「モルエラニの霧の中」札幌試写会レポート

室蘭在住の坪川拓史監督が、市民と一緒に制作した北海道・西胆振が舞台の短編オムニバス映画「モルエラニの霧の中」の札幌試写会が3月16日に開催されました。スタッフ・新目がレポートします。

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街で実際に起きたエピソードをもとに、その実際の場所で、時にはエピソードに登場する市民本人も出演しながら撮影したという、“街の自画像”のような物語。2014年のクランクインから市民有志が「室蘭映画製作応援団」を結成し、全国各地に仲間を募ってロケを支援してようやく完成したのです! 札幌会場も応援してきた200人を超える人たちでびっしり。

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期待と興奮が高まる中、坪川監督が登壇すると、大きな拍手が。坪川監督は「5年間…長かったですが、ようやく完成しました」と喜びを噛み締めるように挨拶。香川京子さんや小松政夫さん、大塚寧々さんら多数出演する俳優さんの中でも、昨年2月に急逝した大杉漣さんとの思い出を振り返り、「『もう一度出してよ』と言われて、出演してもらおうと追加のシーンを考えていたところだったので本当に残念でした。でも、映画で何度でも会えます」と語っていました。

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作品は、冬の章「水族館のはなし」、春の章「写真館のはなし」、夏の章「港のはなし」、晩夏の章「Via Dolorosa」、秋の章「科学館のはなし」、晩秋の章「蒸気機関車のはなし」、初冬の章「樹木医のはなし」の全7章で構成され、6分~42分と時間もさまざま。ある章では助演だった人物が、ほかの章では主人公になったりしていて、それぞれの人生を静かに、時に幻想的に活写します。私は特に、「港のはなし」のラストシーンが胸に残りました。
この映画のもうひとつの主人公はまさに“街”。何気ない室蘭の街並みや建物、海岸線、工場群、空など、スクリーンいっぱいに映し出される風景が、どれも本当に美しい! その眼差しは、単なる観光風景とは異なり、この街で生き、この街の人たちと深く関わってきた坪川監督だからこそ醸し出せる優しさ、愛おしさに満ちていました。

休憩をはさんで約4時間の上映後、再び坪川監督が登場。会場に駆け付けた市民出演者を一人一人呼び、檀上で紹介していました。

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皆さん感無量の様子で、会場からも大きな拍手が送られました。
映画は今後、劇場公開に向けて活動するそうです。応援・協賛など募集中ですので、まずは公式Facebookをチェックしてみてください(こちら)。

坪川監督、そして応援団の皆さん、本当にお疲れ様でした。宝物のような映画をありがとうございました!

香川京子さんと北海道

東京・シネマヴェーラ渋谷で、新東宝70周年記念特集として2月25日から3月17日まで「新東宝のディープな世界」が上映されています。3月5日には、新東宝で女優人生をスタートさせた香川京子さんのトークショーが開かれるとともに、デビュー間もないころの出演作「君と行くアメリカ航路」(1950年)「東京のヒロイン」(50年)「若様侍捕物帖 呪いの人形師」(51年)が上映されました。

トークの中で香川さんは、田中絹代さんらが参加した「女の暦」(54年)の小豆島ロケでのできごととして、「同じ時期に『二十四の瞳』のロケが行われていて、高峰秀子さんが大石先生の衣装のまま、田中絹代さんに会いにいらしたんですよ」と、想像するだけでも豪華なエピソードを語ったほか、「当時は時代劇の日本髪はかつらではなく、自分の髪の毛。朝6時半に入って、コテで伸ばして、びんつけで9時の撮影開始に間に合うように結ってもらいました。そのころはお下げ髪にしていましたが、時代劇にそなえて切ることができませんでした」と、撮影の裏話 も披露してくれました。

さらに「昔の作品を上映していただき、お客様に来ていただいて幸せです。これからも映画の語り部としてお話をしていければ、と思います」と、満席の観客を前に語ってくれました。

トークの写真は撮れなかったので、最近出た「異端の映画史 新東宝の世界」に書いてもらったサインを代わりに

トークの写真は撮れなかったので、最近出た「異端の映画史 新東宝の世界」に書いてもらったサインを代わりに

香川京子さんは、近年はインディペンデント作品にも多く出演し、若手監督を応援してくれています。昨年秋、第1部の試写会が行われた室蘭映画「モルエラニの霧の中」(坪川拓史監督)もその一つ。謎めいた老婦人の役で出演しています。トーク終了後、「モルエラニに出ていただいて、ありがとうございます。映画はまだ全部完成していないようですが、北海道の映画ファンみんなが楽しみにしています」と伝え、北海道の映画好き代表としての任務を完了すると「(完成していないことについて)そうですね。ありがとうございます」と答えてくれました。

香川さんは、近年では「天国の本屋~恋火」(2004年、篠原哲雄監督)でも小樽ロケに参加しているほか、古くは、北の映像ミュージアムで上映会を開いた「森と湖のまつり」(1958年、内田吐夢監督)にも出演しています。「モルエラニの霧の中」についてはこちら

