ゆうばり映画祭の楽しみどころ③~祝・25周年!企画

19日(木)~23日(月)に開催する

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。

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(C)KAIDA Yuji

【ゆうばり映画祭楽しみどころその3】

25周年を記念するアニバーサリー企画

25回目の節目を記念し、貴重な4半世紀の

「記録」と「記憶」をお蔵出し披露!

●オフィシャル記録 展示会

過去24回分の公式記録写真・映像を、今年で最後の
開催会場となるアディーレ会館ゆうばり3階特別会場に展示。
貴重で懐かしい映像を作品上映の幕間や各主要会場で紹介します。

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●トークスペシャル 大いに語ろう!ゆうばり映画祭25年史
2/21(土)午後2時~ アディーレ会館ゆうばり3階

これまでのゲストや関係者によるスペシャルトーク。

初開催までのウラ話あり、豪華ゲストの素顔あり、

楽しく語って、映画祭の未来を展望します。

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市の財政破綻を乗り越え、

地道に回数を重ねてきたゆうばり映画だからこそ

語れる苦労も喜びもあることでしょう。

映画を観るのもいいけれど、時には

こんな記念トークに参加してはいかがですか。

※映画祭公式サイトはコチラ

ゆうばり映画祭の楽しみどころ①~健さん名作3本上映!

今月19日(木)にいよいよ始まる

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。

yubari_fanta_poster (C)KAIDA Yuji

5日間の会期中、多彩な作品が上映され、

イベントも盛りだくさん。

そんな中から、ミュージアム的視点で“楽しみどころ”を

ご紹介する毎年恒例の連載を始めます。

【ゆうばり映画祭楽しみどころその1】

健さん主演の名作3本を一挙上映!

昨年11月に逝去された名優・高倉健さん。

夕張とゆかりの深いあの名作をはじめ、

数々の北海道ロケ作品に主演されました。

その功績を称えて、今回は特別上映会を開催!

●「幸福の黄色いハンカチ」

「幸福の黄色いハンカチ」
(c)1977.2010 松竹株式会社
2/20(金)午前11時~ アディーレ会館ゆうばり大ホール

●「鉄道員(ぽっぽや)」 ※トークショーあり
2/20(金)午後3時~ ゆうばりホテルシューパロ2階 嶺水の間

●「遥かなる山の呼び声」
2/21(土)午前10時~ ホワイトロック

このほか、20日(金)午後1時からは、

黄色いハンカチ広場にて特別ツアーを企画。

(アディーレ会館より無料送迎バスあり)

健さん演じる刑務所帰りの男を温かく迎えた夕張の地で、

映画世界を満喫してはいかがでしょうか。

※映画祭公式サイトはコチラ

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が2月に開催!

今年もいよいよこの季節がやってまいりました。

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が

2月19日(木)~23日(月)の5日間開催されます。

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(C)KAIDA Yuji

先日行われた記者会見で発表された

新キャッチコピーは、「世界で一番、楽しい映画祭」!

ゆうばり2015記者会見

今回は25回目の記念イヤー。

話題のディズニー映画『イントゥ・ザ・ウッズ』や

ゴールデン・グローブ賞受賞作『博士と彼女のセオリー』など

日本公開前のハリウッド大作から、インディーズ作品など85本を上映。

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(C) 2015 Disney Enterprise,inc. All Rights Reserved.

夕張に縁の深い映画スター高倉健さんをしのび、

『幸福の黄色いハンカチ』追悼上映なども計画されています。

「幸福の黄色いハンカチ」

(C)1977.2010 松竹株式会社

例年通り、北海道ロケ作品を中心に、

後日詳しくご紹介いたしますので、どうぞお楽しみに。

映画を、映画祭を、夕張を愛する皆さん、

今年もあの雪深いまちに集まりましょう!

