館付きさし絵作家、松本 浦の世界

私たち北の映像ミュージアムの仲間であり挿絵作家の松本 浦(うら)がきのうから狸小路界隈で作品展を開いています。古きよき時代の北海道、東京、そして大震災を生き抜く気仙沼など水彩画の小品群、そしてづくり工作。子どものころの思い出と手触りが甦る。

「松本 浦は路地裏にいる 2013 図画工作路地裏画報」という名の作品展。札幌市中央区南3条西7丁目、しゃみ靴店のギャラリー「古本カフェB・C・S」で27日まで。時間は13時から19時まで。ギャラリー定休日は7、15、21日。入場無料。

松本は古くて古びないものに異常な関心を示しているように思えます。6月、士別市の旧テアトル銀映の映写機を拝見しに行ったときも、市内の古い街並みをみて気に入った建物があればスケッチのペンを走らせる。帰路、旭川の旧岡田邸というかつての豪商の邸宅が蕎麦屋にリフォームされた建物の前でスケッチブックを開く。
それらが、瑞々しい線描画になっていまギャラリーいっぱいに架かっています。
「でも僕は、ただ描くより工作がもっとすきなんです」と松本。会場にはマンガ雑誌の付録から飛び出したような紙の市電、飛行機のモビールなど。
絵画も同じ写真を切り抜き、張り重ねて立体的に仕上げた「シャドー・ボックス」と自ら名付けた技法で札幌創成川界隈をフレームに封じ込めた作品など。

「シャドーボックス」より創成川かいわい。市電が走り幻の町のたたずまい

そのほか、くふうといたずらから生まれた楽しい「図画工作」がいっぱい。
毎年、夏から秋にかけ松本は作業場にこもり、図画工作に没頭し、10月にこの昭和7年建築のしゃみ靴店がオーナーの古いギャラリーで作品展を開いている。しゃみ靴店の絵もちゃんと描かれて壁に架かっています。

松本は映像ミュージアムでは映画「探偵はバーにいる」の札幌・ロケ地マップを製作。これは映画の公開直後に完売したほどの好評。
来年のカレンダー「水辺の札幌」はセンスがよい。きのう買いそびれたから、きょうもう一度行ってみよう。
最後にひとこと。松本浦さんの作品「炭鉱と鉄道ロケ地マップ」が北の映像ミュージアム(札幌市中央区北1条西12丁目、ホテルさっぽろ芸術文化の館1階)で販売しています。こちらへもどうぞ。(この項、文責喜多義憲)

「松本浦は路地裏にいる 2013 図画工作路地裏画報」の案内はがき

6日、山戸結希監督迎え北翔大で4作一挙上映。トークも

札幌市立大学デザイン学部3年生の山崎花奈実さんから、北の映像ミュージアムにお知らせがありました。若手映画作家として人気の高い山戸結希監督を札幌に迎えて、10月6日(日)、特別上映会が開かれます。会場は札幌市中央区南1条西22丁目1−1、北翔大学北方圏学術情報センター1F(ポルトホール)。上映作品はデビュー作、『あの娘が海辺で踊ってる(完全版)』など4作。「山戸監督との対話」も受付開始(開場)午後5時半、開映6時。当日券1200円。詳しくはhttp://www.smal.jp/projects/page.php?id=100

19日(土)は北のシネマ塾「おろしや国酔夢譚」

みなさん、こんにちは。NPO法人北の映像ミュージアム会員で、副理事長を仰せつかっています喜多義憲です。10月の第3土曜、19日の北のシネマ塾で映画「おろしや国酔夢譚」(1992年、大映)についておしゃべりをさせていただきます。

この作品は江戸時代、大黒屋光太夫(緒形拳)らを乗せて伊勢を出た千石船が漂流し、アリューシャン列島の小島に漂着した場面から始まります。苦難に苦難を重ね、ロシアの当時の首都サンクトペテルブルグを経て約10年後に故国に帰り着く光太夫ら。映像のほか、原作、井上靖著の同名小説や小説「漂流」(吉村昭著)をひも解きながら、当時の人々にとって故国とはなにか、日本近海の内航船の多くがなぜ、いとも簡単に遭難し漂流したのか、また奥尻島で敢行されたロケ撮影での緒形拳さんや西田敏行さんら出演スターのエピソードなどを紹介したいと思います。

シネマ塾初登場のわたくしです。どうか振るってミュージアムにお越しくださいますように。午後2時から、参加無料。