ところで、この日上映された「東京のヒロイン」には、当時の北海道新聞東京支社が出てきます。雑誌記者の森雅之が勤める「人間喜劇」社の窓から見えるビルがそれ。こうした室内撮影は通常、セットで行われ、風景は書き割りや写真が多いのですが、窓の下の隣のビルの屋上で動いている人がいて、列車の車窓風景などで使われるリアプロジェクションのような不自然さもないため、ロケのようです。香川京子さんは、森雅之の相手役、轟夕起子の妹役で出演しています。北海道新聞東京支社は、岡本喜八監督のデビュー作「結婚のすべて」(1958年)にも出てくるほか、娯楽映画研究家の佐藤利明さんが教えてくれたところでは、日活の撮影所に作られた銀座のパーマネントセットに北海道新聞東京支社の建物があり、「銀座の恋の物語」(1962年)のスチール写真に使われています。

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「銀座の恋の物語」のスチール写真。石原裕次郎と浅丘ルリ子の後ろに、北海道新聞の建物

香川京子さんにサインを書いてもらった、上の「異端の映画史 新東宝の世界」の香川さんインタビューには「当時、1日だけ舞台の仕事をしたことがあります。一つは北海道のアイヌの話で、アイヌの娘の役で出た記憶があります」というくだりがあります。香川京子さんと北海道、結構色々なつながりがあるものですね。(理事・加藤敦)

室蘭ロケ最新作「モルエラニの霧の中」第1部特別試写会情報!

ミュージアム開館5周年記念イベントに

ゲストでご参加くださった坪川拓史監督が

室蘭で製作している映画「モルエラニの霧の中」。

第1部の特別試写会が札幌&東京で開催されます。

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日程は次のとおり。

【札幌会場】
・日 時:2016年10月23日(日)
12:30 開場/13:00 開演/15:00 終演予定
・場 所:札幌プラザ2・5(札幌市中央区南2西5 狸小路5丁目)

【東京会場】
・日 時:2016年12月6日(火)
18:00 開場/18:30 開演/20:30 終演予定
・場 所:江戸東京博物館 1階ホール(東京都墨田区横網1-4-1)

いずれも全席自由。

一般の来場者は前売り券1000円(当日1200円)。

開催前日までに、メール(info@moruerani.com)または

電話(0143-50-6200)にて室蘭映画製作応援団まで、

お名前、ご住所、電話番号、メールアドレス(お持ちの方のみ)を

連絡すれば、前売価格で鑑賞できるそう。

ぜひこの機会に!詳しくは公式サイト(こちら)まで。

2015年振り返り⑨~モルエラニの霧の中

10個のキーワードで2015年の

ミュージアムを振り返る企画第9弾。

今回のキーワードは「モルエラニの霧の中」です!

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これは、室蘭をはじめ、西いぶりでロケ進行中の映画。

室蘭生まれ、長万部育ちの坪川拓史監督は、

2014年にご来館くださいました。

7話で構成されたオムニバス映画として、

2014年から撮影を進めているこの作品。

ミュージアムも、応援しております!

※公式サイトはこちら

西いぶりロケ「モルエラニの霧の中」応援募集中!

室蘭生まれ、長万部育ちの坪川拓史監督。

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2014年にはミュージアムにご来館くださいました。

※当時の記事はこちら

取り壊された「長万部劇場」を舞台に

9年がかりで自主制作した長編1作目

「美式天然(うつくしきてんねん)」が

イタリア・トリノ映画祭グランプリ&観客賞を日本人初でW受賞。

長編2作目「アリア」は、

フランスKINOTAYO映画祭最優秀観客賞を受賞するなど、

海外で高い評価を受けています。

そんな坪川監督が2011年から移り住む室蘭をはじめ、

西いぶりを舞台に2014年から撮影しているのが、

「モルエラニの霧の中」です。

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※公式サイトはこちら

これは、7話で構成されたオムニバス映画。

大塚寧々さんや小松政夫さんなどプロの俳優さんと

地元市民キャストが共演し、

西いぶりの四季を背景に7つのストーリーを紡ぎます。

これまでに3度撮影を行いました。

この西いぶりご当地映画、応援や協賛などを随時募集中!

 

ミュージアムにもポスターやチラシがあるので

ご興味ある方はぜひお手にとってください。

〝鳴り砂〟のある砂浜、断崖の絶景、工場群…

見慣れたあの街の風景が、どんな風にスクリーンに登場するのか。

楽しみですね。応援!!

2015年のお楽しみ!⑦胆振ロケ「モルエラニの霧の中」

現在、胆振で作られているのが、

ショートムービーのオムニバス「モルエラニの霧の中」。

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長万部出身の坪川拓史監督がメガホンを取り、

室蘭を中心に地元住民が応援する取り組みです。

全7章の作品は、約2年をかけて撮影し、

地元室蘭では1章完成ごとに完成披露試写会を開催するそう。

大塚寧々さんら俳優陣の演技が、

海・花・雪など美しい自然と人工的な工場夜景を併せ持つ

室蘭の街並みの中で、どう花開くのか。

北海道にとって、大切な一作になりそうな予感です!