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公式サイトはコチラ

北海道ロケトークスペシャル第2弾レポート 『野のなななのか』編Part.2

ゆうばり映画祭3日目に開かれた
『北海道ロケトークスペシャル』のレポート第5弾です。
今回は『野のなななのか』です。 前回のトークのつづきをご紹介します。

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監督・脚本の大林宣彦と
芦別映画製作委員会の石川睦子さんが登壇しました。

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司会「石川さん、映画が製作される上で市民の募金がかなり重要になったと思うのですが、
皆さんの参加意識というのはいかがでしたか?」

石川「私たちは、恭子さんから1億円で『野のなななのか』を作りますと言われました。
こちらで2000万円用意するので、市側で8000万円を用意してくださいと。
すぐに監督夫妻からは2000万円が振り込まれました。」

司会「普通はちょっと無理です…っていう話ですよね笑」

石川「大変でしたね。でも20年間の気持ちの繋がりの中で、
どうしてもここでこのお金を集めなければならないと思いました。
その当時の委員長の梅田さんに相談しまして
これに答えなければ芦別映画はないとおっしゃられ、お受けしました。
400万円の花火大会でも大変な町です。
私が資金集めの長にならなければならないと覚悟しました。」

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石川「資金集めの中で芦別市全体を見直しました。
銀行から200万円をおろす年配の方を見て、
何か詐欺にあってるんじゃないかと 銀行の方が眺めているのすら見たことがあります。
そういう年金者の一人一人の気持ちの積み重ねが8000万円になったと思います。
それに監督と恭子さんの前になると市民の皆さんみんな素直になるんですね。
20年続けた関係をひっそりと見てくださっていたんだと自信につながりました。

大林監督から贈られたこんなにも大きな宝物です。
また何か色んなことを感じて頂ければこんな幸せはないと思います。」

司会「監督、これだけの市民のつながりの中で
映画を作るということに責任は感じませんでしたか?」

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大林「そうですね、私もプロデューサーも命懸けで作りました。
映画というのはいつでも時間もお金も足りないものなんです。
ところがスタッフが、こんなお金は無駄にはできないと みんなお金を残してくれたんですよ。

「監督これから上映するならお金いるでしょ」 って。
一万であれ、二万であれ、予算を残してくれました。

それとこの予告篇でも映ってたお花畑、綺麗でしょ?
東京で試写をしてもみんな綺麗だと言ってくれるんです。 でもあれ雑草なんですよね。
しかし同時にね雑草だというのは人間が勝手に言ってるのであって
あの花も1つの命として自然の中で咲き誇っているんです。
それを美しい花として描かれたというのは、
私たちが雑草と呼んでいた人間の傲りを反省しなきゃいけないなと。
これが映画によってふるさとを発見する1つの力なんですね。」

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大林「ふるさとにこそ宿る人間の賢さや美しさ、これを伝えるのは政治や経済では果たせない
映画という芸術だからこそ果たせるジャーナリズムだと思います。

北海道と言う大切なふるさとから
それぞれさまざまな形で愛する映画が生まれてきたことに心から敬意を表すると同時に、
私にそういう機会を与えて下さった芦別の皆さんに心から感謝と敬意を表したいと思います。」

 

トークの終盤では、
76歳の大林監督が16歳の坂本優乃監督にライバル宣言をするという
お茶目な一幕もありました。

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今月は帯広ロケの『銀の匙』も公開され、
ドラえもんの最新作と公開日が被ったにも関わらず、
『それでも夜は明ける』『偉大なる、しゅららぼん』を抜き
初登場4位のヒット!

トークスペシャルで取り上げられた4作品にも期待が高まりますね。
また今年も多くの映画が道内で撮影され、
来年のゆうばりでこのイベントの第3弾が
開かれることを願うばかりです。

『茜色クラリネット』(3/22 シアターキノにて公開)
『ぶどうのなみだ』(2014年秋 公開予定)
『そこのみにて光り輝く』(4/19全国公開
4/12函館シネマアイリスにて先行公開)
『野のなななのか』(5/17 全国公開)
ちなみに『私の男』(6/14 全国公開)

これはスゴい、月に1本ペースで北海道ロケ映画が公開されるんですね!(キヤ)

