札幌生まれの川瀬陽太さんが日プロ大賞の主演男優賞に選ばれました。

高い評価を受けながらも既存の映画賞では受賞に至らなかった作品や個人を、独自の視点で称揚する「日本映画プロフェッショナル大賞」の授賞式が5月3日夜、東京・新宿のテアトル新宿で行われました。主演男優賞には「ローリング」「犯る男」の川瀬陽太さん(札幌生まれ)が、若手人気俳優の染谷将太さんとともに選ばれました。

対象となった2本の映画で共演した 、柳英里沙さんと朝倉ことみさんから花束を贈られた川瀬さんは、「ここに立てたのも、最初に自主映画の世界に引きずり込んでくれた福居ショウジン監督、育ててくれた瀬々敬久監督、何より俳優で続けていけと言ってくれた(俳優仲間の故・)伊藤猛のおかげです」と述べました。

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花束のプレゼンターを務めた柳英里沙さん(左)、朝倉ことみさん(右)に囲まれる川瀬陽太さん。後ろは主演女優賞の多部未華子さん

川瀬さんは第1回の日プロ大賞に、特別賞を受けた福居監督作品の助監督として参加。「あの時、『遊びの時間は終らない』で主演男優賞の本木雅弘さんらいろんな人に会えたので、今回また来れて感慨深いです。当時は助監督をやっていて、映画を作りたかった。俳優になるという選択肢はもともとなかったが、瀬々敬久監督、伊藤猛と何年も走ってきた気がします。今でも伊藤猛なくしては今の僕はいないと思ってます」と振り返りました。

川瀬陽太さんは1969年、札幌生まれ。母の実家のある札幌で3歳まで過ごし、その後、神奈川県で育ちました。「家はスガイビルの近くでした。夏や冬に帰省するたび、親戚のおばさんに狸小路の映画館に連れて行ってもらい、変な映画ばかり見ていました。ここで見た映画が今の生活の基礎になっています。街の空気も含めて、札幌は大事な原体験の場所です」と話してくれました。数多くのピンク映画に出演したほか、近年は一般映画にも活躍の場を広げています。長年の付き合いの瀬々敬久監督からのオファーで、瀬々監督の新作「64」にも喫茶店のマスター役で出演しています。

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花束を手にあいさつする川瀬陽太さん

ともに主演男優賞を受けた染谷将太さんは、受賞対象となった「さよなら歌舞伎町」について、「初めは、仲のいい川瀬さんを通じてオファーが来ました。川瀬さんが、『何月ごろスケジュール空いてる?』というので、空いてますよって」と秘話を披露して会場を沸かせました。

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受賞の盾を手に壇上で笑顔を見せる右から川瀬陽太さん、主演女優賞の多部未華子さん、染谷将太さん

川瀬さんは5月5日に東京の上野オークラ劇場で表彰式が行われた、第28回ピンク大賞でも男優賞に輝き、目覚ましい活躍ぶりを示すダブル受賞となりました。(理事・加藤敦)

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