脚本家・加藤正人さんインタビュー! in 函館港イルミナシオン映画祭

今日も朝から息が真っ白の札幌です。

さて、本日は月曜休館日。

というわけで、函館港イルミナシオン映画祭(12/2~4)の

ゲストインタビュー第7弾!

ラストの今回は、帯広ロケ「雪に願うこと」の

脚本を担当した加藤正人さんをご紹介します。

加藤さんは秋田県出身。

最近の主な作品に

「日本沈没」(2006年、共同脚本)
「孤高のメス」(2010年)
「蕾桜」(2010年、共同脚本)

などがあります。

函館の映画祭には シナリオ大賞審査員を務めており、

毎年のように訪れていらっしゃいます。

さて、そんな加藤さんに質問です。

ーー「雪に願うこと」のお仕事を振り返っていかがですか。
あの作品は、3年かかりました。その間、旭川、帯広と、3度ばんえい競馬にも通いました。確か30回以上書き直して…すごく時間がかかった作品でしたね。

ーー〝難産〟だった理由はなんだったんでしょう?
それは、厩舎とか、騎手の方々が寝泊りする場所とか、現場に行くたびにどんどん場面を書き足したくなるんですよ。それで、申し訳なかったんですけれど、(原作者の)鳴海(章)さんに「変えさせてください!」と頼みました、お酒の席で(笑)。彼が変更を快諾してくださって、そんな彼の人柄があったからのびのびと映像化できました。うれしかったですね。

ーー書き直す作業の中で、特に印象的なエピソードは?
タウシュベツ橋(※糠平ダムの湖底にあり、水位で見え隠れする旧国鉄士幌線の橋梁)を使ってほしい、という話があったんです。それで、単なる背景として登場させるのではなく、バックボーンを考えるわけですね。あの橋は見えたり見えなかったりするから、不安定な存在としてのお父さん、いるのかいないのかわからない、でも確かにそこにあるお父さんとの楽しい思い出、を描く心象風景として使えるかな、と。そこに至るまでに時間がかかるんです。そういったことが、かなりありました。

ーーなるほど。その作業の積み重ねで、あのストーリーが生まれたのですね。
雪玉を屋根にのせるという場面も、途中で「何か足したい」ということになって考えました。あのシーンを書き加えたことで、タイトルが原作名(「輓馬」)から変更になり、スタッフに募集したんです。結局、最後は根岸(吉太郎)監督が考えたタイトルに決まりました。

ーー私は帯広出身なのですが、地元の人間にとっても誇らしい作品だと思います。
何度も冬の帯広のばんえい競馬を見たので、あの「空気感」を描きたい、というのがありました。帯広の持つ魅力、ばんえい競馬の世界の魅力。それが、僕のような、北海道と無関係な人間にとっては、強烈なインパクトとして迫ってくるんです。それを描かなきゃ、反映しなきゃ、というのが、苦労であり、喜びでもありました。脚本が少しずつ成長する中で、「この作品は成功する」という確信を持つようになりましたね。

ーー完成した作品をご覧になったご感想は?
何度も話し合いをして、監督とも共通のイメージができていたので、想像通りに素晴らしいものができたと思いました。「その通り!よくぞ撮ってくれた」という、一緒に作り上げた思いがあります。
ーーそもそも加藤さんが脚本をご担当された経緯は?
僕は秋田出身で、それが理由のひとつみたいです。雪を描けるだろう、ということで。東京の人からみると、雪は冷たく厳しいイメージみたいですけど、秋田出身者にとっては、雪ってあったかい、包んでくれるイメージもあるんです。北海道はもっと北国なので、その延長で、「あたたかさ」「強さ」を感じます。豊かな食があり、大地があり、厳しい自然がある北海道を包み込むような温かさですね。

ーー確かに、雪が印象的な映画でした。
まだ誰も痕跡をつけていない、一面の雪景色を見ると、新鮮な気持ちになれるんです。そのリセットされる感覚が好きなんです。

ーー最後に北海道への思いをお聞かせください。
実は、父が根室で生まれて、小樽の小学校に通っていたので、自分にとっても北海道はルーツでもあるといえるんです。函館は山も海もあり、食べ物もおいしいし、来るたびに発見がありますね。一番早く開港した町でもあるので、物語がたくさん積み重なるすごく特別なモノを感じます。

ーーどうもありがとうございました!