北海道ロケトークスペシャル第2弾レポート 『野のなななのか』編Part.1

ゆうばり映画祭3日目に開かれた

『北海道ロケトークスペシャル』のレポート第4弾です。

今回は『野のなななのか』です。

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今作については、監督ご自身が映画に込めた想いをたっぷりと語られて、
なるべく端折ることなくお伝えしたいので、2回に分けて紹介します。

監督・脚本の大林宣彦と
芦別映画製作委員会の石川睦子さんが登壇しました。

『野のなななのか』の製作の経緯については
こちらの過去の記事をご覧ください。 http://kitanoeizou.net/blog/?p=6738

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司会「芦別で映画を撮るという事は、芦別映画学校の校長でもある大林監督にとっては意味深いところだと思うのですがどうでしょうか」

大林「映画と言うのは人と人との出逢いの縁から生まれるものです。
芦別市に鈴木評詞君という若者が居ました。

(中略)

3.11を受け、日本の再生とは復興とは何だったかと考えました。
日本の敗戦後はモノとカネ、つまり文明と経済は発達しましたが 暮らしの文化はどんどん失われ、日本人の魂や心は戦火に晒されたように吹っ飛んでしまった。
3.11以降の私たちは、人として賢く生まれ変わることが本当の再生なのだと思います。

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私はふるさと映画作家を名乗り、
全国のふるさとを回り、 その志を映画にしようと務めてきました。
そういう想いが3.11以降強まりまして、 もう劇映画でもドキュメンタリーでもない
一種の徒然草のような見聞録と随想とで映画が綴れないかと考えました。

映画と言うのは本来は日記でもあっても 論文であってもエッセイであっても
詩であってもいいはずなのに なぜか2時間内外の劇映画と短編のドキュメンタリーしかない。 これは商業主義の形で、アートとしての映画ならば いろんな映画があっていいでしょう。
3.11以降、私はそういうエッセイのような、
あるいは風化のしないジャーナリズムとしての芸術をやろうじゃないかと。
『野のなななのか』は実は芦別を舞台にしたわけでも、 芦別で映画のロケをしたわけでもなくこれは芦別を映画にしたものだと思います。

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映画が出来上がり、こないだ芦別で上映会をした時に私は驚きました。
映画が出来たという嬉しそうな顔をしてる方は一人もいらっしゃいませんでした。
果たすべきことを果たした、そういう気高い顔を皆さんされてました。
1万6千人の小さな町で3千人の方が2日間でご覧いただきました。
「他人事じゃない、我が事かのように映画を観た。 私が語りかった、だけど語れなかった、語る機会がなかったことを この映画が語ってくれた、ああ良かった」そう言ってくれる年配の方とずいぶんお会いしました。

この映画は私たちプロがお手伝いして、
芦別の志を映画と言うカタチにしたというケースだと思います。

それと自主制作・自主配給の映画なのでお金はあまりありませんでした。
芦別市民の皆さんと私の小さなプロダクションで協力して製作しましたが、
今日は製作を務め20年間映画学校を支えて下さった石川さんがいらっしゃってます。」

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司会「石川さん、市民の募金といった物がかなり重要になって映画が作り上げられていったと 思うのですが、皆さんの参加意識というのはいかがでしたか?」

石川「今どこの街でも”何もない街”というのが皆さんの口癖になってるかと思います。
果たして本当にそうでしょうか。私はこの”何もない街”という考えは、
大林監督と妻の恭子さんとの20年間の付き合いで私の心から完全に消えました。

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「芦別の中に光り輝いてるもの、自然や人のぬくもりや温かみに目を向けずに”何もない街”と言う人たちの気持ちがわからない」という監督の言葉に気付かされたのです。
亡くなられた鈴木さんのバトンタッチを受けたのは私たち市民です。20人ぐらいの集まりですが、20年の間誰一人この輪の中から抜けた人はいませんでした。これはここまで来た大きな誇りです。監督も市民の心に応えてくれました。」

『野のなななのか』パート2に続きます。

ゆうばり映画祭『野のなななのか』舞台挨拶レポート!

