札幌出身・三宅唱監督が新作「密使と番人」について語りました

札幌出身の三宅唱監督の新作「密使と番人」が東京・渋谷のユーロスペースで公開されました。1日には監督が観客の質問に答えるトークが行われました。

「密使と番人」はCSの時代劇専門チャンネル、日本映画専門チャンネルの製作。三宅監督としては珍しい時代劇です。公式HPはこちら

時代劇ではありますが、中身はとてもユニークで、蘭学の資料と引き換えに日本地図を長崎のオランダ人に届けようとする密使(森岡龍)と、その追っ手(渋川清彦)たちの攻防を、全編60分にわたり、ほとんど説明なしに描いています。長いはずの物語のうち、ごく一部を切り取って映像にしたという印象です。その理由について三宅監督は「ひたすら歩く映画にしようと考えました。歩いたり追ったりする、人のドラマと関係なく周りには山があるし雨も降るし、人間がしでかしていることとその場所全体、空間、世界で起きていることの距離感を撮りたかった」と話しました。言葉での説明ではピンとこないかもしれませんが、見終わると確かにその通りの映画になっています。

「密使と番人」について観客の質問に答える三宅唱監督

「密使と番人」について観客の質問に答える三宅唱監督

ややネタばれですが、密使と戦う追っ手が不可解な斃れ方をすることや、攻防に遭遇した夫婦がその後、どこへともなく向かうことが不思議な印象を残します。夫婦の行く先について、三宅監督の中では設定があって「きっと北海道へ向かうと思います。僕は入植4代目ですが、ひいおじいちゃんは(この映画のロケ地である)長野の出身だったので」と、うれしい裏話を披露してくれました。さらに、地図がオランダ人に渡るまでの、この先の長い物語について「続編を作るならシーボルト役はトム・クルーズで」と、「野望」を語りました。

ところで、この夫婦の妻役の石橋静河さんは、佐藤泰志原作映画の第4作で、6月に函館で撮影が行われた三宅監督の「きみの鳥はうたえる」にも出演しています。三宅監督は現在、編集を進めているところといい、「いい役者、スタッフに恵まれたことが、この映画の力になってくれればと思います。今やれることは全てやったという気持ちです」と、3週間に渡って行われた撮影に手ごたえを感じている様子でした。「きみの鳥はうたえる」は来年秋公開の予定です。(理事・加藤敦)

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