脚本を生み出す苦しみ、喜びを 率直にお話くださった加藤さん。

今後の一層のご活躍を応援しております!

大西功一監督インタビュー!in 函館港イルミナシオン映画祭

今日は曇りのり晴れ。冬本番の札幌です。

さて、本日は函館港イルミナシオン映画祭(12/2~4)の

ゲストインタビュー第6弾。

大西功一監督をご紹介します。

大西監督は大阪出身。

1985年、テレビ報道番組の撮影助手を務め、88年に大阪芸大卒業。

95年、函館ロケ「とどかずの町で」を制作。

その後もさまざまな映像作品を手掛けていらっしゃいます。

今回は、沖縄県宮古諸島に伝わる唄に

スポットを当てたドキュメンタリー

「スケッチ・オブ・ミャーク」の上映に合わせて来函されました。

そんな大西監督に質問です。

ーー「とどかずの町で」を撮影された経緯を教えてください。
あの時は、一本映画を撮り終わって、なかなか次が着手できないときでした。北海道を旅したんです。20歳のときに道南に行ったことがあって、函館が良かった記憶があったので、道東を旅した後、函館だけ行っておこうとそっちまでまわりました。

ーーそれで気に入ったということでしょうか?
夜、函館駅に到着して、ホテルに向かって港を歩いたんですね。暗い中を。ただ、闇の中にいるだけなんですけど、それが、実にいいわけですよ。何がいいかっていうと、音もなく、すごく静かで…それが、厚みのある静けさというか…。都会でも静かな場所はあるけど、東京だと人がうごめいている気配が感覚的にあるんです。でも、その時は、静けさの中に背中にどさっと覆いかぶさってくるような厚みがあって。本当の静けさ、夜の闇がここにはあるな…と、そんな感じがしたわけです。その感覚が大事で、都会だと実感できない、人間が生きていて感じ取れる、その大事な感覚を確かめられる、というのがありました。非常に口では説明しにくいんですけど(笑)

ーーいえいえ、興味深いお話です。
この感覚って、地形的なことも関係しているのではないかと思うんです。函館山があって、砂州になっていて、海に囲まれている状態。島だけど、地続きで、ある種、海の世界にポンと船で感じるようなものがあるっていうか…。

ーーなるほど。今後も函館で撮影したいお気持ちはありますか?
もちろん!函館は世界の中で一番大好きな町であることは揺るぎません!函館を舞台にした脚本もありますし、また撮りますよ!というか、好きすぎて西部地区に移住するかもしれませんね(笑)

ーーそうですか!どうもありがとうございます。

以上です。

大西監督ならではの感性で語る

函館のマチの描写が印象的でした。

映画の面白さが人それぞれのように、

マチの味わい方も人それぞれなんですね。

「Love Letter」プロデューサーインタビュー! in 函館港イルミナシオン映画祭

今日は朝から雪。一段と冷え込んだ札幌です。

さて、本日は函館港イルミナシオン映画祭(12/2~4)の

ゲストインタビュー第5弾。

小樽ロケの名作「Love Letter」(95年、岩井俊二監督)

プロデューサーを務めた河井信哉さんをご紹介します。

河井さんは 「私をスキーに連れてって」(87年) 「スワロウテイル」(96年)
「Jam Films」(2002年) 「愛のむきだし」(2008年)

など多数の作品製作に携わり、

日本を代表する映画プロデューサーのひとり。

函館には、映画祭・シナリオ大賞の

審査員を務めており、毎年のように来函されています。

そんな河井さんに質問です。

ーー北海道での最初のお仕事は?
今から30年前の「南極物語」(83年、蔵原惟繕監督)なんです。

当時はまだ20代で、ただのスタッフとして参加し、何度も稚内に足を運びました。あの作品は、フジテレビが製作した最初の映画なんですね。僕もテレビ局に入社して、まさか映画をやるとは思ってもいませんでした(笑)。

ーーそうですか!当時の思い出はありますか?
2年間の制作中、ずっと監督と一緒で、犬のオーディションなどもやって…けっこう大変でした。主演の高倉健さんと、札幌から稚内まで小さい飛行機で移動したこともあります。自分が一番最初に関わった映画でもあり、印象深いです。あれは、「南極」と言ってますが、実は北海道で撮影しているわけですよね。そういう意味では、いい意味で〝映画のウソ〟〝映画のマジック〟を感じた作品ですね。