先週閉幕した「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。

クロージング上映された大林宣彦監督の最新作

『野のなななのか』の舞台挨拶レポートをご紹介いたします。

撮影&取材は、ミュージアム理事の武島靖子です。

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檀上には左から大林監督、主演の品川徹さん(旭川出身)、

常盤貴子さん、細山田隆人さんが登場!

大林監督は「この映画は芦別でロケした作品ではありません。

芦別の人たちの志とともに作った映画です」とあいさつ。

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常盤貴子さんも「市民が作った映画に初めて参加させていただき、

普段の現場と見た目は変わらないのですが、実はすごく熱くて、

『こんな風に映画って作れるんだ』と温かい気持ちを

学ばせていただきました」とお話されたそうです。

会場の観客は、監督たちの一言一言に聞き入っていたとのこと。

大林監督がおっしゃったように、20年以上にわたる

芦別市民と大林監督の交流があったからこそ、この映画は生まれました。

※詳細は過去の記事をご参照ください↓

http://kitanoeizou.net/blog/?p=4089

北海道を代表する映画祭を締めくくるにふさわしく、

北海道ロケ映画史に残る作品といえるでしょう。

『野のなななのか』は5月10日(土)、道内(シアターキノ)で先行公開!

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©2014芦別映画製作委員会/PSC

公式サイトはコチラ→http://www.nononanananoka.com/index.html

公開を楽しみに、今後も応援しようと思います!(アラタメ)

北海道ロケトークスペシャル第2弾レポート 『そこのみにて光輝く』編

ゆうばり映画祭3日目に開かれた

『北海道ロケトークスペシャル』のレポート第3弾です。

今回は『そこのみにて光輝く』です。

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企画・製作の菅原和博さんが登壇しました。

 

司会「この映画については前の2本と立場が違う気がしますね。ご当地を盛り上げるというよりは、人間の内面に焦点を当てていくような作品だと思うのですがどうでしょうか。」

菅原「函館はもうすでに80数本もの映画が撮られた街なんですね。なので坂道とか夜景とか綺麗な風景はよくご覧になってると思います。『海炭市叙景』(2010)では、貧しい兄弟が初日の出を見るシーンで函館山からの景色は見えます。ただあの映画ではその向こうにある瓦礫の山の方が印象に残ります。瓦礫の風景を映画で描くことは街おこしとは真逆ですが、     函館のまた別の面を描けるのではないかと思っています。」

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(『そこのみにて光輝く』予告篇上映)

 

菅原「この映画は『海炭市叙景』を書いた佐藤泰志という作家の 小説が原作です。彼は23年前に自殺して亡くなりました。 僕は『海炭市叙景』を撮影するまで彼の作品を読んだ ことがなかったんですけど、彼のアンソロジーを読んだ時、 映画の世界の末端にいる人間としてどうしてもこの映画だけは 形にしてみたいという想いが生まれました。 『海炭市叙景』の時の経緯がありまして、 今回も佐藤さんの唯一の長編小説を映画にしました。」

司会「この映画はオール函館ロケと考えてよろしいですか」

菅原「そうですね。ほとんどは函館です。海辺のシーンは原作では大森浜という場所が登場するんですが、現在は撮影には適していなかったので北斗市の七重浜という所で撮影しました。」

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司会「函館市の協力はどうでしたか」

菅原「函館市のフィルムコミッションの方はとても寛大で、台本の中に「市役所の奴らは~」というような市役所職員をおちょくるような台詞が あるんですが、そんな事は一切気にせず、全面的に協力してくれました。」

司会「その時に市側には「函館を売って下さい」 というようなテンションはあるんですか」

菅原「それは全くなかったですね。ただ、協力体制は万全でしたが行政から別の形で支援があるということはなかったですね」

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司会「映画をつくる上で、地元である函館で撮る意味というのは どう考えてらっしゃいますか」

菅原「自分が暮らしている街ですし、自分の生きている日常があります。 僕らにはたぶん皆さんが函館に持つイメージと逆の面が少しあるんですね。 佐藤さんの小説の中には、そんな函館の日常的な物語を リアルな人間で描いています。でもこれは映画においては基本ですよね。 函館とか地方発信というよりも いい映画を作りたい、自分が観たい映画を作りたいってのが一番でしたね。」

