北海道出身!「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)」の大杉宜弘監督がご来館②

国民的人気アニメ「ドラえもん」の2015年劇場版
「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)」。

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北海道出身の大杉宜弘監督インタビューの続きをどうぞ。

*  *  *

―最初のお仕事は?

「忍たま乱太郎」の動画制作に携わりました。具体的には、原画と原画の間に絵を描き足していく作業です。でも当時、暗い社屋で、非常にひっそりした雰囲気で、「これは長く続かないかも…」と不安でした(笑)

―4年間、亜細亜堂に在籍され、その後フリーになり、様々な作品に携わられています。

90年代後半、アニメーションは停滞期で、さらに「エヴァンゲリオン」など毛色の違う作品が出てきて、「このまま会社で同じ仕事を続けていたらやばいかも…」と悩み、新しい技術を学びたくて辞めました。仲間と場所を借りて色々な仕事を引き受けましたね。たとえば、「神秘の世界エルハザード」という、頭身が高めの中高生向けアニメの原画をやったり…。

―転機になったのは。

99年の劇場版短編アニメ「のび太の結婚前夜」(※「映画ドラえもん のび太の宇宙漂流記」と併映)です。知り合いのアニメーターから、渡辺歩監督の原画を手伝わないかというお誘いをいただいたのがきっかけ。「渡辺監督の趣向は、絶対君に合う!」と言われて。新しいジャンルを求めた結果、戻ってしまうんですけれど(笑)

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―渡辺監督の趣向とは。

たとえば、「柔らかく、生き生きと動かす」という感じでしょうか。「ど根性ガエル」などを彷彿とさせる動きが、渡辺監督の持ち味なんですね。それでやってみたくて引き受けたんですが…実は、最初の打ち合わせを、寝坊ですっぽかしてしまって…

―えぇ!

普通ならそれで終りだと思うんですが、その知り合いが間に入ってくれて、とりあえず仕事を始めることに。渡辺監督も最初はカンカンだったらしいんですが、原画の上がりを見ていくうちに…認めてくれたのかなぁ。とにかく、周囲の方々に助けられましたね。

―なるほど。「結婚前夜」は、「帰ってきた、ドラえもん」(原作では「さようなら、ドラえもん」)と同じく人気の根強い名作です。参加した手応えは。

僕が担当したのは、のび太が猫を空港まで送り届ける映画オリジナルのギャグシーン。それまでの仕事の延長線上にあるとはいえ、キャラクターをふんだんに動かして、情緒豊かにかつコミカルに描く、ということに思いきり取り組めて面白かったですね。

―その後、「映画ドラえもん のび太とふしぎ風使い」(03年)、「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」(07年)など、数々のドラえもん映画に原画や作画監督で関わり、今回の作品につながるわけですね。ということで、「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記」の監督をお引き受けになった時のご心境は。

24)ふしぎ風使い27)新魔界大冒険

最初は「よし、やってみよう!」という気持ちでしたが、中盤につれて色々なプレッシャーを感じました(笑)。藤子不二雄さんの原作漫画で映画を作れることの凄さをじわじわ実感したといいますか…。監督としてクリアせねばならない課題が山積みで、大変でしたね。

―私が拝見したのは、5月の連休中。映画館は親子連れで満席、小さな子どもが夢中になってスクリーンを見つめていました。作品作りで一番こだわったのはどんな点でしょう。

全体的に、明るく、笑える作品にしようと思いました。その日だけでも嫌なこと忘れて、映画館を出てきたらニコニコしてほしい…そんな気持ちを込めています。最近は劇場マナーが厳しいですが、本来映画館って気軽な場所のはず。特に子どもたちには、声を出して笑ったり、時には駆け回ってもいいと思っています。

―過去のシリーズと比較して、「異質」という反応もあるそうですね。

確かに、藤子不二雄作品の構成のようなストーリーの複雑さはないかもしれません。テーマの「ヒーロー」をそのまま描いていますし…

―でも、大人の視点で見ると、「ヒーローとは何か」を考えさせるものでもありました。ドラえもんの道具でヒーローになるけれど、現実の事件に巻き込まれた時、「本当はヒーローじゃない」というのび太の葛藤が描かれます。最後には、「誰もがヒーローになれるのではないか」という前向きなメッセージを感じました。

いまの時代、「これが正義だ」というヒーロー論が成り立たなくなっています。ですからこの物語も、勧善懲悪を強調し過ぎないように、ある種ヒーロー像をあやふやにしている面もあります。観客の皆さんが感じた通りに受け取ってもらえればいいですし、子どもたちには、そんなことを気にせず、思いきり楽しんでもらえれば十分です。

(あすにつづく)

★館内にサインをいただきました!
とってもかわいいドラえもんイラストを、どうぞ直接ご覧ください。

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大杉宜弘(おおすぎ・よしひろ)
1974年、北海道生まれ。「亜細亜堂」を経てフリーに。「映画ドラえもん のび太の夢幻三剣士」以来、数々のドラえもん映画に原画や作画監督として携わる。
※大杉監督の初長編映画「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)」の公式サイトはコチラ

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