小樽ロケ「きみはいい子」完成披露試写会レポート!

6月に全国公開される小樽ロケ「きみはいい子」。

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(C)2015 アークエンタテインメント

昨年国内外で高い評価を受けた
函館ロケ「そこのみにて光輝く」の
呉美保監督最新作としても、注目を集めています。
3月7日(土)には、イオンシネマ小樽で
呉監督と主演の高良健吾さんを招いた
完成披露試写会が行われました。

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生徒役として出演した地元の子どもたちが大勢参加する中、
和気あいあいと行われたトークの模様をご紹介します!
※コメント後半は映画内容に触れる部分がございます。

まずは映画の上映前、
観客のみなさんにお二人からこんなメッセージが送られました。

呉監督/たぶん〝お久しぶりです〟の方がたくさんいらっしゃると思います。去年6~7月、小樽で撮影させていただき、あっという間に3月となりました。今日は一般の方に見ていただく最初の完成披露試写ということで、ワクワク・ドキドキしています。6月の全国公開を前に、真っ先に小樽の方たちに映画を見ていただきたかった。一緒に映画を作った仲間たちと、今日を迎えられたことがすごく嬉しいです。

高良さん/今日は〝生徒たち〟に会えるのを楽しみにしてきました。僕は先に映画を観たけれど、良い映画になっていて、みんな生き生き芝居しています。たくさんの子どもとお芝居するのが初めてで、先生役を演じられるか最初は不安でしたが、子どもたちの力にすごく助けられました。みんなが僕を「先生」にしてくれました。素敵な映画になっているので、楽しんでください。

そして映画の上映後、再びお二人が登場。

呉監督/どうだったんでしょう…ドキドキしています。(会場から拍手!) 生徒役の子どもたちは、きっと自分のことを必死に探しましたよね(笑)。

司会/高良さんは色々な映画に出てらっしゃいますけど、教師役は初めてなんですね。

高良さん/はい。最初は、自分が先生として生徒と向き合えるか不安でした。子どもたちは〝生〟の芝居をしてくれるので、そこには絶対関係性が映ってしまう。だから、ちゃんと関係を築けるかなと思ったんです。でも、現場に行ったら仲良くなれて、僕を「先生」にしてくれたことを、感謝しています。

司会/呉監督もデビュー以来、こんなに多くの子どもを起用することはなかったということですが。

呉監督/そうですね。だから今回、クラスメイト役の38人全員をオーディションで選んだ時、一般の方や映画未経験の子どもも多かったのですが、ひとりひとりと話して、この映画にふさわしい役を考えました。教室の席順も、助監督さんと「この子の隣はこの子がいいよね」と考えて、その作業がすごく楽しかったです。でも、それは準備の段階で、現場に入ったら(先生役の)高良さんに「あとは生徒たちとうまくやってちょうだい!」と丸投げ(笑)。私はほとんど教室に入りませんでした。

司会/〝丸投げ〟された岡野先生はどうでしたか?

高良さん/友達と話している感覚でしたよ。僕自身、〝おじいちゃん〟みたいな面も、〝赤ちゃん〟みたいな面もあるので、うまく溶け込めたのだと思います。

司会/小樽ロケで、印象に残っていることをお教えください。

呉監督/子どもたちのシーンは毎週末の撮影で、最初はよそよそしかったのに、どんどん仲良くなっていくんです。と同時に、ケンカもあったり(笑)、だんだん「クラスメイト」になっていくのが印象的でした。そんな中で、調子に乗る子もいれば、諫める子が出てきて、私に相談するんですが、それを高良さんに「何とかして」って丸投げして(笑)。その作業が日に日に多くなり、そういう雰囲気が映画に出ている気がします。

高良さん/僕は生徒たちとのシーン、すべて心に残っています。きっと、みんなが去年の6月にしか出せなかった雰囲気、言えなかったセリフが映画に刻まれていて、それは〝宝物〟だと思います。そこに僕も参加して、一緒にフィルムに焼き付けることができたことは、僕にとっても大きな出来事でした。みんなと過ごした一か月間は、大人と芝居するのとはまた違う感情で演じることができました。

