札幌出身の脚本家・長谷川康夫さんの「つかこうへい正伝 1968ー1982」が第38回講談社ノンフィクション賞に決まり、9月15日、東京・如水会館で贈呈式が行われました。「つかこうへい正伝」は第35回新田次郎文学賞も受賞しています。
長谷川康夫さんは1953年生まれ。早稲田大学在学中に劇団「暫」に入り、つかこうへいさんと出会いました。一連のつか作品に出演し、82年に「劇団つかこうへい事務所」が解散した後は劇作家、演出家に転身。92年からは映画に仕事の中心を移し、「亡国のイージス」「聯合艦隊司令長官 山本五十六」など数多くの脚本を手がけています。
贈呈式で長谷川さんは「つかさんが生きていたら、『誰のおかげでそこに立っていられるんだ』と言うと思いますが、生きていたらこの本はありませんでした。でも、つかさんは口ではそう言っても、自分が話題になることが好きなので喜んでくれると思います」とあいさつし、会場を沸かせました。
講談社が「会場で撮った写真はネットに上げないで」とのことで、贈呈式で配られた要項から、長谷川康夫さんの近影と受賞のことば、その拡大版です。
さまざまな映画の脚本を手がけている長谷川さんですが、特に旭川出身のプロデューサー小滝翔平さんの企画、篠原哲雄監督のメガホンでは群像劇の傑作「深呼吸の必要」をはじめ、数多くの作品を生み出しています。この3人のことを勝手にゴールデントライアングルと呼んでいます。音楽の小林武史さんを加えると、ゴールデンスクエアで、4人による作品は「深呼吸の必要」のほか、近作に桜木紫乃さんの原作、釧路ロケの「起終点駅 ターミナル」があります。この映画のラストが原作とは少し異なっていることについて尋ねると、「桜木さんの了解も得て、見る人にハッピーエンドと感じてもらえるようにしました。ただ、原作にははっきり描かれていないだけで、映画ではそれを見える形にしました」と教えてくれました。作り手の話を聞くと、あらためて見たくなりますね。(理事・加藤敦)