ーーなるほど。「Love Letter」についてはいかがですか。
あれは、実質、岩井俊二監督の長編第一作目。ただ、もう、小樽に感謝、ですね。もう時効だと思うので話しますが、当時、アイドル歌手だった(主演の)中山美穂さんの役は二役の難しい役。できるかどうか、岩井監督とも議論にもなりました。一方、中山さんは若かったけれど、芸能生活はすでに長くて、テレビドラマ・歌手として成功もしていました。映画には3作に出演していましたが、本人はあまり満足していなくて、映画に対して懐疑的だったようなんですね。3作のうちひとつは、僕がプロデューサーだったんですけれど(苦笑)。それで、最後の映画でもいい、という決意で出演したのが「Love Letter」だったんです。

ーーへぇ~!そんな裏話があったんですか。
それが、実際に撮影が始まって、僕はずっといたわけではないので詳しいことは分かりませんが、ラストシーンの撮影の時です。しんしん降る白い雪の中だったんで、僕なんか「寒いな~」と思って、心配して中山に声を掛けたら、「一生ここにいてもいい!」なんて言うんですよ(笑)。それほど、小樽が気に入ったみたい。その愛着は強烈で、すごかったですね。確か、僕の記憶では、次の仕事のギリギリまで北海道にいたはず。テレビ局の人間が心配して僕に連絡してきたのを覚えています(笑)

ーー岩井監督とのお付き合いも長いですね。
ええ。この「Love Letter」ロケが伏線になっているのか、最近、岩井監督は「北海道でまた撮りたい、移り住みたい」なんて言ってるんですよ(笑)。これまでの東京発の時代は終わった、と。僕も、これからは東京にない文化、匂いを海外に伝える時代だと思うんです。ローカル発、北海道発で何かやりたいな、と思います。

ーー北海道にはまだ可能性があるのですね!
むしろ、これから〝ローカル発〟に可能性があるんだと思います。東京にない風景があるし。実は昔、札幌に映画大学を作ろうという動きがあって、それは残念ながらなくなりましたけど、もう一度、そういう拠点の場が北海道に必要だと思います。映画を作る人が集うことが大事なんです。また、「Love Letter」のロケ地になった家が火災で無くなったことは非常に残念でした。映画のロケセットを保存すれば、観光にもつながります。北海道ならオープンセットを残すことも可能なので、観光にも活用できる。今後、自分がやるときにはぜひ、そういったことも考えていきたいですね。
ーーそうですか、応援しています!ありがとうございました。

以上です。

パーティーの最中にも関わらず、

アツいお話をたっぷり聞かせてくださり、

北海道への、作品への愛情が伝わってきた時間でした。

谷口正晃監督インタビュー! in 函館港イルミナシオン映画祭

今日は月曜休館日。

というわけで、函館港イルミナシオン映画祭(12/2~4)の

ゲストインタビュー第4弾!

谷口正晃監督をご紹介します。

谷口監督は 1989年、日大芸術学部映画学科の

卒業制作短編「洋子の引越し」が PFF最優秀16mm賞などを受賞。

その後、 函館ロケ「愛を乞う人」(平山秀幸監督)をはじめ、

根岸吉太郎、滝田洋二郎、篠原哲雄、井筒和幸・・・

などベテラン監督の助監を経験。

2010年、映画・ドラマでおなじみの 「時をかける少女」を監督し、

仲里依紗主演でリメイク。

第32回ヨコハマ映画祭新人監督賞などに輝き、話題を集めました。

今回の映画祭は、オール函館ロケ

「スノーフレーク」(2011年)の上映で招待。

そんな谷口監督に質問です。

ーーゆかりのある函館の街の印象は?
山も、海も、坂道もあって、『物語』が生まれそうな街ですよね。港町なので、洋館とか、舶来モノがいい具合に昔から入っていて、それが大事に残されているのもとてもいいですね!

ーー新作のロケ地に函館を選ばれたのもそういったことが理由でしょうか?
「スノーフレーク」は、ちょっとミステリーで、地面から5センチくらい浮いたようなストーリーなんですね。ちょっと不思議で、ミステリアスで、ロマンチックな物語を描くのに、この街はぴったりなんです。原作の舞台も函館でしたけど、映画でも、函館の持つ異国情緒とか、文化、歴史、時間が『物語』とすごくなじむんですよね。ほかのありふれた場所だと難しいようなことが、函館だと「さもありなん」と思えるのが、この街の魅力だと感じます。

ーーなるほど。今後もぜひ北海道でロケしてください!
もちろん!もっと函館で撮りたいと思っています!

