函館ロケ「そこのみにて光輝く」特集2回目をどうぞ。
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ヒロイン・千夏を演じるのは、池脇千鶴さん。
千夏が語気を強めて睨んだ。達夫は溜息をこらえた。千夏の顔を見た。女を感じた。怒りに満ちた眼が、整った顔だちをひときわ際立たせていた。 (小説「そこのみにて光輝く」より)
家族を支えるため、過酷な日常を生きていた千夏。
「あの子には無理よ。あたしならひと突きで殺したわ」
眼を細め、頷きながら達夫を見降す。達夫は千夏の肉体が発するものを感じとろうとじっと見つめ返した。 (小説「そこのみにて光輝く」より)
池脇さんは、つらい環境に身を置きながらも、主人公・達夫に心惹かれていく、芯のある女性を見事に演じています。
舟の影が弾んだ息をわずかになだめてくれた。カモメが羽毛をきらめかせ、ふたりのそばに群れて砂の上に何十羽といた。彼らは時々、警戒するような、無視や好奇心とも取れる眼でふたりを見ては、咽をぐるぐる鳴らした。 (小説「そこのみにて光輝く」より)
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「そこのみにて光輝く」 呉美保監督
(C)2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会
4月12日(土)から函館シネマアイリスで先行ロードショー!
4月19日(土)から札幌シアターキノほか全国ロードショー!
公式サイトはコチラ
(アラタメ)