第24回日プロ大賞 特別賞に旭川出身の品川徹さん!主演女優賞は「私の男」の二階堂ふみさん

高い評価を受けながらも既存の映画賞では受賞に至らなかった、2014年公開の作品を対象に、映画関係者らが独自の視点による投票で選ぶ「日本映画プロフェッショナル大賞(日プロ大賞)」の第24回授賞式が5月9日夜、東京・新宿の映画館「テアトル新宿」で開かれました。

ベストテンは、キネ旬ベストテン1位の「そこのみにて光輝く」を除いて選考した結果、
①百円の恋
②私の男
③ほとりの朔子
④愛の渦
⑤野のなななのか
⑥ぼくたちの家族
⑦海を感じる時
⑧ニシノユキヒコの恋と冒険
⑨水の声を聞く
⑩おとぎ話みたい
⑩東京難民
と、北海道ロケの「私の男」「野のなななのか」が選ばれました。

また、個人賞はキネ旬の監督賞(呉美保監督)、主演男優賞(綾野剛さん)、主演女優賞(安藤サクラさん)を除いて選考した結果、
作品賞=百円の恋
監督賞=武正晴(「百円の恋」)
主演女優賞=二階堂ふみ(「私の男」「ほとりの朔子」)
主演男優賞=池松壮亮(「愛の渦」「海を感じる時」ほか)
新人監督賞=山戸結希(「おとぎ話みたい」「5つ数えれば君の夢」)
新進女優賞=武田梨奈(「祖谷物語-おくのひと-」)
話題賞=「劇場版テレクラキャノンボール2013」チーム
特別賞=品川徹(「野のなななのか」、長年の俳優活動に対して)
と、北海道ロケ作品から二階堂ふみさんと旭川出身の品川徹さんが選ばれました。

授賞式には、受賞者全員と花束のプレゼンターとして監督や共演者が出席しました。
特別賞の品川さんには、「野のなななのか」の大林宣彦監督と共演の常盤貴子さんが祝福に駆けつけました。

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奇しくも5月9日は昨年の道内先行公開前日で、札幌で同じ顔ぶれによる前夜祭が行われた日でした。大林監督は「去年の今日は、みんなで北海道で上映ツアーをやってたね」と、品川さんの肩を抱きながら振り返りました。おふたりが最近見た、チェチェンでの戦争を描いた公開中の映画「あの日の声を探して」について、品川さんは「悲しいを通り越した過酷な現実を見せられて、戦争がこんなにひどい状況かと、あの映画で描かれた世界が信じられない。為政者というのは政治的思惑で戦争をしかけるが、まさに戦争犯罪人と言って差し支えないような、そういう人たち」と話し、大林監督は「それを映画で見ると世界に伝えられる。われわれが老人だから描かなきゃいけないものがあって、野のなななのかも、それをきちんとやったよね」と応じました。

芦別のみなさんからは「品川さん、受賞おめでとうございます。私たちは品川さんを語り手に迎え、明日を生きる子供たちに語り伝えたい芦別の物語や町の姿を、一本の作品に結晶させることができました。この作品を通じてふるさとや映画を愛する人たちと出会うことができました。品川さん、また帰ってきてください。お帰りなさいと迎えます」というメッセージが寄せられ、大林監督が壇上で披露してくれました。

また、常盤さんはロケ中の思い出をこんなふうに話してくれました。
常盤さん「ロケをしていた芦別のホテルで、品川さんと隣の部屋でした。1か月間、毎日毎日、朝なんですけど品川さんの長ぜりふが聞こえてくるんです」。
品川さん「台本をいただいて、え?こんな長ぜりふあるんだ、と一月くらい前から覚えだしたんです。あのシーンは撮影の最後。1日では無理だから3日に分けてほしいと監督に申し上げたんだけど、あれを最後に持ってくるのは…」。
大林監督「その緊張感を撮影中ずっと持ってほしいから最後に持ってったのね」。
品川さん「撮影のない日は部屋の中やロビーでせりふを練習せざるを得ない心境なんですね。常盤さんは部屋にいて、長ぜりふの練習がお邪魔してたわけね」
常盤さん「はい、聞いておりました」、
こんな軽妙なやりとりが、来場者を湧かせました。

