12月7日、札幌映画サークルの創立50周年記念イベントにちょっと参加してきました。狸小路5丁目の札幌プラザ2.5で朝9時半から夜8時まで盛りだくさんのプログラムでした。このうち将来の映像アーティストめざしてがんばる道内の若者たちの短編映画を7本観賞。さらに高畑勲監督のドキュメンタリー作品「柳川掘割物語」を見たあと監督のトークを聞きました。
▲短編映画8本を上映したあと、ステージに勢ぞろいする若手映像人たち
短編映画は札幌映画サークルが立ちあげた「さっぽろクリエーター育成プロジェクト」(Sapporo Creator Upbringing Project=SCUP)で育った人たちの作品8本が無料上映されました。キタが午前10時前に入館したときすでに1本目の「末永とも子シリーズ」が終わっており、見たのは2本目の「凪(な)ぎさ」の途中から。
正直いって、作品のレベルはまだまだ「映画」といえるだけの域に達していないものが多かった。撮影技術、演出、演技の3つのポイントからは「愚怒猛仁愚(グッドモーニングとよむらしい)、ヤンキー」(杉山りょう監督)がよかった。プロの俳優さんを使ったのはこの作品だけかな?
でも、映像づくりに賭けた情熱はどの作品からも伝わってきた。この分野の育成に力を貸す札幌映画サークルの度量に敬意を表したい。
▲高畑勲監督(右)と森啓・教授との対談
午後1時からの「柳川掘割物語」は立ち見が出るほどの盛況。アニメのトップランナーを走る高畑勲監督唯一の実写作品(1987年)。水郷柳川(福岡県)の復活を撮った渾身のドキュメンタリー。宮崎駿さんとタッグを組んで世に送り出しました。キタは初めて見ましたが、素晴らしいものでした。
上映のあと、自治体学の専門家、森啓・元北大教授と高畑監督の対談がありました。
同サークルの25周年イベントでも上映したというが、民と官が協力して地域の宝を再生していくプロセスを丁寧に記録した作品は時代を経ても古びることのない訴求力を持っていました。
高畑監督は1935年生まれ今年78歳。ステージで見た姿は髪も黒々と若々しい。現在、ロードショー中の同監督のアニメ作品「かぐや姫の物語」のPRも忘れず、まだまだ元気いっぱい。72歳の盟友宮崎駿の引退宣言についても、微妙な発言をしておられました。
▲50年の歩みを伝えるパネル、山田洋次監督ら映画人が残した色紙をロビーに展示
それにしても、札幌映画サークルの創立50周年。ただただ頭が下がる思いです。われら「北の映像ミュージアム」はNPO創立から10年、ミュージアム開館からまだ2年。北海道の映像文化を守っていくために見習っていくことがたくさんあります。