「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」に続く、大泉洋さん主演の〝北海道映画〟シリーズ第3弾!
映画「そらのレストラン」が1月25日(金)に公開となります。
日本海に面した道南のまち・せたなにある海の見える牧場で、放牧酪農とチーズ作りに励む「亘理(わたる)」。彼を優しく見守る家族や、志高く農業に取り組む仲間たちとの絆の物語です。
深川栄洋監督、出演の大泉洋さん、本上まなみさんによる札幌・マスコミ合同取材会に、北の映像ミュージアムも潜入!

映画を観る前でも、観た後でも楽しめる笑いたっぷりのトーク内容をご紹介します。
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質問/映画の冒頭、大泉洋さんと本上まなみさんが夫婦になるまでの展開が印象的でした。本上さんは、「こと絵」という役を、どう想像して演じられたのでしょうか。

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
本上まなみさん(以下、本上さん)/最初に脚本を読ませていただいたとき、確かに「こと絵」はミステリアスに登場すると感じました。ただ、その後の描き方から読み解くと、会社勤めをしている都会の家庭とは違う環境にあり、強い結びつきがあって成り立っている家族なのだと理解しました。「こと絵」は穏やかで優しい女性ですが、しっかりした芯を根底に持ち、そこが家族を支える大きな役割を担っているのだと思います。
質問/監督に、夫婦のシーンを詳しく描かなかった理由を教えてください。
深川栄洋監督(以下、監督)/僕も最初、「いつ、彼女のサスペンダーは弾かれるんだろう」と考えながら脚本を読みました。ただ、この映画は、せたなで肩を寄せ合う男たちの友情を描くことが中心にあり、最後までこと絵さんの〝謎〟は明かされません。それが、映画を見慣れた自分には新鮮でしたし、脚本から与えられた大きな課題のように受け止めました。ですから、こと絵さんに対する観客の緊張感、集中力を利用しながら演出してみました。普通の映画とは少し違う、そんな〝仕掛け〟を楽しんでいただければと思います。

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
大泉洋さん(以下、大泉さん)/補足させていただきますと、私も初めて脚本を読んだとき、プロデューサーに、突然奥さんがくるって唐突過ぎやしないかと聞いたんです。するとプロデューサーが、ほとんど本当なんだと答えたんです。この作品は、実際にせたなで安心・安全な食のあり方を提唱する「やまの会」という自然派農民ユニットの方々の関係性を映画化していて、登場人物にはそれぞれモデルがいます。僕の「亘理」という役は、村上牧場の村上健吾さんという方。そして奥様というのは、本当に「海の見える牧場で働きたい」って言って応募してきて、「じゃあ」って面接して、結婚しちゃったらしいんです(笑)。それを聞き、本当の話なんだと納得しました(笑)。

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
ちなみに、宇宙人の話についても、「なんでこんな突飛なエピソード盛り込むんだ」と驚かれる方もいるかもしれません。…が、これも本当で、実際にせたなで羊を育てている男性がUFOを見てるらしいんです。ちょっと不思議な映画だなと思う方もいるかもしれませんが、それは「変わった世界観を作ろう」「ファンタジックにしよう」ということではなく、実際のエピソードに基づいているんです。
質問/特に男性陣のキャストの方々の〝仲間感〟がスクリーンから伝わりました。ロケは合宿状態で仲良くなられたとお聞きしましたが、何か面白いエピソードがあれば教えてください。

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
大泉洋さん(以下、大泉さん)/(ポスターを見ながら)岡田将生くん、マキタスポーツさん、高橋努さん、石崎ひゅーいくんの4人、あと、安藤玉恵さんにしても、皆さん楽しい方ばかりですからね。本当に仲のいい現場で楽しかったです。そこにきて何が楽しかったかというと、せたなにはキャストやスタッフ全員が泊まれる宿泊施設がなくて、周辺の街に分かれたんです。私は出番が多いので、現場に近いせたな町にしていただきました。でもほかの男性陣は、歓楽街も近い八雲を選んだんです。八雲は、現場まで車で1時間くらいかかるんです。ですから、たとえば出番に多少時間の差があっても、全員一緒の車に乗って来るんですね。すると時間が空くので、彼らは台本の読み合わせを始めていたんです。それで僕たちが現場入りしたときには、まるで劇団のような〝結束〟ができていて、僕は「劇団八雲」と名付けました(笑)。〝八雲さん〟の結束ったら、なかったですよね。
本上さん/(笑)ええ、とっても。
大泉さん/座長は当然、マキタスポーツさんです(笑)。「将生、稽古するぞ!セリフ大丈夫だろうな!」「大丈夫です!」みたいなやりとりが交わされていましたね(笑)。でもやっぱり八雲が現場から少し遠かったのか、途中で彼らはせたなの「あわび山荘」に移ったので、劇団名は「あわび」に変わりましたけれど(笑)。だからある意味、私と本上さんは劇団の客演状態でしたね(笑)。

