東京のシネマヴェーラ渋谷で開催中の、東映実録映画の特集上映「抗争と流血」で16日、「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」(山下耕作監督、1975年)が上映され、出演者の中島ゆたかさんのトークショーが開かれました。
中島ゆたかさんは1952年、茨城県生まれ。東映の「夜の歌謡シリーズ」や「直撃!地獄拳」などに出演したほか「トラック野郎」シリーズの初代マドンナを務めました。聞き手の映画評論家、樋口尚文さんの「山下監督の演出は厳しかったですか」という問いに「私、その前に小沢茂弘監督の『激突!殺人拳』に出た時に、1ヶ月毎日極真空手の道場に通って、監督からとても厳しいことを言われてましたから、それに比べれば山下監督は何も仰らない監督さんでした」と東映の監督ごとのカラーについて話しました。
また、共演者の梅宮辰夫さんについて「(プレイボーイという印象と違って)本当にいい人。撮影所からタクシーで帰る時に送ってくれて、梅宮さんはお父さんが(中島ゆたかさんの出身地の)水戸の赤十字病院のお医者さんで、梅宮さんも水戸で過ごした時期があったので、『あそこに火の見櫓があってさ』と水戸の話をしてくれました。先日、松方弘樹さんが亡くなった時も『死んだらおしまいだ』というコメントが真情あふれるものでした」と振り返りました。
さらに、75年放送で、札幌などで撮影された「Gメン75 追跡と逃亡! 石狩挽歌」について「全編に北原ミレイさんの『石狩挽歌』が流れるんですよね。東映の時代劇によく出ていた吉田義夫さんが小舟で海へ漕ぎ出したり、とても印象的な作品でした」と話してくれました。40年以上前のことなのに、昨日のことのようにはっきりと、臨場感たっぷりに語る中島さんのトーク。遠く徳島や名古屋から訪れたファンからも質問が飛び出し、会場の全員で楽しいひと時を共有しました。(理事・加藤敦)