公開中の「龍三と七人の子分たち」では、ダンディーな拳銃使いの元親分「早撃ちのマック」を演じている品川さん、今年80歳になりますが、ますますお元気な姿を見せてくれることを期待しましょう。

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主演女優賞の二階堂ふみさんは、「私の男」の熊切和嘉監督との出会いについて、「初めてお会いしたのが16歳の冬。いろんな葛藤みたいなもの、果たして私は映画をつくる人間として本当にやっていけるのかという心配もあったし、いろんなことに悩んでいた時期。でも熊切さんに会って初めて目があった時から、この人とは絶対に一緒にやらなきゃいけないと思ったし、そこからずっと思い続けて、ベネチア映画祭で一緒にやりたい監督について尋ねられた時も、熊切さんと答えたし、2年越しの思いが通じてご一緒でき、思い出のある運命の作品だな、と思います」と話しました。

また、斜里町ウトロでの流氷の海に入る撮影については「寒かったです。浅野忠信さんが寒いところにたくさん行かれてたので、どうなんですか? と聞いたら、寒いと思えるうちはまだ幸せなんだよね、とおっしゃっていて、寒さにも奥があることを知りました。すごい貴重な体験だったなと思います」と振り返りました。最後に「これからもいろんな人と出会って、いろんな作品をつくっていけたらいいなと思います」と話してくれました。今では日本映画を代表する若手女優になった二階堂ふみさん、これからどんな表情を見せてくれるのか、本当に楽しみです。

授賞式に続くオールナイトでは「百円の恋」「私の男」「おとぎ話みたい」の3作品が上映され、その緊張感の連続に一睡もできなかったのは言うまでもありません(一瞬寝ました)。

(理事・加藤敦)

日本アカデミー賞が発表!

第38回日本アカデミー賞が先日、発表されました。

優秀アニメーション作品賞では、

釧路をモデルにした「思い出のマーニー」(米林宏昌監督)

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(C)2014 GNDHDDTK

北方領土が舞台の「ジョバンニの島」(西久保瑞穂監督)

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が選ばれました!

また、優秀主演女優賞を

函館ロケ「そこのみにて光輝く」の池脇千鶴さん

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(C)2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会

紋別ロケ「私の男」の二階堂ふみさんが受賞されました。

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(C)2014「私の男」製作委員会

おめでとうございます!

故人の功績を偲ぶ「会長特別賞」では、

ミュージアム館長・小檜山博原作の映画化、「光る女」(87年)をはじめ、

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夕張ロケ「海へ See you」(88)

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奥尻ロケ「おろしや国酔夢譚」(92)などを手掛けた

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編集マン・鈴木晄さん(享年85)。

釧路・静内ロケ「トラック野郎 望郷一番星」など、

トラック野郎シリーズの鈴木則文監督(享年80)と、

主演の菅原文太さん(享年81)が名を連ねました。

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また、「協会特別賞」は、

稚内・サロマロケ「南極物語」(82)

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「おろしや国粋夢譚」(92)の装飾を担当した

大坂和美さんにも贈られました。

授賞式は、2月27日の予定。

作品やキャストはもちろん、

様々なスタッフに賞が贈られるのも、

総合芸術である映画ならでは。

関係者の努力に感謝しつつ、良作の誕生を喜びたいですね!

公式サイトはコチラ

キネ旬ベスト1位は函館ロケ「そこのみにて光輝く」!

映画ファンにとって気になる

ベストテン発表の時期がやってまいりました。

昨日8日発表された

「2014年第88回キネマ旬報ベスト・テン」は、

北海道ロケが続々入賞!

1位 函館ロケ「そこのみにて光輝く」

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(C)2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会

4位 芦別ロケ「野のなななのか」

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©2014 芦別映画製作委員会/PSC
配給/PSC TMエンタテインメント

7位 紋別ロケ「私の男」

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(C)2014「私の男」製作委員会

そして、嬉しいことに

「そこのみにて光輝く」は、

監督賞(呉美保監督)、脚本賞(高田亮)、

主演男優賞(綾野剛)も受賞!!!

