帯広出身のカメラマン、佐々木原保志さんの撮影報告が、8月15日発行の季刊「映画撮影」206号に掲載されました。今回の報告は9月26日に公開された「GONINサーガ」についてです。この作品は、20年前に製作された「GONIN」の続編。佐々木原さんは、石井隆監督作品を手掛けるのはこれで10本目という、石井組の常連。さらには竹中直人監督作品を多く手がけているほか、余市ロケの「不良少年の夢」、近年では釧路ロケの「ハナミズキ」の撮影を担当しました。
「GONINサーガ」の撮影について佐々木原さんが「石井組はナイトシーンと雨のシーンの多さでは業界ぶっちぎりだと思う」と書くように、ずぶ濡れになった出演者の演技が続きます。撮影も大変だったようで、「ずぶ濡れにあおった仰角の撮影で数台のRED(デジタル撮影機の一つ)キャメラを故障させてしまった」と記しています。
また、クライマックスの銃撃戦については「石井活劇の特徴は発砲と弾着をいつもワンショットの中に成立させ」ることだそうで、「金額も張り、タイミングがずれたりリスクがあるが効果は絶大」だといいます。こうした点に注目しつつ見るのも映画の楽しみ方の一つと言えます。
さらに、2013年4月にメインキャストとスタッフが決まった後に主役が降板することになり、呆然としたものの石井監督が開いた飲み会で苦楽を飲み込み、約1年後のクランクインにこぎ着けたとの秘話も披露してくれています。「映画屋さんには楽天家が多いと思う、自分も間違いなくその一人だろう」と記しています。1950年生まれの佐々木原さんはすでに大ベテランですが、さらなる活躍を期待したいと思います。(理事・加藤敦)