ゆうばり映画祭出身の真利子哲也監督のトークが開かれました

東京のシネマヴェーラ渋谷で14日まで行われた特集上映「日本映画の現在」で、真利子哲也監督の特集が組まれ、最終日には真利子監督と、松江哲明監督のトークが行われました。真利子監督は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で、2004年の「極東のマンション」、2005年の「マリコ三十騎」と2年連続で、ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門のグランプリを獲得。「ゆうばり映画祭出身監督」の1人です。今年公開されたメジャーデビュー作品「ディストラクション・ベイビーズ」では、その鮮烈な暴力描写で衝撃を与えました。

真利子哲也監督については次の通り(シネマヴェーラ渋谷の解説から)。
真利子哲也監督
1981年、東京都生まれ。法政大学在学中に8mmで自主制作した『極東のマンション』『マリコ三十騎』が、ゆうばり映画祭での2年連続グランプリ受賞を筆頭に、多くの映画祭で賞を獲得し国内外から高い評価を受ける。東京芸術大学大学院修了作品『イエローキッド』は、毎日映画コンクール新人賞、日本映画プロフェッショナル大賞監督賞など受賞多数。バンクーバー国際映画祭をはじめ海外の映画祭で評価され、異例の劇場公開が実現した。11年『NINIFUNI』はロカルノ国際映画祭で特別上映。そして今年、 満を持してのメジャーデビュー作であり、日本映画界に嵐を巻き起こした『ディストラクション・ベイビーズ』は、ロカルノ国際映画祭で最優秀新進監督賞を受賞した。

自作について松江哲明監督(右)と話す真利子哲也監督

自作について松江哲明監督(右)と話す真利子哲也監督

最終日には監督自選集として、上記2作のほか、処女作である「ほぞ」など5本が上映されました。「極東のマンション」「マリコ三十騎」は、真利子監督の家族も登場する、セルフドキュメンタリーと劇映画の中間のような作品ですが、上映後のトークでふたりは「ドキュメンタリーが怖くて逃げ出して、フィクションに行きました」(真利子監督)、「東日本大震災があったこともあり、人を傷つけてまで撮るのはやめた」(松江監督)と、ドキュメンタリーが抱える「業」について語りました。

「ほぞ」で衝撃を受け、それ以来の真利子監督ファンという松江監督は、「ディストラクション・ベイビーズ」について「 商店街で事件が起きるのは『ほぞ』と、車の中から暴力が起きるのは(上映された旧作の)『NINIFUNI』と同じ。商店街で背中から撮るのは真利子カットだよね」と、作り手の初期衝動の大きさについて話し、真利子監督は「ディストラクション・ベイビーズは、自分のやりたいことを全部詰め込んだ。区切りとなる作品を作ることができ、一山越えて次は気楽に作れる」と話した上で、「ディストラクション・ベイビーズ」を撮った後に入院したという、全力投球ぶりを示す秘話も披露してくれました。

トーク終了後、真利子監督は、ゆうばり映画祭について「そのころは自分では映画をやっているという意識があまりありませんでしたが、業界の人がたくさんいて驚きました。(2004年には)大雪で最終日に飛行機が飛ばず、審査員やゲストが帰ることができずに会期が1日伸びたことも懐かしい。夕張は雪が多くてファンタジックな印象があります。今でも自分のプロフィールを書くときには、ゆうばり映画祭で賞をもらったことを必ず入れています」と話してくれました。

「ディストラクション・ベイビーズ」で注目を集めた真利子監督、ゆうばり映画祭出身監督として、今後の活躍を期待しましょう。(理事・加藤敦)

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