オープンまでの道のり⑤~ゆうばり映画祭応援~

今日は秋晴れ!

少し冷たいですが、心地よい秋風が吹く札幌です。

さて、本日は月曜休館日。

不定期連載「オープンまでの道のり」をどうぞ。

◆ ◆ ◆

2007年7月、ミュージアムは

映画とフォーラムの集い「頑張れ!映画のまち夕張」

と題したイベントを開催しました。

ご存知の通り、夕張市の財政破綻によって前年休止となった

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」

を応援するためです。

パネリストに

映画評論家の品田雄吉さん、

WAHAHA本舗主宰者で

夕張ロケ「冬の幽霊たち」を製作した喰始(たべ・はじめ)さん、

NPO法人「ゆうばりファンタ」の沢田直矢さんの3氏をお招きし、

コーディネーター役のミュージアム理事・中島洋さん(シアターキノ代表)

とともに 映画祭の未来、

そして、北海道と映画との関係について熱く語ってもらいました。

また、2002年のゆうばり映画祭でヤング・ファンタ・グランプリを獲得した

韓国映画「猟奇的な彼女」と「冬の幽霊たち」の2本を上映。

イベントの益金10万円を映画祭実行委員会に寄付し、エールを送りました。

ミュージアムがこの映画祭を応援する理由を、

会員の吉野力太さんが会報9号(2007年発行)の

巻頭エッセイの中でこう述べています。

 ゆうばり映画祭は17年続いた歴史のなかで、大スターが一介の市民とストーブを囲んで語り合い、そして良い思い出を持ち帰り、ノーギャラでもよいからまた行きたい、という文化を培った。  夕張というまちそのものが「映画と北海道」の関係を凝縮しているといってもいいいだろう。  北海道と映画のかかわりを大切にし、映像資料をアーカイブとして保存し、未来につなげる場の実現を目指す私たちNPO法人「北の映像ミュージアム」推進協議会にとっては、ゆうばり映画祭もまた、最優先に大切にしなければならない「北海道の文化財産」と位置づけたい。

我々を含め、こうした市民の熱い想いが寄せられ、

ゆうばり映画祭は2008年に復活!

今年度も2012年2月23日(木)~27日(月)に開かれる予定です。

夕張をはじめ、函館、芦別など道内各地で開かれる映画祭。

その灯を絶やさぬよう応援し続けることも、

ミュージアムの使命だと思うのです。

11月、北大に映画館が出現!

今日は曇り空の札幌です。

さて、みなさんは かつて、北海道大学に

映画館があったことをご存知ですか?

それを知った北大生たちが、

「常設の映画館を北大に作ろう!」という 活動を続けています。

彼らのイベント

「期間限定北大映画館 CLARK THEATER(クラーク シアター)」が、

11月2日(水)~6日(日)、開かれます!

6年目となる今年も、さまざまなプログラムを用意。

目玉のひとつが、11月3日(木)14:15~17:15

35mmフィルム「恋するトマト」&トークショー!

トークショーには 原作者(「スコール」)の小檜山博さんと

製作・主演の大地康雄さんが登場!

小檜山さんは 私たちミュージアムの理事長兼館長でもあります。

ミュージアムにもミニコーナーを設けています。

この映画は 北海道がロケ地ではありませんが、

北海道の基幹産業・農業をテーマにした、ちょっと切ないラブストーリー。

お二人のトークではどんな話が飛び出すのか…ご期待ください。

このほか、イタリア映画の傑作「自転車泥棒」や

札幌国際短編映画祭協力のプログラムなど、盛りだくさんの内容!

ぜひ、この機会に足をお運びください。

イベント詳細はコチラから↓

http://www.clarktheater.jp/ct2011/

映画の魅力を伝えたい。

そんな熱い思いを持つ北海道の若い世代も

ミュージアムはどんどん応援します!

「君の名は」のロケ地を探して

今日も空気が澄み、静かな晩秋の札幌です。

さて、ミュージアムは、意義のひとつに

「本を求めて図書館に通うように、

見たい映画や調べたい映像を探し、鑑賞できる」ことを挙げています。

そんな利用が今日ありました。

いらっしゃったのは、

北海道武蔵女子短期大学非常勤講師の萩本和之さん。

「君の名は 第二部」(53年、大庭秀雄監督)の

詳しいロケ地を確認したい、という要望でした。

さっそく、中標津出身の佐々木純副理事長と一緒に鑑賞。

「ここは美幌だね…」「これは北海道ではないな…」

何度も見返して確認し、はっきりしない部分は

ミュージアム理事の映画研究家・高村賢治さんに確認。

高村さんによると、美幌と弟子屈での撮影があったとか。

ちなみに、「君の名は」は

後宮春樹と氏家真知子の悲恋物語。

1952年からラジオでゴールデンタイムに放送され、

『女湯がカラになった』と言われるほどの人気番組でした。

翌53年に岸恵子と佐田啓二主演で映画化され、またもや大ヒット!

