札幌生まれの川瀬陽太さんらのトークが行われました。

江戸時代に現在の岡山県真庭地方で起きた一揆を描いた映画「新しき民」が、東京・新宿のケイズシネマで再上映され、10日には、出演者の川瀬陽太さん(札幌生まれ)らのトークが行われました。

「新しき民」は、真庭で農業をしながら映画を撮り続ける山崎樹一郎監督のインディペンデント作品。280年前に起きた、山中(さんちゅう)一揆を描き、川瀬陽太さんは勘定奉行・神尾伊織役で出演しています。

出演のきっかけについて川瀬さんは「半年間かけて岡山で上映すると聞いて、伝えたい相手がいて、明確に意図があってつくるのはすごいな、と思っていた。そこへ話が来て、出演することになりました」と語りました。

トークショーには他に、ほたるさん、西山真来さん、坂本礼監督が参加。西山さんは、「岡山でトマト作りながら映画作っている人がいると聞いて、めっちゃカッコいいと思いました」。真庭地方の方言、しかも昔の言葉で演じることの難しさや、文化財に指定されている貴重な建物で撮影できたことなどにも話は及び、川瀬さんは「文化財で撮影させてもらえたのは、山崎監督が地元を歩いたことのたまもの。小林正樹監督の作品みたいだと感動しました」と振り返りました。

image1 「新しき民」」について語る、川瀬陽太さん、ほたるさん、西山真来さん、坂本礼監督(左から)

「新しき民」」について語る、川瀬陽太さん、ほたるさん、西山真来さん、坂本礼監督(左から)

ピンク映画、一般映画を問わず、目覚ましい活躍を続ける川瀬さん。昨年は廣木隆一監督の「さよなら歌舞伎町」、坂本礼監督の「乃梨子の場合」、冨永昌敬監督の「ローリング」をはじめとする数多くの作品に出演。瀬々敬久監督の「64」も近く公開になります。札幌で過ごしたのは幼少期ですが、「家は須貝ビルの近くだったんですよ」と根っからの映画好きらしい言い方で、教えてくれました。

また、坂本礼監督の新作「夢の女 ユメノヒト」が4月9日から、ポレポレ東中野でレイトショー上映されます。主演は佐野和宏監督、苫小牧出身の伊藤清美さん。企画は小樽出身の浅倉大介プロデューサー(佐藤啓子さん)と、北海道出身者が重要な役割を果たしています。もちろん川瀬さんも出演しています。

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(理事・加藤敦)

4/2(土)札幌サンピアザ劇場で池谷薫監督特集&「ASAHIZA 人間はどこへ行く」北海道初上映

スクリーンで観たい傑作ドキュメンタリー映画を

3本立てで上映するイベントが4/2(土)、

札幌・サンピアザ劇場で行われます。

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ラインアップは、「人間を撮る 池谷薫監督作品集」として

日本軍山西省残留問題の真相に迫る「蟻の兵隊」(2006年)

東日本大震災で家族も家も失った後、元の場所に

家を建て直そうとする男性を追う「先祖になる」(2012年)。

さらに、福島第一原発から30キロ圏内にある

木造映画館「朝日座」と人々の記憶を辿る

「ASAHIZA 人間はどこへ行く」(藤井光監督、2013年)。

どれも見応えある骨太なドキュメンタリーのようです!

入場料は1500円、高校生以下500円(全回鑑賞OK!)。

スケジュールは

午前10時30分 「ASAHIZA 人間はどこへ行く」
正午 「蟻の兵隊」
午後2時 池谷監督スペシャルトーク
午後3時 「先祖になる」
午後5時15分 「ASAHIZA 人間はどこへ行く」
午後6時45分 「蟻の兵隊」

問い合わせは主催団体

ノースシアター(080-5597―5959)へ。

3/27(日)小樽ロケ「Love Letter」&「幕が上がる」札幌上映会!

卒業&進学の季節にピッタリの

映画イベントが、3/27(日)

札幌プラザ2・5で行われます。

タイトルは「日本映画の変革者 ROBOT

~制作会社ロボットの挑戦」!

