きょう16日の昼下がり、北の映像ミュージアムで月例の北のシネマ塾が開かれました。「8ミリと映画館グラフィティー2」と題し、8ミリ映画「忠臣蔵」などを見た後、街並み画家浦田久さんとエッセイスト和田由美さんの映画&映画館トークを楽しんでいただきました。
▲熱心にトークに耳を傾ける映画ファンたち

▲8ミリの「忠臣蔵」を皮切りに、古きよき時代の映画&映画館を語り合うウラ・ワダコンビ、浦田久さん(右)と和田由美さん
予定では「忠臣蔵」(1958年、大映作品)を30分の8ミリ映画にまとめたものを上映するはずでしたが、事前にテスト映写すると、最初の10分ほどの映像状態が悪く、松の廊下刃傷の場までをカットし浅野内匠頭切腹の場から討ち入りまでを上映。その代わり無声映画チャップリンの誘拐船」(1915年作品=約15分)を追加上映しました。
忠臣蔵は途中からみても、ちゃんとストーリーが分かりました。いかに日本人の心に沁みついているかをあらためて実感しました。
きょうはハプニングで邦画の後に洋画を見ていただきましたが、浦田さんによると、昔は一つの映画館で洋画と邦画を2本立てにすることがざらにあったといいます。これは驚きです。
トークの中で、浦田さんは「昔、映画館にはホタルがとんでいましたねえ」。「ええっ、そんな風流なことがあったのか」と思わせたあと、「いまのような入れ替え制でなく、いつでも自由に入ったり、出たりできたから、真っ暗の中に入ってきた観客を懐中電灯で席に誘導する案内嬢がいたんですよ」と種明かし。フロアから「なるほど」と爆笑が起きました。
和田さんは「子供のころ、映画館の中でお菓子を買ってもらうのが楽しみだったが、大人が美味しそうに食べているホタテの干物は決して買ってもらえなかったのを今も思い出します」と振り返る。「食い物の恨みはおそろしい」と落ちをつける浦田さん。
2人の絶妙の掛け合いの原動力は、共に映画がなによりも好きという共通点であることがよくわかります。事実、浦田さんは打ち合わせの時、「和田さんとトークをしていると、次々と昔のことが思い出される。ほんとに聞き上手です」とおっしゃっていました。
トークで浦田さんは映画づくりに苦言も。「昔の作品は1時間の枠内で起承転結、無駄なくきちっとまとまっていたが、今の映画は総じて2時間以上。だらだらと長すぎるものも多い」。私(喜多)もそう思います。
8ミリ上映のあとに続くこのシネマ・トーク、勝手にウラ・ワダ(裏技ではありません)とーくと名付けてみました。来年も「北のシネマ塾」のシリーズの一つとして続けていただく予定です。お楽しみに。
なお次の「北のシネマ塾」は12月21日午後2時から、高村賢治さん(当NPO理事で、稀代の映画通)のトーク「アフリカの光」です。これもお楽しみに。(この項、文責・喜多義憲)