岸恵子のストールの巻き方が

“真知子巻き”として流行するなど、

「君の名はブーム」が全国を席巻したそうです。

この映画全3部作のうちの2部のロケ地が、美幌。

慕い合う2人が再会し、またもやすれ違ってしまう

最果ての地、として登場します。

萩本さんは小学2、3年生のころ、

ラジオの放送を聞いていた覚えがあるのだそう。

そんな当時の記憶を話しながら、

画面をじっくりご覧くださっていました。

「キネマ旬報」最新号は必読!

今日は穏やかな1日でした。

さて、最新号の「キネマ旬報」(11月上旬号)は

もうご覧になりましたか?

大変うれしいことに、

評論家の川本三郎さんがご自身の人気コラム

「映画を見ればわかること」(P66~67)の中で、

ミュージアムのことをご紹介くださいました!

川本さんは、2003年6月

ミュージアムのNPO法人設立記念上映会で

ゲストにお越しくださって以来、

ずっとこの活動を応援してくださっています。

9月17日のオープン記念上映会でも、

函館出身の大女優・高峰秀子さんの魅力を

思い出を交えながら語ってくださいました。

キネ旬のコラムでは、

和田由美事務局長、高村賢治理事、

故・山田昻さんを紹介し、

オープンまでの努力に光を当ててくれています。

札幌ロケ「探偵はBARにいる」や

釧路ロケ「挽歌」の話題を織り交ぜ、

川本さんの北海道に対する思い入れが

伝わるステキな内容です。

このコラムを通じて、

1人でも多くの方にミュージアムを知ってもらえれば。

北の大地と、

ここで生まれた映画に魅せられた人の輪が、

ますます広がってくれれば、こんなにうれしいことはありません。

移動映写機と板垣さんのお話

ここ数日の雨風で、紅葉した木々の葉も

だいぶ落ちてしまったようです。

さて、今日は朝一番に

札幌の板垣六郎さん(68)という方が

いらっしゃいました。

この板垣さんの趣味というのが、

移動映写機!

ご自宅の倉庫で写した

たくさんの写真をお持ちくださいました。

板垣さんは20代のころ、北大の近くにあった

別当興業(株)の「エルム映劇」という映画館で

映写技師として勤めていたそうです。

映画の仕事から離れた後も、

移動映写をする知り合いから

機材を譲り受けたりして、

個人的な趣味として映写を楽しんできたそうです。

ちなみに別当興業とは

昭和30年代、札幌に7、8館の劇場を持つ大企業。

「北海道映画興業銘鑑」(昭和37年、みやこ新聞社)では、

社長の一代記が4ページにわたって紹介されています。

ミュージアムに展示する映写機や展示物を見ると

思い出があふれてきたようで、

ミュージアムの理事と往時の記憶をたっぷり語り合っていました。

スクリーンも自前で作ったという板垣さん。

その“映画愛”が伝わってきて、

こちらまで嬉しくなりました。

芦別ロケ「肩の上の蝶」を観ました!

今日は、降ったりやんだり、曇り空の札幌でした。

さて、昨日から 「2011 札幌・中国映画週間」が開幕。

さっそく、オープニング上映の 芦別ロケ「肩の上の蝶」を観てきました!

あることをきっかけに蝶になった主人公が、

愛する薬草学者の男性をそっとそばで見守るのですが、

そこに彼を慕う別の女性が現れて・・・

というファンタジー・ラブストーリー。

ロケは2009年10月、

芦別市カナディアンワールド公園や

富良野市などで行われました。

色づく木々やシラカバ、コスモスなど

秋の北海道の風景が、

美しい自然の残る未来の島、という設定を演出しています。

CGをふんだんに活用し、

アニメーションも盛り込んでいるので、

親子連れでも十分楽しめる内容です。

26日(水)17:10~、28日(金)17:40~

札幌プラザ2・5で上映されますので、

ぜひこの機会にご鑑賞ください。

ちなみに、このイベントは「日中友好映画祭」の一環。

映画祭は2006年から始まり、

日中映画文化産業の相互交流を進めているとのこと。

今年6月には 北京と上海で「日本映画週間」が行われており、

増毛ロケ「春との旅」(2010年、小林政広監督)と

釧路・白糠ロケ「ハナミズキ」(同年、土井裕泰監督)

を含む12作品が上映されています!