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岩井俊二、本広克行、山崎貴…

今や中堅監督として活躍する彼らの

長編デビュー作を制作したロボット。

その代表作といえる小樽ロケ「Love Letter」と

「幕が上がる」を上映することで、

将来を模索する若者にヒントになれば…と企画されました。

ロボットのエグゼクティブプロデューサー・

安藤親広さんによる「映画塾」も開催!

若者はもちろん、映画ファンに嬉しい1日となりそうです。

詳細は下記の通り。

* * *

午前11時 「幕が上がる」
午後1時5分 映画塾
午後3時 「Love Letter」
午後5時30分 「幕が上がる」

* * *

チケットは一般前売り1000円、当日1500円。

学生は前売り500円、当日1000円。

シニアは前売り・当日ともに1000円。

自由席&完全入れ替え制。

問い合わせは札幌映画サークル(011-747-7314)へ!

3/19(土)はシネマ塾!テーマは「家族」

毎月第3土曜日に行う

トークイベント「北のシネマ塾」。

今月のテーマは「家族」です!

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ご存じ中標津・別海ロケ、山田洋次監督。

トーク担当は小田島敏朗常務理事 です。

3/19(土)午後2時から。

参加無料、当日来場OK!

館内には、ポスターや資料も展示中。

ミュージアムでお待ちしております。

夕張ロケ「スイート・ハート・チョコレート」公開記念➁!プロデューサーインタビュー

4/30にスガイディノス札幌劇場にで

道内公開される夕張&上海ロケ

「スイート・ハート・チョコレート」。

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©2012 MZ Pictures

公開を記念し、プレス用にいただいた

ミッシェル・ミー(米子)プロデューサーの

インタビューをご紹介します。

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※写真は2012年記者会見時のもの

——本作を企画したきっかけを教えてください。

私は日本文化が好きで日本映画もたくさん観てきましたが、日中合作映画を企画したのは、2006年にゆうばり国際ファンタスティック映画祭に参加したことがきっかけです。夕張市民の映画に対する情熱に心を打たれました。この短いたった4日間の映画祭が、市民にとってとても大切な祝祭であると感じたのです。さらに私が一番好きな山田洋次監督の作品『幸せの黄色いハンカチ』もこの地で撮られたと知り、とても親近感を覚えました。中国に戻ってからもずっと、映画の雰囲気が漂う夕張の町が恋しくてたまりませんでした。
翌年、2007年の映画祭に関する話が聞きたくて(前年お世話になった)通訳の女性に電話しました。その時、夕張市の財政破綻により映画祭が取りやめになったことを聞かされたのです。ショックで涙が出て、その日は全く仕事が手につかず、夕張のことで頭が一杯でした。あれほど映画を愛し、映画祭を楽しみにしている夕張市民がどれほど心を痛めているかを考えると私はいてもたってもいられなくなりました。
それで思いついたのが、夕張を主な物語の舞台にして映画を撮ってしまおう、ということだったんです。映画になればもっと沢山の人に夕張を知ってもらい、注目してもらえる。それが自分が映画人として夕張のために出来得る唯一無二の方法だと感じました。東京にいる友人で映画録音技師の山方浩さんに電話で話したところ、すぐに賛同してくれて、全面的にサポートするので必ず完成させようとまで言ってくれました。

——脚本はどのように構想されたのですか。

2007年から2011年まで、チームを引き連れて何度も上海と夕張を往復しました。四季の変化を実地調査し、夕張の最も美しい時期を発見していく中で、私は「愛」と「守ること」をテーマにしたラブストーリーを撮ろうと決心しました。思えば私が『幸福の黄色いハンカチ』の何に惹きつけられたかといえば、素朴な愛だったのです。では、どのような愛情の表現が日中合作映画において相応しいのか。それを考え続けました。夕張を知れば知るほど、物語はどんどんクリアなものになっていきました。
雪と氷に覆われた北国・夕張で芽生えた異国の恋が、10年の長きにわたって見守られ続ける。 物語の主人公は、上海から北海道に留学した林月、夕張スキー場の救助隊長・木場総一郎、救助隊員・星野守。彼らの美しく運命的な出会いは、同時に美しくも物悲しいラブストーリーの誕生でもあった——。こんな物語を友人らに話したところ、皆の共感を得ることができました。2007年に正式に脚本の制作を開始し、17回もの改稿を経て、最終的に完成したのは2011年の6月。修正や変更が多く、とても苦労しましたが、愛というテーマがぶれることは決してありませんでした。愛に国境はなく、どんな人にも受け入れられ理解されるものだと信じています。

