8月のシネマ塾レポート!高峰秀子主演「遠い雲」

月に一度のミュージアムイベント「北のシネマ塾」。
今年は〝映画の女神、今ふたたび。女優・高峰秀子〟と題し、
函館出身の名女優・高峰さんの出演作をご紹介しています。
8/19(土)のテーマは「遠い雲」。

遠い雲

1955年、木下惠介監督作品です。
トークを担当したのは、高村賢治副館長。

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オールスターキャストながらも、
世間的な評価は意外と低いというこの作品。
しかし、「個人的に好きな作品!」という高村さんは、
作品の見どころや楽しみ方について熱弁を振るいました。

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まず、6月にシネマ塾で取り上げた
「乱れる」(成瀬巳喜男監督)と比べ、
「『乱れる』は高峰さんの心情を繊細過ぎるくらい繊細に浮き彫りにしました。 一方、この『遠い雲』は、初恋のドラマですが、高峰さん演じる主人公の、家族や兄弟、身内との関わりに重点を置いている。そうした人間模様が、ロケ地・岐阜県高山市の街並みの中で繰り広げられるのが見どころ。同じ松山善三脚本として見比べても興味深いです」と説明。

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田村高廣さんが手にした本の役割や、田村さんに告白された直後、
高峰さんがなぜ金物屋で買い物をしたのか…など、
細かいシーンの意味について詳しく解説。

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たとえば、田村さんの転勤先として、
北海道の「ルベシベ」が登場する理由は
「1950年当時は林業が盛んで、
生活の安定を意味しました」と話すと、
お客様も「なるほど!」と納得された様子。

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そして、映画の隠されたテーマとして、
獅子舞やSL、郷土芸能、
古い町並みなどが挿入されることを取り上げ、
飛騨高山の伝統や風習、しきたりが作品のバックボーンにある。高峰さんはそうした郷土文化の中に守られており、田村さんという〝異人〟が彼女を奪うことは許されるのか、高峰さんの心の葛藤になっている」と話し、「とにかく、この映画の高峰さんは美しい!!」と絶賛しました。

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さて、次回は10/21(土)午後2時から、
「カルメン純情す」をご紹介します。

そして、いよいよ2週間後に迫って参りました!

北の映像ミュージアム開館6周年記念・シネマの風景特別上映会
「北海道が生んだ、映画界の至宝!小林正樹の世界」
日時:9/2(土)、会場:札幌プラザ2・5

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上映作品「この広い空のどこかに」は、高峰秀子さんが出演
どうぞこの機会に、大きなスクリーンでご堪能ください!!

この広い空のどこかに©1954 松竹

この広い空のどこかに©1954 松竹

【午前の部】9:00開場
①9:30~ 映画「この広い空のどこかに」(111分)
②11:30~ トーク 関正喜「映画監督 小林正樹」(30分)
③12:00~ 映画「いのち・ぼうにふろう」(121分)

【午後の部】14:25開場
④14:50~ 映画「この広い空のどこかに」(111分)
⑤16:50~ トーク 関正喜「映画監督 小林正樹」(30分)
⑥17:20~ 映画「いのち・ぼうにふろう」(121分)

※チケットは前売り券1200円、当日1500円
(2本立、午前・午後の入れ替え制)。
チケットはミュージアム、道新プレイガイドで発売中です!

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