改めて、おめでとうございます!

北海道ロケ作の底力を感じますね。

2月7日には東京で表彰式が行われます。

関係者の方々、おめでとうございます!

2014年振り返り⑥紋別ロケ「私の男」

2014年を北海道ロケで振り返る第六弾。

6月には、紋別ロケ「私の男」

(熊切和嘉監督)が公開されました。

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(C)2014「私の男」製作委員会

桜庭一樹さんの同名小説の映画化。

オホーツクの流氷を背景に、究極の愛を描く16年の物語です。

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衝撃的な内容と描写は、海外の映画ファンを驚かせ、

第36回モスクワ国際映画祭の最優秀作品賞を受賞!

さらに、主演の浅野忠信さんも最優秀男優賞に選ばれ、

大きな話題となりました。

ブログでは、原作小説を紹介する特集連載や、

帯広出身の熊切監督の凱旋記者会見をレポート!

読み逃した方、ぜひチェックを。→コチラ

紋別ロケ「私の男」ロケ地巡り!

映画「大地の侍」紋別上映会の帰り道、

せっかくの機会なので、

紋別ロケ「私の男」(熊切和嘉監督)の

ロケ地に足を運びました。

と言っても、バスの乗車までわずか1時間。

駆け足の旅でした。

紋別市立博物館から

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坂を下り、海へ向かって歩くこと10分。

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到着したのは、「船着場」。

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すぐ近くの「漁港」を含めて、紋別シーンの

クライマックスに至る重要な場面に登場します。

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オホーツク海は、映画が撮影された冬の海とは違う

穏やかで、気持ちよい表情を見せていました。

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そこから氷紋の駅へ向かって徒歩10分、

「バスターミナル」に到着します。

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ここも、その船着場の前に登場します。

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まだまだ行きたい場所がありましたが、

今回はここでタイムアップ。

少しでしたが、この紋別の街に身を置くだけでも、

登場人物たちの思いを馳せることができました。

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(C)2014「私の男」製作委員会

 

さらには、冬、寒さの厳しいこの街でロケを行った

熊切監督たちスタッフの熱意も感じました!

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ロケ地マップはミュージアム館内に展示中!

映画の後は、ミュージアム&紋別へどうぞ。

「私の男」の熊切監督、札幌で凱旋会見!

先日、モスクワ国際映画祭で最優秀作品賞に

選ばれた紋別ロケ「私の男」。

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(C)2014「私の男」製作委員会

帯広出身の熊切和嘉監督が12日(土)、

シアターキノで記者会見を行いました!

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受賞後、初の北海道凱旋だけあって、

取材陣が多く集まり、熱気に満ちた会見の模様をご紹介します。

* * *

シアターキノ・中島代表/私は、この作品を北海道の紋別で撮ると聞いた時から期待していたんですけれど、完成した映画を観た時に、紋別のシーンは北海道出身の熊切さんだから撮れた、熊切さん以外の人には撮れない映像だと感じました。今年は良作の北海道ロケ映画がたくさん公開されていますが、ついに本命がきた!という感じで、僕らも非常に嬉しいです。

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熊切監督/受賞の知らせを聞いた時は、台北映画祭に行ってまして、授賞式には出られなかったんです。受賞後、たくさんの方からメールをいただきました。普段は家で一人さびしく酒を飲んでいるのですが、自分にはこんなに祝ってくれる人がいるんだ、と思いました(笑)

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記者/受賞して2週間、今の率直な心境は?

熊切監督/今日初めてトロフィーを見たので、本当に獲ったんだなという気持ちです。受賞後も色々と仕事で忙しくしていたので、改めて実感が沸いています。こうして北海道で祝っていただいて嬉しいです。

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記者/いろんな方から連絡をいただいたということですが、特に北海道のご家族やご友人からの反応は?

熊切監督/僕が「映画を撮ってみたい」と初めて言い出したときの、中学校の同級生から『ついにきたな!』とメールをくれて、それが一番嬉しかったです。

記者/なぜ、北海道が舞台の原作を映画化しようと?監督が北海道ご出身は影響していますか?