司会「ということは、この映画によって函館が という意味で作ってるわけではないのですね」

菅原「そうですね。でもご覧になったら 函館にはこういう面もあるのかと思われるでしょう。
そんな魅力を僕自身も発見しましたね。」

 

第四弾『野のなななのか』に続きます(木屋)

北海道ロケトークスペシャル第2弾 『ぶどうのなみだ』編

ゆうばり映画祭3日目に開かれた

『北海道ロケトークスペシャル』のレポート第2弾です。

今回は『ぶどうのなみだ』です。

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企画の鈴井亜由美さんと 山崎ワイナリーの山崎太一さんが登壇しました。

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司会「まず製作の経緯を教えてください」

鈴井「『しあわせのパン』(2012)を撮影していた時から次回作のことは考えており、どこを舞台にしようかと思っていました。そんな時に札幌のレストランで山崎ワイナリーのワインに出会い、その美味しさに驚いてすぐに空知にあるワイナリーにお邪魔したんですね。それ以降、山崎さんとは家族ぐるみでお付き合いするようになりました。次は家族の繋がりを大事にする映画を作りたいと思っておりましたし、空知という街から元気がなくなり、旭川への通過点のように思われているのがもったいないと感じていたので、ここで映画を作り、街の元気を取り戻そうと思いました。」

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司会「ということは、山崎ワイナリーのご家族の物語ということですか?」

 

鈴井「ベースにしただけで、あくまでもフィクションですよ。映画の中ではお父さんは亡くなっちゃってますけど、実際はこちらの山崎さんのお父さんは元気ですから(笑)」

 

司会「山崎さんはこの映画の企画を初めて聞いた時はどんな風に思われましたか」

山崎「三笠市というのは人口1万人を切った小さな町なんですが、年に1度か2度、町の市民会館に映画がやってくるんですね。僕も子供の頃から楽しみにして見てきましたが、今度は映画の上映ではなく映画自体がやってくると聞いてとてもワクワクしましたし、楽しみが出来ました。」

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司会「それからはどんな体験をされたのでしょうか」

山崎「夏の撮影のシーンで、本人役をやらせてもらいましたね。農作業に関しては自分はプロのはずなんですが、監督から何度ももっとこうしてくださいと指示が出され、何度か取り直しをしました。けれど後で映像を見ると監督のアドバイスに従った農作業の方が機能美というか、とても美しくみえたんですね。自分もまだまだだなと思ってしまいました。」

 

司会「『ぶどうのなみだ』ではこのワイナリーを全面的に使わせてもらおうというロケだったのですか」

鈴井「お話は山崎ワイナリーなんですが、映画自体はお隣にある豊水ワイナリーという岩見沢市で撮ったんですね。撮影は岩見沢市だけれど、三笠の炭鉱や山崎家など空知がいっぱい登場する映画なんです。」

 

司会「空知の地域での協力体制はどうでしたか」

鈴井「市役所の方も早朝から夜中まで手伝ってくれましたね。一緒にカメラを運んでくれたり、炊き出ししてくれたり。自分の町が映画になるということがすごく嬉しいと言ってくれて、今回も色んな方々に助けられました。」

 

司会「その他に何かエピソードはありますか」

鈴井「映画に出てくる食べ物は、スーパーでは一切買ってなくて生産者さんが全て提供してくれたんですね。なので映画に登場する食べ物は全部北海道のものです。」s_P3011074

 

 

 

 

 

 

司会「山崎さん、この映画のロケ隊が地域に与えた影響はありましたか」

山崎「市役所であったり、農家であったり、お互いの繋がりが強まったと思います。映画を通して普段お会いしたことない人とも話す機会が増えました。」

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司会「鈴井さんは、こういう北海道を舞台にした映画を2本作られていかがですか」

