ゆうばり映画祭3日目に開かれた
『北海道ロケトークスペシャル』のレポート第2弾です。
今回は『ぶどうのなみだ』です。
企画の鈴井亜由美さんと 山崎ワイナリーの山崎太一さんが登壇しました。
司会「まず製作の経緯を教えてください」
鈴井「『しあわせのパン』(2012)を撮影していた時から次回作のことは考えており、どこを舞台にしようかと思っていました。そんな時に札幌のレストランで山崎ワイナリーのワインに出会い、その美味しさに驚いてすぐに空知にあるワイナリーにお邪魔したんですね。それ以降、山崎さんとは家族ぐるみでお付き合いするようになりました。次は家族の繋がりを大事にする映画を作りたいと思っておりましたし、空知という街から元気がなくなり、旭川への通過点のように思われているのがもったいないと感じていたので、ここで映画を作り、街の元気を取り戻そうと思いました。」
司会「ということは、山崎ワイナリーのご家族の物語ということですか?」
鈴井「ベースにしただけで、あくまでもフィクションですよ。映画の中ではお父さんは亡くなっちゃってますけど、実際はこちらの山崎さんのお父さんは元気ですから(笑)」
司会「山崎さんはこの映画の企画を初めて聞いた時はどんな風に思われましたか」
山崎「三笠市というのは人口1万人を切った小さな町なんですが、年に1度か2度、町の市民会館に映画がやってくるんですね。僕も子供の頃から楽しみにして見てきましたが、今度は映画の上映ではなく映画自体がやってくると聞いてとてもワクワクしましたし、楽しみが出来ました。」
司会「それからはどんな体験をされたのでしょうか」
山崎「夏の撮影のシーンで、本人役をやらせてもらいましたね。農作業に関しては自分はプロのはずなんですが、監督から何度ももっとこうしてくださいと指示が出され、何度か取り直しをしました。けれど後で映像を見ると監督のアドバイスに従った農作業の方が機能美というか、とても美しくみえたんですね。自分もまだまだだなと思ってしまいました。」
司会「『ぶどうのなみだ』ではこのワイナリーを全面的に使わせてもらおうというロケだったのですか」
鈴井「お話は山崎ワイナリーなんですが、映画自体はお隣にある豊水ワイナリーという岩見沢市で撮ったんですね。撮影は岩見沢市だけれど、三笠の炭鉱や山崎家など空知がいっぱい登場する映画なんです。」
司会「空知の地域での協力体制はどうでしたか」
鈴井「市役所の方も早朝から夜中まで手伝ってくれましたね。一緒にカメラを運んでくれたり、炊き出ししてくれたり。自分の町が映画になるということがすごく嬉しいと言ってくれて、今回も色んな方々に助けられました。」
司会「その他に何かエピソードはありますか」
鈴井「映画に出てくる食べ物は、スーパーでは一切買ってなくて生産者さんが全て提供してくれたんですね。なので映画に登場する食べ物は全部北海道のものです。」
司会「山崎さん、この映画のロケ隊が地域に与えた影響はありましたか」
山崎「市役所であったり、農家であったり、お互いの繋がりが強まったと思います。映画を通して普段お会いしたことない人とも話す機会が増えました。」
司会「鈴井さんは、こういう北海道を舞台にした映画を2本作られていかがですか」
鈴井「『しあわせのパン』の公開後されてから本当に洞爺が元気になったんですね。映画を撮る前は噴火があって、観光客がどんどん減って、シャッター街になったところもあるんですけど。映画が公開されてからはお客さんがたくさん増えて、街の人が新たにイベントを自分たちで町おこしをしてるんですよ。 『ぶどうのなみだ』の撮影時に、洞爺の人達がお弁当をもってきてくれたこともあって。私たちはそういうバトン渡しをしていきたいと思っています」
第3弾『そこのみにて光輝く』に続きます(木屋)