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——映画では夕張と上海のどのような側面を見せたいと思いましたか。

夕張に関しては自然の美しさです。夕張の四季は、春の桜、夏はメロン、秋には楓、そして冬のピュアスノーといずれも特徴的な美しさがあります。物語の始まりを真冬に設定したのは、氷雪に覆われた夕張がまるで童話の世界に出てくる雪国のようで、一点の曇りもないほど美しいから。そんな静寂無音かつ神秘的な場所でロマンチックなラブストーリーが展開し、その温もりが氷雪を融かし、心に安らぎを与えてくれます。
一方、上海は国際的な大都市です。東京のようににぎやかで騒がしく、新しいものであふれていて忙しない! 冬に雪が降ることは滅多になく、人々は自然に憧れ大自然を求めて一家で旅行に出かけます。このような両極端に違う場所の設定は、映画に更なる深みをもたらしてくれます。

——篠原監督と組むことになった経緯は?

物語の始まりは夕張、撮影の大半も夕張なので、制作の初期から日本の監督で行くべきだと考えていました。篠原監督の作品は以前から『天国の本屋〜恋火』、『山桜』、『はつ恋』などを観ていて、愛が緩やかに温かく表現されていることが印象に残っていました。それはまさに『スィートハート・チョコレート』が必要とする感性だったのです。初めてお会いしたのは、東京・赤坂の東急ホテルの喫茶店でしたが、監督の温かい笑顔が私を終始リラックスさせてくれて、何かご縁のようなものを感じました。ほどなく2011年12月31日、東京のリッツカールトンホテルで篠原監督とリン・チーリンの席を設けたところ、とても打ち解けていい雰囲気だったので、監督との合作への気持ちが一層高まりました。1年あまりご一緒して、とても楽しかったです。 監督がさまざまな困難を解決してくださったおかげで、映画を完成することができました。

——登場人物の3人と、それぞれのキャスティングについて教えてください。

スイートハートは伴侶という意味で、チョコレートは愛情を伝えるための物です。主人公のリンユエには甘くて優しいイメージの女性が不可欠でしたが、リン・チーリンさんは誰もが納得する配役でした。日本と上海の両方で仕事をした経験があり、言葉が話せて、両方の文化を熟知しているという面でも適任でした。
リンユエが惹かれる2人の男性は、それぞれ違う魅力を持っています。池内博之さんのしっかりとした大人のイメージ、そして男気にあふれているところが、リンユエに安心感を与える木場総一郎役にぴったりでした。一方、福地祐介さんの明るい性格は、善良で陽気な星野守のイメージにぴったりで、福地さんが演じる守に出会うことでリンユエはとてもハッピーになります。この3人のキャスティングは、本当に大成功でした。

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——本作の製作過程において、どのようなところが合作ならではの難しさ、醍醐味でしたか。

合作を撮るということのすべてが私にとって勉強になりました。日本のチームのワークスタイルは非常に厳格で、すべての仕事を一定の段取りに従って進めていきます。また、日本のクリエーターからは映画への情熱や作品に対する誇りが感じられました。細かい部分にまで担当が割り振られ、一人ひとりがきちんと責任を果たします。
一方、中国チームのワークスタイルは、リラックスしていて詰めが甘く、突発的な事件が発生しては計画通りに執行できないことが度々ありました。もちろん最終的には完成するのですが、日本のチームワークを大切にする姿勢は、特に中国側が学ばなければならない点だと思います。
合作を成功させるには、万全の準備とコミュニケーションが不可欠です。今回は準備の段階が慌しく、時にコミュニケーション不足を招いてしまいました。また、文化や生活習慣の違いも互いの理解や同意を得る上での大きな壁となることがありました。今後の合作映画ではこれらの問題が克服できると信じています。

