東京のシネマヴェーラ渋谷で開かれている特集「日本映画の現在」で、9月25日から27日まで、札幌出身の三宅唱監督の作品が特集上映され、25日には、監督と村上淳さんのトークが行われました。
「日本映画の現在」は深田晃司監督や横浜聡子監督といった、注目の若手監督の作品を連続上映しています。三宅監督は1984年、札幌生まれ。初長編作品で札幌ロケの「やくたたず」や中学3年生の時にとった「1999」などが上映されました。
三宅監督については以下の通り(シネマヴェーラの解説から)。
1984年札幌生まれ。07年映画美学校フィクション・コース初等科修了。09年一橋大学社会学部卒業。09年短編『スパイの舌』がCO2で最優秀賞を受賞し、助成金で初長編『やくたたず』を制作。長編第二作『Playback』はロカルノ国際映画祭コンペティション部門に出品され、高崎映画祭新進監督グランプリ、日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞。最新作『THE COCKPIT』は国際ドキュメンタリー映画祭シネマ・デュ・レエル新人監督部門に正式出品された。共著に『森﨑東党宣言!』。
「Playback」は2011年の作品。上映後に行われたトークで、主演の村上淳さんは「プロデューサーから渡された『やくたたず』のDVDを見て、素晴らしいと思い、その日のうちに三宅監督にメールを送りました。新しい感覚の人と映画を作りたいという気持ちがあって、中でもずば抜けていたのが三宅監督だった」と振り返りました。デジタルで撮影されましたが、上映用に35ミリにプリントされ、英語字幕版を含めて3本のプリントが存在するとのこと。村上さんは「35ミリ化という駄々をこねた三宅監督、英断を下したプロデューサー、どちらもすごい」と、賞賛しました。現在では貴重となった35ミリフィルムによる上映について「今日見てもらったプリントは6年分の傷が入っていますが、これからも年輪を重ねていきます」。三宅監督は、「映画は35ミリじゃん、というのがあって。これの後は長編を撮っていないので、何かやりたい」と話しました。
トーク終了後、「やくたたず」「Playback」の2作をモノクロで撮ったことについて、三宅監督は「『やくたたず』は雪景色なのでモノクロで撮りたいと考えました。それを見たプロデューサーや村上淳さんが気に入ってくれたので、『Playback』 は最初からモノクロで撮ることを決めて、モノクロに合う内容を後から考えました」と話してくれました。「やくたたず」のスタッフの多くは映画美学校の同級生だそうですが、「俳優は札幌にゆかりのある人が多いんですよ」。現在、仕事での北海道との接点はあまりないそうですが、「また、北海道で映画を撮りたいと思ってます」と力強く話してくれました。
特集上映「日本映画の現在」では入江悠監督、真利子哲也監督といった、ゆうばり映画祭と縁の深い監督の作品も上映されます。注目しましょう。(理事・加藤敦)