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熊切監督/原作に惹かれたのは、まず第一に父と娘の関係に非常に興味を持ったから。文学で描かれたこういうことが、最近の日本映画では描かれません。そういうことに挑戦したかったんです。次に、奥尻の地震や拓銀破綻など、90年代以降の北海道が背景に描かれていて、そこに興味がありました。当時、僕は大阪の大学にいて、北海道を離れていたので、逆に興味があったんです。

記者/紋別のシーンは、北海道の人間には馴染み深い風景ですが、そこで描かれる内容はある意味人間の本質というか、性(さが)を突き抜けていて、その対比が面白いなと思いました。モスクワの映画祭では、審査員にどういう点が評価されたのでしょうか?

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(C)2014「私の男」製作委員会

熊切監督/公式上映の前の取材では『今回、映画祭の中で最も挑発的な映画だと思う。それが吉と出るか凶と出るか』と質問されて、答えられませんでした(笑)。上映中、実は過激なシーンで10人ほどが席を立たれたので、「これは凶かな」と思いましたけれど、上映後は『今まで観た日本映画の中で一番生々しいものを見せてもらった』と声を掛けてくださる方もいて、非常に良い反応がありました。日本でも賛否両論ですが、向こうでも同じような反応でした。

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記者/現地での反応をもう少し教えて下さい。

熊切監督/日本でもモラルの部分で言われることはありますが、特にロシアは信心深い方が多いようで、「監督はどういう宗教教育を受けて育ったのか」などと家庭環境を問われて、僕はむっとしたんですが(笑)、「親は学歴はないけれど愛のある家庭で育ちました」などと事細かに答えたのは覚えています。

記者/撮影で大変だったことは?

熊切監督/重要な流氷が年々減っていると聞いて心配でしたが、ロケハンの時にちょうど水平線の向こうに白く見えて、そういう意味では恵まれた撮影でした。現場で大変だったことを言い出したらきりがないのですが、一番は、その流氷に雪が積もると、ただの雪原に見えてしまう。せっかく流氷の上で撮影しているのですから、何とか〝氷感〟を出したくて、ワンカット撮るごとにスタッフみんなで氷の上を掃いたり、氷と氷の隙間をザルですくったりして、全然現場が進まない(苦笑)。それが肉体的に大変でした。その中で、特に二階堂ふみさんはセミドライスーツを着ていたとはいえ、海の中に入ったのが大変だったと思います。

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(C)2014「私の男」製作委員会

 

記者/それは監督のご指示ですか?

熊切監督/そうですね。とは言いつつ、僕も「どうしてもできません!」と言われたら何か考えようと思っていましたが、撮影日の朝、二階堂さんが「私は今回、流氷の海で死ぬ気で来ました!」と気合十分だったのでやってもらいました(笑)。

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記者/これから映画を観る方にメッセージをお願いします。

熊切監督/一見センセーショナルな題材ではありますが、色眼鏡なしで向き合ってくれたら、きっと見えてくるものがあると信じて撮りました。

記者/今後も北海道を舞台にした映画を撮りたいという思いは?

熊切監督/ありますね。本当に、ずっと北海道で撮りたいんですよ。北海道を舞台にした映画ってたくさんありますけど、まだ描かれていないものはいっぱいある気がします。うまく言えませんが、ローカルを突き詰めて行けば、逆に新しいものが生み出せる気がします。

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* * *

さて、いかがだったでしょうか?

「北海道でまだまだ映画を撮りたい」という

熊切監督の言葉を、とても嬉しく、力強く感じました。

ということで、映画「私の男」はシアターキノで公開中!

お見逃しなく。(アラタメ)

※キノの公式サイトはコチラ
映画の公式サイトはコチラ

「私の男」がモスクワ映画祭で最高賞に!

すでに新聞やテレビのニュースでご存じの方も多いことでしょう。

現在公開中の紋別ロケ「私の男」(熊切和嘉監督)が、

第36回モスクワ国際映画祭の最優秀作品賞を受賞!

主演の浅野忠信さんも、最優秀男優賞に選ばれました!

帯広出身の熊切監督、おめでとうございます!!