——日本の観客へのメッセージをお願いします。

やっと本作を日本で上映することができて、非常に嬉しくとても楽しみにしています。日本の皆さんが、この映画を、そして夕張を好きになってくれることを心より願っています。本作は単なる一本の映画にとどまらず、日中の映画人たちの映画への敬意と夕張への思いがこめられた作品であり、チーム力と愛の結晶です。
ここに至るまで、サポートしてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。特に12年来のよきパートナーであり、兄のように慕っていた山方浩さんには並々ならぬ尽力をいただきました。誰よりも日本での公開を待ち望んでいた山方さんに感謝の意を捧げます。「遠く天国にいる山方兄さん、ご安心ください。どうか微笑んで、『スイートハート・チョコレート』の日本公開を祝福してください!」

 ★プロデューサー・共同脚本:ミッシェル・ミー(米子)Mi Zi
テレビのプロデューサーを経て上海映画製作所に10年間勤務した後、2009年にMZ PICTURESを設立。主なプロデュース作品に、長編劇映画『陶器人形』(06/チャン・ジャーベイ監督)、『さくらんぼ 母ときた道』(08/チャン・ジャーベイ監督)、『嫁装』(09/ハオ・ラン監督/日本未公開)、米HBOとの合作ドキュメンタリー『劫后天府泪縦横(China’s Unnatural Disaster; The Tears of Sichuan Province)』(09/ジョン・アルパート、マシュー・オニール監督)、米アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞受賞作『中国 エイズ孤児の村』(06/ルビー・ヤン監督)などがある。

夕張ロケ「スイート・ハート・チョコレート」公開記念①!篠原監督インタビュー

4/30にスガイディノス札幌劇場にで

道内公開される夕張&上海ロケ

「スイート・ハート・チョコレート」。

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©2012 MZ Pictures

公開を記念し、プレス用にいただいた

篠原哲雄監督のインタビューをご紹介します。

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※写真は2012年の記者会見時より

——まず、本作を監督することになった経緯を教えてください。

本作を企画したプロデューサーであり、脚本家でもあるミシェル(米子)が日本の監督を探していて、2011年に知り合いの日本人プロデューサーから紹介されました。脚本を読むとじれったい三角関係の物語で、その感覚はわからないでもない。ただ展開の在り方は普段考えないような要素も沢山あり、正直戸惑う部分もありました。一人の男への想いを亡くなってもずっと思い続ける心情。過去を過去のものとして封印せずに風化しないでおきたい感覚。中国女性特有とは思いませんが、特にミシェルは僕にその気持ちだけはしっかりと伝わるように撮ってほしいと要望してきました。この作品はリンユエが総一郎の想いを受け止めていく過程が物語の軸になっていますが、そのリンユエの想いこそがミシェルの想いとつながるのだなと僕なりに理解し、この映画をやってみようと思いました。もう一つは、ミシェルの夕張映画祭への熱い想い、それは僕も夕張映画祭に参加したこともありますし、そこのスタッフの方々との交流もあったので、その想いの実現のためには一役買いたいということもあったと思います。

——クランクインまでの準備はどのように進めていったのでしょう。

実は撮影にこぎつけるまで何度も危機があり、一度は企画自体が暗礁に乗りかけました。そしてついに東京のスタッフルームを解散するしかないとなった日に、リン・チーリンに会ったんです。リンさんに「私はこの作品をずっと待っていたんです」と言われ、一気に映画が復活しました。
すぐにミシェルが新たに組んでくれる日本の制作会社を探し、リンさん以外のキャストも決まっていきました。『昭和歌謡大全集』と短編「桃」(『フィーメイル』の一編)にも出てもらっている池内君は、寡黙な兄貴分である総一郎役にぴったりだと思ってお願いしたのですが、ちょうど本人も中国での仕事に興味を持っていることがわかり、タイミングがぴったり合いました。福地君は台湾でリンさんと同じ事務所に所属していて、リンさんのマネージメントから提案されました。実は彼も『真夏のオリオン』に小さな役で出ていて知っていたので、すぐに守役をイメージできました。
そうして本格的に再始動したのが2012年2月。当初の予定ではクランクインしているはずの時期でした。それから約1か月で、脚本を直す作業を行いました。日本の脚本家に入ってもらい、ミシェルとやり取りを重ねながら主に台詞を直したのですが、翻訳を挟むとニュアンスが伝わらないことも多く、日本映画の台本を直す時の3倍ほどの労力を要しました。

