小栗康平監督が「伽倻子のために」について語りました。

東京・飯田橋のギンレイホールで秋の特集上映「神楽坂映画祭2016  新潮社から生まれた名作映画たち」が22日から28日まで行われ、初日は北海道ロケ作品「伽倻子のために」(1984年)の上映と小栗康平監督のトークなどが行われました。

「伽倻子のために」は、樺太生まれで札幌育ちの作家、李恢成さんの小説の映画化作品で、小栗監督としては「泥の河」に続く2作目です。オーディションで選んだ主演の二人について小栗監督は「男の子はぜひ在日から選びたいと、札幌から大阪までオーディションを行なった。呉昇一さんは当時すでに32歳だったが、目がきれい。(当時短大生だった)南果歩については、こういう役だからぜひ新人で、と思いました」と話しました。

さらに「『泥の河』は原作のストーリテリングの巧みさに乗った映画でしたが、『伽倻子のために』では映画独自の語り方があるのでは、と考えた」と話しました。説明がほとんどなく、当時「わかりにくい」という批評が多かったことについて、「映画はひたすら存在を見つめるしかない。画像を自分はどう見ているのか、作り手のうろたえ、軌跡をたどれるという共有関係が映画だと思います。舗装された高速道路のようなハリウッド映画とは違い、みんなが同じ理解でなく、それぞれの内的な何かで繋がる映画もあります」と述べて、自らの映画観を披露してくれました。

「伽倻子のために」が上映されたギンレイホール。観客が列を作りました。小栗監督のトークは撮影不可だったので、写真はこれで

「伽倻子のために」が上映されたギンレイホール。観客が列を作りました。小栗監督のトークは撮影不可だったので、写真はこれで

「伽倻子のために」については以下のとおり。(ギンレイホールの解説から)。
また、「伽倻子のために」など小栗監督の一連の作品は、豪華な解説のついたDVDのシリーズ「小栗康平コレクション」が順次発売中です。(理事・加藤敦)

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