毎月第3土曜日の午後、
映画をテーマにした〝昼下がりトーク〟を楽しむ
ミュージアムのミニイベント「北のシネマ塾」。
5/20(土)は、企画展のテーマ
「映画の女神、今ふたたび。女優・高峰秀子」に関連し、
「女が階段を上る時」(成瀬巳喜男監督)を取り上げました。

さすが銀幕の大スターだけあって
毎回多くの方にお越しいただいておりますが、
この日は2017年前期最多の30人以上がご来場!

ありがとうございます!
「成瀬作品の中でもこの作品が一番好き」という
和田由美理事のトークにも熱が入りました。

和田理事は、『鰯雲』『稲妻』と並んで
〝自立する女〟を描いた成瀬作品のひとつと説明。
「驚くのは、ここまで女を描いた脚本家が
菊島隆三という男性だということ!」と話し、
「誰にも頼らず、ラストシーンでは自分で階段を上っていく。
自立する女性像を、1960年に描いたことが凄い」と語りました。

そして、この作品の魅力のひとつに
「セット・美術の素晴らしさ」があるとし、
高峰秀子演じる雇われママの働く銀座、アパートのある青山、
実家のある下町の界隈性の見事さを力説。

また、男・女のタイプがよく描かれている点を挙げ、
森雅之、加東大介ら客の男や、
高峰、淡路恵子、団令子ら銀座の女の設定の妙を紹介。
団の仕草など、細やかな点まで行き届く演出にも注目し、
成瀬監督が〝やるせなきお〟と呼ばれた所以を
ユーモラスに解説しました。

さらに、セリフに登場する細かい金銭感覚や
今川焼などの小道具にも触れ、
ディティールを味わう映画の楽しみ方も紹介。
「古い映画は、風俗を含めて入りきれず、残念な作品もある中、
ディティールまで古びないのが、名作の凄さ!
これが一流の人たちによる名画」と絶賛しました。

最後に、高峰秀子の名女優ぶりに触れ、
「悲しいときや嬉しいとき、
少女のように恋をする表情を見ると、
並みの人でないことがわかる。
子役から女優に大成した例は世界でも稀。
そんな女優さんが函館出身であることを
ぜひ覚えていてほしい」と訴えました。

お客様からも「衣装は高峰さんが担当したの?」
「学生の時に見て、高峰さんの清潔さ、女らしさが印象的だった」
など質問や感想が飛び出し、楽しいひとときとなりました。
ご参加くださった方々、改めてありがとうございました。
次回のシネマ塾は
6/17(土)、テーマは「乱れる」(成瀬巳喜男監督)。
トーク担当は高村賢治副館長です。
どうぞお楽しみに!
