老婦人になっていました。もちろん今もお綺麗でした。新東宝映画の本にサインしてもらうと、本人曰く「50年ぶりくらいだから」と、サインはちょっと震えていました。余計な話ですみません。

image1(理事・加藤敦)

「心に吹く風」の撮影秘話を、高間賢治カメラマンが語りました

美瑛などで撮影されたユン・ソクホ監督の「心に吹く風」が東京でも公開され、1日には、高間賢治撮影監督のトークが新宿武蔵野館で行われました。「心に吹く風」のホームページはこちら

高間撮影監督は、三谷幸喜監督の「ラヂオの時間」「みんなのいえ」、中江裕司監督の「ナビィの恋」「ホテル・ハイビスカス」をはじめ、2008年の日本映画ベスト1(個人の感想です)の金子修介監督「プライド」、増毛ロケの小林政広監督「春との旅」、札幌ロケの喜多一郎監督「鏡の中の笑顔たち」などを手がけたベテランです。

高間撮影監督は「映画のテーマは『偶然』、画面の中で風をどう表現するかがポイントでした」と述べ、撮影中は毎日、ユン・ソクホ監督が風の様子を見ながら撮影スケジュールをどんどん変えていったというエピソードを紹介し、「スケジュールを立てる助監督は大変だったと思うけど、僕らはいい条件で撮影したいので、監督に代わりに言ってもらえてありがたかった」。

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トークショーで「心に吹く風」の撮影秘話を披露する、高間賢治カメラマン

ユン監督の映像へのこだわりぶりも紹介し、一例として、さびたトタンがさまざまな色に変わった倉庫の壁に雨粒が落ちてくる印象的な場面を、「あれはユン監督が自分で撮影した映像があって、それをもとに同様のイメージで作ったもの」と明かしました。また、ユン監督はロケ地周辺をとても詳しく調べていて、「ロケハンに行くと、監督が道順を指示し、僕らが教えられていたくらい」。さらに、出演者の一人とさえ言える米国製のピックアップトラックのフロントガラスの映り込みにも、ユン監督はこだわりを見せ、「ガラスがきれいだと映り込みは出ないので、撮影後の処理でよく出るようにしました」と苦心の一端を紹介してくれました。

美瑛町や富良野市、東神楽町での撮影は3週間ほど行われ、監督やキャストはホテルに泊まり、スタッフは日帰り温泉施設の休憩室を借りて寝泊まりしたそうです。「撮影中は毎日朝からふろに入ってました。やっぱり温泉はいいですね」。

高間撮影監督は「映画の撮影はこうでなければならない、というカメラマンもいるけれど、僕はCMはドキュメンタリーもやってきたし、三谷幸喜さんや椎名誠さんといった異業種の監督との仕事も多いので柔軟に考えることができる方です。今回も監督のイメージした絵が撮れていれば満足です」と話し、職人としての一端を見せてくれました。北海道の美しい風景がとらえられた映画も、こうしたスタッフのすぐれた仕事があればこそ、と言えます。(理事。加藤敦)