以上です。

これまでも 数多くの作品の舞台になってきた函館。

その魅力は今なお変わらず、

多くの映画人を惹きつけているようです。

新作から旧作まで。

函館の街の描き方を 観比べてみるのもいいかもしれませんね。

あがた森魚さんインタビュー! in 函館港イルミナシオン映画祭

午前中の吹雪から一転、午後は青空の札幌です。

さて、本日は 函館港イルミナシオン映画祭(12/2~4)の

ゲストインタビュー第3弾。

映画祭に当初から関わり、俳優、歌手、監督として活躍する

あがた森魚さんをご紹介します。

ーー「オートバイ少女」(94年)「港のロキシー」(99年)とご自身の函館ロケ作品がありますが、映画監督として北海道の魅力をどうお感じになりますか?
それは…朝まで語らないと語りきれないね(笑) 何と言ったらいいんだろうね…俺は留萌、小樽、(青森、)函館だけど、この3カ所とも魅力のある場所。どこもここも素晴らしいよ。港町って、日本の近代の文化を吸い上げて栄えた場所だから、そういう意味では小樽・函館はロマンチックでエキゾチックともいえるけど、それと同時に、20世紀的な文化を築き、近代人の生活に新しい息吹を与えた場所ともいえるわけで…単に風光がいいだけでなく、近代文化のいろいろなことを担った場所ならではの魅力があると思う。

ーーなるほど。それでは、俳優としても、最近だと「海炭市叙景」(2010年)「しあわせのパン」(2012年公開)と北海道ロケ作品へのご出演が続いていますが、どんな気持ちで参加されてますか?
いつも、俺、よくわかっちゃいないんですよ(笑)。「海炭市叙景」は一瞬だったし…。でも、毎回、何か面白そう…って感じで参加してます。

ーー(笑)それでは、最新作の「しあわせのパン」について一言お願いします!

あれは、女の子が観たら幸せで仕方ない映画だよね。俺は、いい感じだしてた?(ーーはい、もちろん!ステキな役でした。)なんか俺、いつもはみ出ている役しか来ないんだよな(笑)僕も今から見るのが楽しみですね。

ーーどうもありがとうございました!

以上です。 独特の優しい口調で、時に熱心に、

時にひょうひょうとお話くださった様子が印象的でした。

2012年1月21日北海道先行公開の

「しあわせのパン」では そんなあがたさんの人柄が

にじみ出るような役で登場。

ぜひ、お楽しみに!

大森一樹監督インタビュー! in 函館港イルミナシオン映画祭

今日はひんやり、晴れの札幌です。

さて、本日は 函館港イルミナシオン映画祭(12月2~4日)の

ゲストインタビュー第2弾、

大森一樹監督をご紹介します。

大森監督の北海道ゆかり作品はコチラ。

函館ロケ「テイク・イット・イージー MODERN TIME」(86年)
小樽・札幌ロケ「『さよなら』の女たち」(87年)
札幌ロケ「満月 Mr.MOON LIGHT」(91年)

今回は、 青森県弘前を舞台にした最新作「津軽百年食堂」

の上映のためいらっしゃいました。

さて、そんな大森監督に質問です。

ーーこれまでの北海道ロケの印象は?
「満月~」は、雪がある時とない時の2回にわけて、同じ場所で撮影しているんですね。それで「こんなに変わるのか!」と驚くくらい、場所の印象が様変わりしたのが印象的でした。

ーー他の作品はどうですか?
「テイク・イット・イージー」は、主演の吉川(晃司)君が、東京から異次元の荒野に出るイメージでロケしたかった。それで、北海道のどこがいいのかプロデューサーと一緒にロケハンしたんです。まず、釧路から、帯広、小樽、函館まで回りました。それでロケ地を函館に決めたんですね。

ーー函館のどこを気に入ったんでしょう?
レンガ倉庫ですね。今はにぎやかですけど、僕たちが来た1985年当時は何もなかったんですよ。ロケの時は、逆にネオンをつけてライトアップしたり、ボクシングジムを作ったり…架空の人々を僕らが作ってね。だから今、金森倉庫を見ると、「俺らの言った通りになってるやないかい!」なんて思いますよ(笑)