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——夕張でのロケはいかがでしたか。

クランクインは3月15日。当初の予定から大幅に遅れてしまい、雪がなくなってしまうのではないかというのが最大の懸念でした。そこで夕張ロケをサポートしてくれた、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の運営団体でもあるネクスト夕張のスタッフに山から雪を運ぶ体制を整えてもらいました。ところがクランクインの日の朝方から奇跡的に雪が降ったんです。夕張ロケの12日間、季節外れの雪が何度も降り、まるで映画の神様にチャンスを与えられたかのようでした。
夕張の現場は何よりメインキャストの3人のタッグが素晴らしかったですね。脚本をベースにしながらも「総一郎はこんなこと言うかな?」「この時、リンユエはどんな気持ちだと思う?」などと話し合いながら即興的に各シーンを作っていきました。その結果、台詞がなくても伝わるだろうと感じたシーンが多く、台詞が大幅に減りました。これは本人たちの魅力によるところが大きかったと思います。たとえばゲレンデの下で初めて3人が揃うシーン、守が総一郎に「(食事に)付き合ってくんない?」と頼む後ろでリンユエが「何を話してるのかな?」とワクワクしているような仕草を見せますが、ああいうコミカルなポーズは僕が指示したわけではなく、リン・チーリン独特のものなんです。福地君は役柄同様にとても明るい性格で、スキー場に大きなハートを出現させるような、日本人男性ならちょっと気恥ずかしくなるようなシーンも天真爛漫に演じてくれました。一方でそれを見守る総一郎の朴訥とした魅力は、池内君が演じたからこそ出たものです。

——スタッフも日中混成だったそうですが、どのような体制で撮影していましたか。

撮影・照明に関しては、撮影監督の上野彰吾さんと照明技師の楊國良さんがいいコンビを組んでくれました。主に上野さんの指示をヤンさんがわかったとばかりに光を作っていく過程は合作そのものを体現していたひとつだと思います。美術は夕張パートを日本の小澤秀高さんが、上海パートは中国の周欣人さんが担当。中国の美術スタッフは先に行われた夕張ロケで小澤さんの美術を見てそのテイストを上海のセットに反映しています。小澤さんも上海に渡り、中国の美術のセットの在り方を確認し、そこの自分なりのプランも持ち込みました。録音技師の山方浩さんは中国語に精通しているので、上海での中国語の台詞のシーンでは中国語の芝居がきちんとできているかを判断してもらい、演出の領域にまで関わってもらいました。山方さんは企画当初からミシェルとは懇意にしていてこの作品の成り行きにはすべて関わっていたと言ってもいいくらいです。ですので、いざという時に僕とミシェルの相互理解のために間に入ってくれたことも何度かあり本当に助けられました。編集は中国の徐さんというベテランです。今回は脚本では過去のシーンは一連で描くような書かれ方がされていましたが、編集の段階で大きく変えました。それは客観的な視点で映画をみてくれた徐さんの意見によるところもあり言葉は通訳を介しながらでも徐さんとは編集を通して合作を作りえた感覚が今でも残っています。演出部を含め、各部署の助手も日本と中国の混成でした。現場に学生の通訳さんが何人もいたこともあり、スタッフ同士のやりとりはそれほど苦には感じなかったですね。

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——上海での撮影は日本と勝手が違うことはありましたか。

その場しのぎが多く、何が起きても動じないようになりました(笑)。脚本には総一郎が上海の銀座のような繁華街にあるガラス張りの宝石店に指輪を買いに行くシーンがあったんです。店の撮影許可が下りず、どうしようかと思っていたら、制作部が電話ボックスくらいのサイズの白い箱を道路を挟んだ店の真向かいに設置して、この箱の中に隠れて撮れと。池内君には一般のお客の振りをして店に入ってもらい、店員とのやりとりを箱に空いた小さな穴から撮影しました。なんとも異様な光景でしたが、香港の撮影スタイルだそうです。そのシーンは編集段階で不要に思えて、カットしてしまったのですが……。
他にはキャスティングも日本と違いました。本作におけるチョコレート作りの教室に参加する男性や、老人ホームの利用者など、ワンシーンのみとはいえ台詞があるような役は、日本では事前に配役が決まっています。でも上海では、演技事務のスタッフが前日に候補者を何人か連れてきて、「監督、この人たちの中から決めてください」と言われるんです。明日の撮影なので即決しなければなりません。それをすぐにその場で伝え、決まった人はすぐに衣裳を合わせる、決まらなかった人は僕らにエールの言葉を送って帰っていく。なんて残酷なんだと思いながらもプロで生きていくことの厳しさを肌で知っているのだなとわかった瞬間でもありました。
また、上海でのハプニングと言えば、バレンタインの食事のシーンを撮影するレストランが入ったビルの前でスタッフがロケ弁を食べていたら、そのビルの1階が国民軍のオフィスだとかで怒られてしまい、スタッフ一同ビル内に立ち入り禁止になりかけたこともありました。そんなわけで撮影は非常にスリリングでしたが、毎日面白かったです。