海をわたった北海道ロケ映画。

中国の観客の目には、どのように映ったのでしょうか。

不思議な世界観を創り出した

「肩の上の蝶」を観ながら そんなことを考えました。

オープンまでの道のり④~ワーナーおじさん~

本日は好天の札幌です。

休館日のため、不定期連載「オープンまでの道のり」をどうぞ。

◆ ◆ ◆

ミュージアムの開設のめどがたたない中、

力を入れていった自主上映活動。

その中には、

ミュージアムメンバーの重鎮、故・山田昻(のぼる)さんによる

「ワーナーおじさんと名画を楽しむ集い」がありました。

山田さんは、元ワーナー・ブラザーズ札幌支社長。

同社設立と同じ年に生まれた、というのが、生前の自慢だったと言います。

映画配給一筋の道を歩み、

「北海道キネ旬友の会」前会長も務めました。

山田さんが特に愛したのは、ハリウッド・ミュージカル。

「ワーナーおじさんと名画を楽しむ集い」と銘打ち、

2007年4月 「ハリウッド・ミュージカル~タップダンスの魅力」

2008年2月 「ハリウッド・ミュージカルの楽しみⅡ

~カップル・ダンスの名シーン」

の講師として映画鑑賞の楽しさを語ってくれました。

創立メンバーとして長年ミュージアム活動を支えてくれましたが、

病に倒れ、2009年10月、惜しまれつつ逝去。

残念ながら ミュージアム実現のご報告はできませんでしたが、

館内には「山田コレクション」コーナーを設けることになりました。

さまざまな資料を展示しているほか、

膨大な映画本の中から約300冊を

「シネマの本棚」として並べています。

幼いころ、「雨に唄えば」に心躍らせ、

「サウンド・オブ・ミュージック」に感動した私。

生前お会いできなかったことが悔やまれます。

しかし、このミュージアムができたことで、

映画を愛し、ハリウッド・ミュージカルの魅力を伝え続けた

山田さんの〝魂〟に触れることができるのです。

(つづく)

ある日のアンケート

今日も札幌は雨。

雨のシーンが印象的な

北海道ロケ映画のひとつといえば、

「居酒屋兆治」(83年、降旗康男監督)。

大原麗子扮するヒロインが、

函館・七財橋の袂で一人泣き濡れる場面を思い出します。

さて、ミュージアムでは、活動の参考にしようと

来館者アンケート&寄せ書きノートを用意しています。

オープンして1か月余りが過ぎ、

約70人にご協力いただきました。

その声を読むと、確かな映画ファンの存在を感じてうれしくなります。

本日は、そのいくつかをご紹介しますね。

●北海道ロケ地マップに感動!素晴らしいです。
古き良き映画館が次々と消えていってしまう中で、これまでの映画の歴史にふれることのできる貴重な空間ですネ。
 (30代女性、札幌)

●待望の空間です。ロケ地巡りをしてみたくなりました。 (60代男性、札幌)

ロケ地マップはミュージアム理事の苦心作。

じっくりご鑑賞いただき、ロケ地巡りのヒントにどうぞ。

●映画・ドラマの世界に入っていくようで、楽しかったです。 (50代男性、札幌)


●場所が解らなく少し難儀しましたが、映画大好き人間としては嬉しく楽しくなります。又、ゆっくり来たいと思います。
 (60代女性、札幌)

ミュージアムでは、研究用として

北海道ロケ映画約30本も鑑賞できます。

たっぷり映画の世界に浸ってください。

また、こんな情報も寄せられました。

●石狩灯台のところに行くと、佐田(啓二)、高峰(秀子)の写真がありました。 (60代男性、岩見沢市)

「喜びも悲しみも幾歳月」(57年、木下恵介監督)のロケ記念なのでしょう。

ありがとうございます!ぜひ見てみたいです。

また、中には、こんな方もいました。

●黒澤明の「白痴」にエキストラで出演しました。中島公園の池でのスケートのシーンです。黒澤氏の直筆を読んで感慨を深めました。 (70代男性、札幌)