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
質問/せなたの印象はいかがでしたか?
大泉さん/「お店が少ないので食べ物は期待しないでください」と事前に言われていましたが、行ってみたら食材が美味しくて。地元の海苔で作っていただいたおにぎり、もちろん魚介類もおいしかったです。あとは、モデルとなった「やまの会」からの差し入れもおいしかったです。チーズや野菜、あと実際に販売している「パンダ納豆」も。たくさん美味しいものをいただきました。

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
本上さん/私は北海道が大好きで、趣味のフライフィッシングをしに年に1回は必ず来ています。でも、せたなは初めてで、行く前からワクワク楽しみにしていました。「海が見える牧場」と脚本にはあったんですけれど、「本当にそんなところあるのかな?」と思っていたところ、見事に海が見えて驚きました。空がとても広くて、日中の撮影が多かったので、お日様が上って沈むまでが本当にゆっくり見られて感動しました。ロケは秋だったので、季節の変わり目というか、遠くに見えた稲光が、だんだんと近づいてくるダイナミックな自然も目の当たりにしました。
質問/監督は、大泉さんと組むのは4回目ですが、何か新しい一面を感じられたとすれば何でしょうか。
監督/2009年の「半分の月がのぼる空」が最初ですが、あのときは〝北海道の大スター〟が東京に進出してきたばかりのときでした。それから毎作大きくなられて、数年前からは映画界・日本の大スターになっています。今回、大泉さんのフィールドである北海道で演出をする感覚で取り組んだのですが、僕は普段より、俯瞰を心がけました。カメラのアングルもそうです。

先ほど「劇団八雲」の話がありましたが、実はあの劇団の演出家は、大泉さんなんです。楽屋裏で「劇団八雲」のお芝居を見て、「そうじゃない、こうなんだ」と言い始めたのは、たぶん大泉さん(笑)。だから私は、大泉さんが芝居をつけたものを現場で見て、「それでは、カメラのアングルはこうしましょう」と考えたように思います。演出・大泉洋、総合監督は私みたいなニュアンスがあって、普段より役者の間に入って芝居をつけることをほとんどしなかったです。テストでは色々話をしましたが、9割のカットは1発OK。本番でアクシデントが起きても大泉さんが拾っていく、芝居に取り入れていくのでOKになりました。
質問/「亘理」という主人公は、演じやすかったでしょうか。また、苦労した部分はありますか?

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
大泉/〝北海道映画〟シリーズ3作品の中では、仲間との友情がテーマにあったので、感情移入しやすいというか、台本が身近な感じがしました。ただ、「亘理」のチーズの師匠で、父親的存在の「大谷雄二」という役を小日向文世さんが演じていて、これもまたある意味実話でモデルがいらっしゃるんですが、彼にまつわる大事なシーンを演じるのに、小日向さんとのスケジュールが合わなくて、ロケ後半に彼とのシーンを演じることになってしまい、クライマックスシーンを先に撮らなければいけなかったのがちょっと大変でした。ただ、役者さんとして尊敬する方ですから、小日向さん本人をイメージして役に入り込みましたし、あとは監督が耳元でささやいてくれるんですが、その内容が素晴らしいんです! 想像しきれない部分や裏側を監督が補ってくれて、本番に近づくにつれ「なるほどそういう感覚か」と掴むことができました。
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(C)2018『そらのレストラン』製作委員会
映画「そらのレストラン」 2019年1月25日(金)全国ロードショー
出演:大泉 洋、本上まなみ、岡田将生
監督:深川栄洋
映画の公式サイトはこちら