ーー先見の明があったんですね(笑) 今後、また北海道ロケをしたいお気持ちはありますか?
ありますよ。やっぱりいいですよ、こっちは。何がいいかって、映画的なんですよね。一面の荒野があったり…。近頃の北海道の映画は、ちっとも北海道的ではないですよ。もっとこの映画的空間を使って、映画らしい作品を撮りたいですね。

ーーそうですか!どうもありがとうございます。

以上です。

ちなみに、大森監督は 大阪芸術大学の映像学科長を務めており、

同学科OBには、あの石井裕也監督、山下敦弘監督、

帯広出身の熊切和嘉監督(「海炭市叙景」など)がいらっしゃいます。

次世代の映画人の育成と、

ぜひ、北海道ロケの新作が誕生することを期待しております!

篠原哲雄監督インタビュー!in 函館港イルミナシオン映画祭

今日は月曜休館日。ですので、昨日閉幕した

函館港イルミナシオン映画祭ゲストの

篠原哲雄監督インタビューをご紹介します。

篠原監督の北海道ゆかり作品はコチラ。

函館ロケ「オー・ド・ヴィ」(2002年)
小樽・石狩ロケ「天国の本屋~恋火」(2004年)
函館ロケ「つむじ風食堂の夜」(2009年)

特に、「オー・ド・ヴィ」は 2000年の第5回函館港イルミナシオン映画祭

シナリオ大賞グランプリ受賞作の映画化。

函館のとある酒場を舞台に、

飲む者を幸福のうちに死へと導く

謎の酒を巡る神秘的で官能的な恋愛ストーリー。

タイトルは、フランス語で「生命の水」の意味であり、

極上の蒸留酒のことだとか。

映画祭会場のひとつ、まちづくりセンターでは、

当時のロケ風景写真などが多数展示されておりました。

さて、そんな函館の映画祭とも 関わりの深い篠原監督への質問です。

ーー函館のロケ地としての魅力は?
オープンセットのような街並みです。坂や海などを含め、特に西部地区は雰囲気が良くて、街幅が取れる気がするんです。特に函館は、映画祭を通じて知り合った函館の人たちが非常に協力的。ですから、単なる街の魅力にだけではなく、僕にとっては人の魅力が大きいですね。

ーー小樽・石狩でロケした「天国の本屋」の場合はいかがでしょう?
「天国の本屋」の場合、ロケ地を小樽に決めた一番の理由は、色がある街だったから。古いモノと新しいモノが混在している小樽の雰囲気を気に入り、天国の設定にしました。また、室蘭を現世という設定にしたのは、両方ともいい街で、ロケにふさわしい匂いがするんですよ。ロケ地ってどこでもそうなんですよね。あと石狩は、市の職員でロケ地誘致に熱心な方がいたことも大きかったですね。

ーーなるほど。やはりここでも「人」なんですね。
街によって魅力は違います。「北海道らしさ」という括りではなくて、その街の魅力、そして、人の魅力に尽きますね。

とのことでした!

今回の映画祭で、篠原監督は震災復興への願いを込めた

「柔らかい土」「深夜裁判」の2作品を上映。

そのスタッフや俳優さんら仲間を連れて来函し、

地元の店を訪れ、積極的に交流を深めていた様子が印象的でした。

ぜひ、これからもこの北海道で、

お気に入りの函館で、新作が誕生するよう、応援しております!

函館港イルミナシオン映画祭最終日レポート!

映画祭3日目。

この日の函館は、降ったりやんだりの小雨模様。

谷地頭にある「ふるる函館」会場では、

沖縄県宮古島で古くから歌い継がれる「唄」を追った

ドキュメンタリー「スケッチ・オブ・ミャーク」(2011年、大西功一監督)

映像集団「革命トマト」の長編第一弾 「KAMACHOP」(2007年、松本庵路監督)

など、まちづくりセンター会場では、

ソウルの街角に生きる若者をリアルに描いた

韓国ニュー・ウェーブの話題作「風吹く良き日」(80年、イ・ジャンホ監督)

篠原哲雄監督プログラムの短編上映

などなど、 盛りだくさんの内容。

特に盛り上がったのは、

金森ホールで行われた原田芳雄さん追悼企画

「寝盗られ宗介」(92年、若松孝二監督)の上映!

若松監督ご本人が来場し、

原田さんの人柄や思い出話を披露。

観客からの質問にも答えるなど、

映画ファンにはたまらない時間となりました。

この後、高校野球名門校の補欠部員の青春を描く

「ひゃくはち」(2008年、森義隆監督)が上映。

(とてもいい内容で泣きました!オススメです!)

