東京の名画座・ラピュタ阿佐ヶ谷のモーニングショーで、函館出身の喜劇俳優・益田喜頓さんが主演を務める「刑事物語」シリーズの特集上映が始まりました。5月20日まで、週替わりで全10作品が上映されます。ラピュタ阿佐ヶ谷のホームページはこちら。
益田喜頓さんは1909年生まれ、上京して喜劇俳優となり、映画や舞台で活躍しました。90年に函館に戻り、93年に亡くなりました。
日活作品の「刑事物語」は1本50数分で、1960年から61年にかけて小杉勇監督によって全10作品が作られました。益田喜頓さんが所轄署の人情派刑事、息子は階級が上の警視庁本庁の部長刑事で、凶悪事件の発生で二人を含むそれぞれのチームが協力して捜査にあたるという設定は共通で、特集上映のサブタイトルも「OYAKOーDEKA SPIRITS」。息子を第1作は待田京介が、第2作以降は青山恭二が演じています。
このシリーズではロケーションが多用され、1960年ごろの東京の主に下町の様子が活写されているのも興味深い点です。「東京の迷路」では錦糸町周辺、「銃声に浮かぶ顔」では上野駅が登場し、劇映画であっても、時代の記録になっている好例と言えます。
余談ですが、ラピュタ阿佐ヶ谷では、特集「東宝文芸映画へのいざない」の中で、4月19日から29日にかけて「ジャコ萬と鉄」(1949年、谷口千吉監督)、「地の涯に生きるもの」(1960年、久松静司監督)と2本の北海道ロケ作品が上映されています。益田喜頓作品に続いて、厳しい風土の中でのニシン漁や、押し寄せる流氷がフィルムに収められた、代表的な北海道ロケ作品を堪能しました。ラピュタ阿佐ヶ谷に掲示された両作品のプレスシートをつけます。(クリックすると拡大されます)
(理事・加藤敦)