坪川拓史監督来館

今月21日からシアターキノで公開される

「ハーメルン」の坪川監督が来館、

チラシを持参していただきました。

以前からミュージアムを見学したかったとのことで、

「ハーメルン」でも登場する

富士セントラルの映写機の前で一枚。

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幼少期を室蘭の輪西で過ごした坪川監督は、

毎日眼下の新日鐵を双眼鏡で眺めて過ごしていたそうです。

これが後に、室蘭を舞台にした

映画「モルエラニの霧の中」に至り、

先月から撮影が始まったのでした。

足掛け三年を予定する長い撮影です。

室蘭の街を脚を使って見て歩いた監督なら、

あの場所もあの場所もきっとロケされるだろうと期待できます。

今日は奥深い室蘭の話と、

隠れた名店「ラ○プ○」の話で非常に盛り上がりました。

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一作ごとに地域に寄り添い、

風景を大切に撮り上げる坪川監督の姿勢は、

それゆえ撮影期間が長くなりがちとの事です。

この度の福島ロケ作品「ハーメルン」も、

季節ごとの風景を追い、異常気象やあの震災など、

何度も撮影中断を経て完成したのでした。

劇場公開をお楽しみに。(M)

西胆振ロケ「モルエラニの霧の中」の撮影スタート!

先日ご紹介した室蘭在住の坪川拓史監督の

西胆振ロケ「モルエラニの霧の中」の撮影が、

14日に始まりました!

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主演は大塚寧々さんと河合龍之介さんで、

各1時間の7作品から成るオムニバスになるそう。

う~ん、どんな作品になるのか、楽しみですね。

ちなみに市民でつくる「室蘭映画製作応援団」は、

映画の製作資金を募る「クラウドファンディング」募集をスタート。

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5000円の場合、映画の舞台となるイタンキ浜の鳴り砂

(もしくは、室蘭での完成披露試写会招待)プレゼントなど、

協力者にはさまざまな特典があるようです。

※詳細はコチラ

こんなカタチで映画作りに参加するのも面白いですね!

室蘭ロケ「モルエラニの霧の中」、市民オーディションを開催!

先日お伝えした室蘭ロケ「モルエラニの霧の中」の続報です。

※以前の記事はコチラ

さっそく、市民オーディションが行われたとのこと!

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5月には撮影が始まる予定だそうで、大変楽しみですね。

さて、改めて監督さんのご紹介から。

映画監督・坪川拓史さんは北海道生まれ、現在室蘭在住。

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舞台俳優やアコーディオン奏者として活動するかたわら、

1996年から長編「美式天然」を作り始め、なんと9年(!)かけて完成。

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「第23回トリノ国際映画祭」長編コンペティション部門で

グランプリと最優秀観客賞のW受賞を達成し、

世界各国の国際映画祭に招かれるなど、高い評価を得ています。

2作目「アリア」を経て、

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現在は最新作「ハーメルン」が公開中!

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その坪川監督が、室蘭を舞台にしたオムニバス映画の

撮影をスタートさせるのに合わせて、

映画製作に協力しながら、室蘭を盛り上げよう!

という活動が、ご紹介の「室蘭映画製作応援団」です。

団長の室蘭まちづくり放送・沼田勇也社長から、

ミュージアムにメッセージをいただきました。

* * *

沼田団長/(坪川監督は)もともとFMびゅー(室蘭まちづくり放送)で番組を持っていただいていることもあり、室蘭で映画を製作予定と聴いていて、協力させていただきたいと思っていたところだったので、こうしてマチを上げての応援団が誕生して本当に良かったと思います。
坪川さんを信じていますので、きっと良い作品を完成させてくれて、それがマチの文化、記録、観光と様々な効果につながってくれるとも信じています。

* * *

「室蘭映画製作応援団」の応援団員は誰でも参加OK!

下記の内容を明記し、連絡先(m.eiga@fmview.jp)までご連絡ください。

<内 容>
1.ご協力内容(協賛金、出演、食事、宿泊、送迎、機材、交通誘導、広報・・・)
2.氏名
3.性別
4.年齢
5.電話番号(詳細を後日ご連絡致します)
6.住所(○○市○○町まで)

室蘭を舞台にした新しい作品、今から待ち遠しいですね!

坪川監督の公式サイトはコチラです。(アラタメ)

室蘭在住の坪川監督、西胆振で撮影!

嬉しいニュースが飛び込んできました!

室蘭在住の映画監督、坪川拓史さんが来月、

西胆振で新作「モルエラニの霧の中」を撮影するとのこと!

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大杉漣さん、小松政夫さんらが出演するとか。

「モルエラニ」とは「小さな下り坂」を意味するアイヌ語。

市民らによる「室蘭映画製作応援団」が、

エキストラなど映画製作をサポートするそう。

坪川監督といえば、私(アラタメ)も何度かお会いした方。

「美式天然」など独特で美しい作品は、海外でも高い評価を受けています。

この話題については、後日、詳細をご紹介する予定!

室蘭を舞台にした新しい傑作が生まれる予感。期待!

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(アラタメ)