——編集段階でも合作ならではの苦労はありましたか。

中国で劇場公開したバージョンと日本の公開バージョンは一つだけ違う点があります。映画の後半、リンユエが倒れて上海の病院に運ばれるシーンで、日本版には10年前の手術にまつわる回想シーンが挿入されますが、中国版ではカットしました。守の心臓をリンユエに移植してほしいと懇願する総一郎に対し、医師は「制度上、それはできない」と言います。日本人が観れば医師が「立場上、イエスとは言えない」と示唆していることがわかりますが、そのセリフを中国語に訳すと「移植はできない」と拒否しているように捉えられてしまう。この箇所をどうするかについてはミシェルと何度も議論しました。
台詞の言語が編集に影響を及ぼした例は他にもありました。上海パートのリンユエと総一郎の会話で、ミシェルが二人は中国語で話している前提で書いた台詞を、日本語で話す設定にしたことで芝居が不自然になって削ったところがあります。確かに二人が中国語で話して日本語の字幕がつくのなら、違和感がなかったのかもしれません。でも僕は日本で出会った二人はその後も日本語で話し続けると思ったので、一部のシーンを除いて日本語で話すことにこだわりました。

——他国との合作に挑戦してみたいですか。

今後も機会があればやりたいです。この作品の後、山方さんと台湾で映画を撮る計画があったのですが、実現しませんでした。長年、日中の映画人の架け橋のような存在であった山方さんは、この映画において非常に大きな存在でした。これからも一緒に映画を作っていくと思っていたので、それが叶わないのが本当に残念です。

★監督:篠原哲雄 Shinohara Tetsuo
1962年生まれ、東京都出身。93年、自主制作の16ミリ中編『草の上の仕事』で注目され、96年に『月とキャベツ』で劇場用長編デビュー。以来、幅広いジャンルの作品を手がけ、本作は24本目の長編となる。主な監督作に函館ロケ『つむじ風食堂の夜』(09)、釧路ロケ『起終点駅 ターミナル』(15)など。

夕張ロケ「スイート・ハート・チョコレート」4/30札幌公開!

嬉しい知らせが届きました!

篠原哲雄監督による初の日中合作で

夕張ロケ「スイート・ハート・チョコレート」が

4/30~ディノスシネマズ札幌劇場にて公開されます!

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©2012 MZ Pictures

釧路ロケ「起終点駅 ターミナル」が記憶に新しい

篠原監督の北海道ロケ映画。

雪の夕張と、美しい上海の街並みを舞台に、

アジア映画界の至宝、リン・チーリンさんが主演。

彼女に恋する二人の男性に

実力派・池内博之さん&新星・福地祐介さんが出演し、

すれ違う男女の10年間にわたる究極のラブストーリーを描きます。

アジアを代表するスターとスタッフが集結し、

2カ国の名所でロケが行われたにもかかわらず、

日中関係の悪化で上映が出来なかった本作。

2014年に広島で行われた「お蔵出し映画祭」で

見事グランプリに輝き、ついに解禁されることに!

甘く、ほろ苦い想いをかきたてる久石譲さんの音楽も注目です。

ちなみにミュージアムでは、

2012年の記者会見レポートなどをアップ中(記事はこちら)。

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3/26~、シネ・リーブル池袋より全国順次ロードショー。

道内では、4/30~ディノスシネマズ札幌劇場で公開です。

公式サイトはこちら(FB)