うらやましい経験!ぜひ今度、撮影の裏側談をお聞かせください。

そして、この方のコメントに共感。

●いろいろおもい出して懐かしいです。 (70代女性、札幌)

たとえ同じ映画でも、

それを観た時代や場所、状況によって思い出はさまざま。

忘れかけた懐かしい記憶を呼び覚ますきっかけにも、

映画はなるのでしょう。

短い言葉の裏側に、たくさんの思い出を感じます。

このほか、「場所がわかりにくい」「もっと展示を充実してほしい」などの

ご意見もありました。

少しずつ前進して、

みなさんの想いが詰まった空間にしていきたいですね。

黒澤明監督と札幌

本日は、雨。 また一歩、秋が深まった札幌です。

さて、ミュージアム展示の目玉のひとつに、

札幌ロケ「白痴」(51年)について語った

黒澤明監督直筆の手紙 があります。


この手紙は、当時朝日新聞の記者だった

ミュージアム理事の女性が受け取ったもの。

先日、この手紙の前にじっと座って、

内容を書写されている方がいました。

札幌ご在住のNさんです。

実はこの方、「黒澤明研究会」に所属されているとのこと!

この研究会は 1972年、黒澤映画を愛する方々で発足。

東京を拠点に、関係者の講演会や インタビュー、

ロケ地調査探訪などの活動を続け、その業績を伝えています。

Nさんは、東京に転勤された約12年前、

図書館でこの研究会の本を読んだのをきっかけに入会。

黒澤映画は、「用心棒」(61年)からリアルタイムで観ているそうです!

以前にミュージアムでこの手紙を見つけ、

仲間にもこの内容を伝えようと、書き写していたのだそう。

当時の札幌はエキゾチックな街で、北欧風の建物が多く(中略)不思議な雰囲気を持っていた。 (中略)小説を読んで想像したペテルブルグに最も近い雰囲気を持った都市は札幌をおいて他にはなかった 
(手紙から引用)

文面からは、巨匠・黒澤監督の当時の札幌への想いが伝わってきます。


残念なことに、公開時には失敗作とされたこの映画。

しかし、完成時は4時間半の長さだったのを

映画会社の意向で大幅にカットされた(現在は2時間46分)ため、

正確な評価は難しいという見方もあるようです。

Nさんは

「どこかにカットされたフィルムがあるらしいので、いつか観てみたい!」

とおっしゃっておりました。

貴重な直筆の手紙、ぜひ、黒澤明研究にお役立てください。

ちなみにこの方、釧路ご出身。

「挽歌」(57年、五所平之助監督)のロケを

子どものころ見学したそうです。


原作者の原田康子さんのご自宅も近く、

新聞配達した時に声をかけてくれたことを覚えているとか。

皆さん、どこかで、映画とつながっているんですね。

中国映画「肩の上の蝶」は芦別・富良野ロケ!

本日はポカポカ、お散歩日和の札幌です。

さて、 網走や斜里などでロケされた中国映画

「狙った恋の落とし方。」(2010年)のヒットにより、

中国で北海道ブームが起きたことは 記憶に新しいですが、

このたび、新たな北海道ロケ中国映画が生まれました!

タイトルは 「肩の上の蝶」。

幻の美しい島を舞台に、生物学者と3人の女性をめぐる

ファンタジー・ラブストーリー だそうです。

2009年10~11月、

芦別市カナディアン・ワールド公園や富良野市でロケされました。

この作品が、10月24日(月)~30日(日)に開催される

「2011札幌・中国映画週間」で上映されます!

「肩の上の蝶」の上映は、

26日(水)17:10~・28日(金)17:40~(札幌プラザ2・5=旧 東宝プラザ)

ミュージアムにも、チラシや関連記事を掲示しているので

ぜひご覧ください。

ちなみに、「狙った恋の落とし方。2」も上映されるそう!

北海道旅行から戻った後の2人を描いているとか。

う~ん、ちょっと気になります・・・。

「狙った恋の落とし方。」では、

独自の美しい映像で切り取られた

阿寒湖や能取岬、北浜駅などの情景が、

道産子の視点からも新鮮でした。

今度の「肩の上の蝶」では、

北海道がどんな風にスクリーンに映し出されるのでしょうか。

ぜひ、この機会にご覧ください!

※札幌・中国映画週間の詳細はコチラからどうぞ↓
http://cjiff.net/sapporo.html