ミュージアム館内には、ロケ地マップを展示中。

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映画を観た後は、ぜひこちらを参考に

撮影地にまで足を運んでみてはいかがですか。

ちなみに、東京の渋谷HUMAXシネマなどでは

公開に合わせて“流氷サワー”を期間限定販売!

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確かにこの季節、流氷シーン&

サワーで涼むというのもアリかもしれません。

北海道の方も、本州の方もどうぞ劇場へ!

紋別・斜里ロケ「私の男」特集番外編~オホーツクの流氷

6月14日の公開に向け、

紋別・斜里ロケ「私の男」(熊切和嘉監督)を

原作小説とともに紹介する特集も今回がラスト。

最後は番外編として、物語の重要な舞台となる

オホーツクの海、紋別の町の描写をご紹介します。

* * *

少女「花」と「淳悟」が暮らすのは、北海道紋別の田舎町。

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わたしが住んでいるのは北海道の北東、網走市から海沿いに、北端に向かった荒野にぽつんとある、紋別市という町だ。このちいさな町に守られて、じんわり包みこまれて、わたしたちは寄りそって暮らしている。 (小説「私の男」より)

ふたりの目線の先には、常にオホーツク海がありました。

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黒ずんで、波飛沫が氷の粒みたいで、どこまでも暗くて重苦しい、不思議な海。流氷の到来を告げる白いほそい帯が、水平線の辺りにかすかに浮かんでいた。凍りかけの海はシャーベットみたいに全体がねっとりしていて、地元ではそれを、海が眠くなった、と言ったりする。 (小説「私の男」より)

冬、凍てつく寒さとともに町を覆う「流氷」も

この作品に欠かせない舞台装置です。

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高台にあるこの宿舎から、遠く見下ろすことができるオホーツクの海。海岸一帯に、昨日まではなかった青白い平野が眩しく輝いていた。きぃん、と冷えた冬の気配がいちだんと増して、辿りついたばかりでまだ固まりきらない、シベリアから流れてきた氷の塊が、波といっしょにゆらゆら揺れていた。
 流氷の接岸初日だ。 (小説「私の男」より)

この美しくも冷たい自然現象が、

ふたりの大きな秘密を生む場所になるのです・・・。

流氷の上には誰もいなかった。日曜の朝早くのせいか、朝の海岸には人気がなくて、ただ反射する光で、氷の平野だけがこの世ではない場所のように真っ白に輝いていた。(中略)吐く息が白くて、風がつめたくて、流氷の上にいると、寂しくて心細い気持ちが押しよせてきた。自然だけが、人に突きつけることのできる寂しさだった。 (小説「私の男」より)

* * *

さて、5回にわたって原作の一部と映画スチールをご紹介しました。

豪華キャストに加え、荒々しく、繊細な北海道の大自然も

この作品の見どころでしょう。

6月14日の公開をどうぞお楽しみに!

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(C)2014「私の男」製作委員会

「私の男」公式サイトはコチラ

紋別・斜里ロケ「私の男」特集④~藤竜也演じる「大塩」

6月14日の公開に向け、

紋別・斜里ロケ「私の男」(熊切和嘉監督)を

原作小説とともに紹介する特集第四弾です!

* * *

少女「花」と、彼女を引き取った「淳悟」。

ふたりの関係に影響を及ぼす

北海道編のキーパーソンが、藤竜也さん演じる「大塩」です。

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 大塩のおじさんが立っていた。毛糸の帽子に耳当てに、分厚いマフラー。防寒が万全の服装をして、銀色のちいさなカメラをかまえている。宿舎の前の、雪柳の灰色の枝にカメラのレンズを向けたままで、こっちを振りかえっていた。わたしは思わずくすりと笑った。 (小説「私の男」より)

「大塩」は、北海道紋別で「淳悟」と暮らす

「花」を優しく見守っていました。

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ところがある出来事を機に、その関係は急変するのです・・・。

 大塩さんは目をそらした。どうしてこんなに年老いてしまったんだろうと不思議になるぐらい、週の初めに会ったときとはちがう姿だった。歩きだした大塩さんに、わたしも続いた。よろよろした歩き方に、思わず手をのばして、腕を支えた。 (小説「私の男」より)

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(C)2014「私の男」製作委員会

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