そして、クロージング作品「監督失格」の

上映&ゲストトークで閉幕となりました。

前日のロープウェイ休止によるプログラム変更により、

映画祭終了は夜11時と深夜になりましたが、

多くの観客が最後まで楽しんでおられました。

悪天候のため、会場間の移動は大変でしたが、

多くの映画人との交流、 思わぬ秀作の発見、

そして何より、函館の人との出会い。

そんな映画祭ならではの楽しみを満喫できた3日間でした。

実は映画祭開催期間中、

北の映像ミュージアムスタッフとして ゲスト7人にインタビューを実施!

ロケ地としての北海道の魅力や 撮影の思い出について伺いましたので、

今後、少しずつご紹介いたします。

7人が誰かは…乞うご期待!

ヒントは、北海道ゆかりの映画人です。

函館港イルミナシオン映画祭2日目レポート!

映画祭2日目。

3会場で短編&長編合わせて

10作品以上が上映される予定でしたが…

なんと、朝からひどい雨と強風! (傘を差して歩けないほど)

この悪天候のため、 午前中でロープウェイが休止となり、

スケジュールと会場が大幅に変更となりました。

この日、上映された北海道ロケ作品は

むかわ町民でつくるミュージカルドラマ第4弾

「赤い夕陽の爺yulie(ジュリー)」(2011年、伊藤好一監督)

函館オールロケ作品 「スノーフレーク」(2010年、谷口正晃監督)

の2作品。

夕方から、金森ホールでは

「マイ・バック・ページ」(2011年、山下敦弘監督)が上映。

出演されたあがた森魚さんと 原作者の川本三郎さんのトークもあり、

会場は熱気に包まれていました。

ちなみにこの作品、

帯広出身の熊切和嘉監督(「海炭市叙景」など)が カメオ出演されています!

ご覧になった方、お気づきでしたか?

上映終了後、函館山ロープウェイ近くの

FMいるかビルにある「カフェ・ぺルラ」で 行われた公式パーティーの様子。

多くのゲストが参加し、

市民や映画祭スタッフと楽しげに交流していました。

と、その中で、気になる集団を発見!

むかわ町から参加した 「赤い夕陽の爺yulie(ジュリー)」チームの方々。

皆さん、盛り上がってますね~!

また、「スノーフレーク」の谷口監督もご来場。

映画祭ディレクターとして当初から携わり、

現在も俳優、歌手として大活躍の あがた森魚さんの姿も!

そんなこんなで函館の夜は更け… 最終日へ突入です。

函館港イルミナシオン映画祭初日レポート!

本日、「函館港イルミナシオン映画祭」が開幕!


12月4日(日)までの3日間の模様を レポートいたします。

初日の函館は、穏やかな晴天。
まずは、昨年12月に亡くなった

函館出身の女優・高峰秀子さんの追悼上映

「二十四の瞳」(54年、木下惠介監督)で幕開けです。

会場の函館山頂にある クレモナホールは満席状態!


作品は、香川県の小豆島が舞台。

昭和3年から終戦後の 18年間にわたる激動の時代を背景に、

高峰さん演じる女教師と、生徒たちとの交流を描く感動作です。

上映後、評論家の川本三郎さんが登場。


作品の見どころや、高峰さんの魅力について解説し、

「高峰さんを函館の誇りにしてください」と締めくくられました。

その後、金森赤レンガ倉庫にある金森ホールに会場を移し、

オープニングとして 森田芳光監督の最新作(なんと公開前!)

「僕達急行A列車で行こう」を上映。

発熱のため、残念ながら森田監督は 急きょ欠席となりましたが、

スタッフが撮影時のエピソードなどを紹介していました。

開会式&シナリオ大賞発表に続き、

オープニングパーティーが行われました。


ちなみに、別会場のまちづくりセンターでは、

函館ゆかりの映画ポスターや写真を多数展示。


「ギターを持った渡り鳥」(59年、斎藤武市監督)

「オー・ド・ヴィ」(2002年、篠原哲雄監督)

「パコダテ人」(2002年、前田哲監督)…

函館というマチが、 多くの映画人に愛されてきた歴史がよく分かります。

というわけで、初日は終了!

順調にスタートした映画祭ですが、 2日目は波乱の展開となったのです。