呉監督/映画である「宿題」を出すシーンがあるんです。台本には(その宿題をした後の感想の)セリフが書いてあったんですけど、徐々にクラスの雰囲気が出てきて、先生役の高良さんとの距離感もいい感じになってきた時に、私は『台本に書いてあることを映像で超えたい』と思って、高良さんに「実際に宿題を出すとかどう思いますか」と相談したんです。すると、「やりたい!」って言ってくださって。(撮影の)前日に、みんなに急に「宿題」を出しました。そしたら、まさに映画みたいに「えぇー!」って反応で(笑)。でも、ちゃんとしてきてくれて。私が好きなのは、あのシーンのみんなのセリフが〝お利口〟だけじゃないところ。「なんかうざかった」とか言いつつ、その顔は嬉しそうに照れたりして。それが可愛いし、いいなと思っています。

高良さん/やっぱり、カメラを向けられたら恥ずかしいし、意識してしまう。だけど、みんなあのシーンはちゃんと自分の言葉で、感情で話していた。それはなかなかできることじゃない。それが、この映画には焼き付いて、ずっとこの世には残っていく。これは〝ご褒美〟だと思います。

ここで、来場のマスコミの方より質疑応答。

マスコミ/そもそも、この原作本(中脇初枝「きみはいい子」/ポプラ社刊)を映画化しようと思ったのは?

呉監督/原作を読んだ時、新聞やニュースで取り沙汰されている問題がたくさん入っていて苦しかったです。けれど、苦しさと共に、この本には「救い」があると思いました。私は、「救い」や「希望」を見い出せるものでなければ、映画を作る意味はないと思っていて。この原作は、遠い未来がハッピーになるというような大げさなことではなく、〝明日の一歩〟になれる気がして、映画にしたいと思いました。

マスコミ/呉監督は最近、妊娠を発表されましたが、母親を描いたこの作品でどんなメッセージを込めましたか。

呉監督/尾野真千子さん演じる「雅美」という母親が、子供に手をあげるシーンがあります。私は、その人が生きてきた環境・育ちが、その人の行動に影響していると思っていて、そういう意味で「雅美」は子どもを愛したい、けれどどう愛したらいいかわからない。それは、自分がちゃんと愛された実感がないから。それを言葉で説明することはないんですけれど、劇中で池脇千鶴さん演じる「陽子」が自分の経験を話してくれて、救われた気持ちになるんですね。実際、彼女が今後一切手をあげないかと言ったら分からない。けれど、そういうことの積み重ねで、自分を見てくれている人がいることが、彼女の救いになるのではないか、と思います。

司会/ご存じの方もいるかと思いますが、監督は現在、妊娠8か月なんですね。(会場拍手!)

マスコミ/小樽の町の印象は。

高良さん/撮影の一か月間、一度も家に帰らず、小樽に住むという贅沢な経験をしました。それまでは、小樽は映画のイメージと、高3のときに修学旅行でちょっと来た、という程度の印象。でも、住んでみて、すごく好きになりました。ロケした小学校から見る景色がいいですね。パステルカラーで、東京では絶対ない色使いの景色。あと、「坂」って物語がある感じがして、坂を走るシーンは画的にもグッとアガりました。この撮影で一番大変なシーンでしたけれど(笑)。

呉監督/編集でつないだのが劇中の部分ですけれど、あの前後で4倍くらい走りましたよね。

マスコミ/池脇千鶴さんと高橋和也さんはご夫婦の役どころなのでしょうか?

呉監督/気付いてくださいました? 表現として直接的に描いてはいないんですが、(尾野さん演じる)「雅美」にとって(池脇さん演じる)「陽子」があるように、「陽子」にとって、高橋さん演じる「大宮先生」との出会いがあったから、笑っていられる。そういうことをなんとなく感じてもらえたら、人と人がつながって生きている感じが描けるのかなと思い、願いを込めて「夫婦」になってもらいました。

ここでサプライズのプレゼント!
高良さん演じる「岡野先生」のクラスメイトを代表して
男子2人から感謝の手紙が読み上げられました。

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高良さん/嬉しいです。この映画の経験が、みんなの勇気になったり、これからの人生で背中を押してくれる存在になったらいいなと思っています。僕も、みんなとの出会いを大切にします。ありがとうございます。

さらに、3月14日誕生日という呉監督に
バースデーケーキが送られたりと、
会場は大変和やかで温かい雰囲気に包まれました。

ちなみに映画のエンドロールには、
我々「北の映像ミュージアム」が「協力」でクレジットされています!

また、イオンシネマ小樽には、
ミュージアム学生スタッフOBの木屋拓真君が働いています。
「きみはいい子」のPRコーナーも彼の手作り!

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ご来場の際には、映画愛の詰まった
オリジナル宣伝ブースもぜひご覧ください。

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映画「きみはいい子」は6月、全国ロードショーです。
映画の公式サイトはコチラ

(アラタメ)

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