数日前、千葉県の男性から映画作品(主に洋画)のチラシ、パンフレットなどギッシリ入ったファイルボックスが宅配便で届きました。多分長年の映画館通いで集めた思い出の品々なのでしょう。事前に寄贈通告の電話頂いていましたが、なかなかのコレクションです。大切に活用させていただきます。
ローマの休日、エデンの東、風と共に去りぬ、追憶、ドクトルジバゴ、スティング、2001年宇宙の旅、ローズマリーの赤ちゃん…。映画ファンなら誰でも知っている名作から、これは通(つう)だなと思える作品まで、幅広い。パンフレットに加え、5冊のファイルノートに収納したチラシを数えれば何作品になるか、整理をしてみなければ分かりません。

▲千葉の男性から送られてきた映画資料のファイルボックス

▲包みを開くと懐かしい名画のパンフやチラシが次々と現れました

▲「カプリコン・1」(1978年公開)のチラシ
北の映像ミュージアムが2011年9月にオープンして以来、劇場用の35ミリフィルムや移動上映用の16ミリフィルム、劇場で活躍した映写機、映画館の備品など、貴重な品々の寄贈を受けてきました。今回のような、コレクションは映画ファンンの個人観賞史を彷彿とさせ、わたくしも胸が熱くなりました。
荷受けした者の役得でファイルボックスを開封、ざざっと収容資料を拝見しました。その中に、「あ、これは・・・」と思い出が脳裏によみがえる作品のチラシがありました。
ピーター・ハイアムズ監督の米映画「カプリコン・1」(1978年、日本公開)。エリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、テリー・サバラス出演
アメリカによる有人火星探査宇宙船「カプリコン・1」。打ち上げ直前、生命維持装置の故障が見つかったが、国家のメンツのため、そのまま3人を乗せて発射。アメリカ航空宇宙局(NASA)は火星に到着したように見せかけ、砂漠の撮影セットで乗組員に演技させる、というストーリー。
刑事コジャックでお馴染みのテリー・サバラスが田舎のオーナー・パイロットに扮し、おんぼろ双葉機で米軍の最新式戦闘ジェット・ヘリとスカイチェイスするクライマックスは圧巻でした。
日本公開当時、わたくし、新聞社の内勤編集職場でくすぶっていたとき、たまたま試写会のチケットをもらい、映画を楽しんだ上、会場での抽選会で立派な日記帳が当たりました。
撮影にはNASAが全面協力したと聞き、「国家の名誉を損ねるようなストーリーによく協力したものだ。アメリカは太っ腹だなあ」と感心したけれど、実は、NASAはストーリーを知らずに協力を約束、あとで、カンカンになって協力を拒否したといういわくつきの映画でした。
2月に入って偶然、ケーブルテレビで「カプリコン・1」を上映しているのを途中から見ました。今見てもやっぱり面白い。、この作品から36年経った今も火星への有人宇宙船到達はまだ実現していない、というのも可笑しいですね。(この項文責・映像ミュージアム理事 喜多義憲)