鈴井「『しあわせのパン』の公開後されてから本当に洞爺が元気になったんですね。映画を撮る前は噴火があって、観光客がどんどん減って、シャッター街になったところもあるんですけど。映画が公開されてからはお客さんがたくさん増えて、街の人が新たにイベントを自分たちで町おこしをしてるんですよ。 『ぶどうのなみだ』の撮影時に、洞爺の人達がお弁当をもってきてくれたこともあって。私たちはそういうバトン渡しをしていきたいと思っています」

 

第3弾『そこのみにて光輝く』に続きます(木屋)

北海道ロケトークスペシャル第2弾レポート 『茜色クラリネット』編

ゆうばり映画祭3日目、シューパロの嶺水の間で
好評だった去年の企画を受け
『北海道ロケトークスペシャル 第2弾』が開かれました。

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2014年公開予定の北海道ロケ作品4本の関係者を招き、

映画製作のきっかけと市町村の人々との交流を語りました。

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『茜色クラリネット』(撮影地:札幌市西区琴似)

『ぶどうのなみだ』(撮影地:三笠市、岩見沢市)

『そこのみにて光輝く』(撮影地:函館市)

『野のなななのか』(撮影地:芦別市)

トークの模様を4回に分けてレポートします。

 

第1弾は『茜色クラリネット』。

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中島洋(プロデューサー)と 坂本優乃(監督)さんが登壇しました。

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司会「監督を高校1年生の坂本優乃さんが務めているというかなり驚きの作品ですが、 札幌市の琴似地区でロケされたこの映画について、簡単にその経緯を教えて下さい。」

中島「私はシアターキノという市民出資の映画館をやっておりまして、410名の出資によって出来ています。なのでいつか市民の方々に社会貢献やお返しが出来ないかと考えておりました。そんな時に子供の映画教育という点で何か出来るのではないかと考えたことが、北海道コミュニティシネマ札幌を作るきっかけでした。今までにこの短編映画のワークショップを6回やってきましたが、前回の映画『僕らの興味期限切れの夏』が幾つかの映画祭で上映され、賞も頂くようになり、少しずつ成果が認められるようになり、次は長編を撮ろうという企画が出来上がりました。」

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司会「この琴似地区を舞台にしたのはどうしてですか。」

中島「私達のワークショップでは、まず最初にロケ地を決めています。そこからイマジネーション豊かに中学生たちがアイディアを考えていきます。撮影場所を限定することで、その場所ならではの面白いアイディアがたくさん生まれます。製作している中で場所だけでなく、地域の皆さんと関わりたいという想いが出てきて、今までも多くの地区とのコラボレーションが出来ました。中高生スタッフと大人のスタッフと地域の皆さんという三者の協同製作という感じです。」

 

司会「次は坂本監督に伺います。琴似のロケーションはどうでしたか?」

 

坂本「琴似は家の近くなので、そこで映画を作るということはとても非日常的で貴重な経験をしたなと思っております。」

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司会「トニ子というゆるキャラが出てくるように、”琴似”という場所を強調して映画が作られているのはどうしてですか?」

坂本「ロケ場所を匿名にするのではなくて、 私達は琴似で撮ってるんだということを全面的に押し出すことで、地域の皆さんとの連帯感が生まれると思いました。市場の方々からも暖かいお声をたくさん頂きました。営業時間なのにも関わらず、ものすごく協力していただいて、皆さんの協力なしでは作れない映画だったなと思います。」

 

司会「監督を務めた中で障害はありましたか?」

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坂本「今までは短編映画しか作っていなかったので、長編映画のスケールの大きさには戸惑いました。たくさんの映画が世の中に溢れているけど、本当に多くの人の努力によって、こういう一つのものが出来上がってるんだなと思いました。」

 

司会「では中島プロデューサー、街とタッグを組んで映画を作ることと普通の映画では、生まれるものに違いがあるのでしょうか。」

中島「完成した映画を地域の方々ご見たときに『自分達の街をこんな風に撮ってくれたんですね』という感想を頂いた時は本当に嬉かった。 『この映画が街の魅力を見つけてくれた』そう思ってもらえるのは、やはり地域に密着した映画ならではだと思いましたね。」

 

第2弾『ぶどうのなみだ』に続きます。(木屋)