あさって函館先行公開される函館ロケ「そこのみにて光輝く」。
ミュージアムの武島靖子理事(以下、T)による
呉美保監督&菅原和博プロデューサーインタビューも
今回がラスト。どうぞお楽しみください!
【ネタばれ注意】インタビューでは映画の内容に触れています。
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「千夏を立たせたい」。即決した函館のロケ地
T/この映画では、とってつけたような北海道弁ではなく、リアルな函館弁が出てきます。函館の方は嬉しいのではないでしょうか。
菅原/おっしゃる通りです。
T/その描き方は意識されました?
監督/方言指導の方に、「特別な函館弁ではなく、あくまで自然な函館弁を」と言い続けました。私は三重県出身で関西弁ですが、大阪が舞台の作品で役者さんが慣れない関西弁を話すのを見るとストーリーに集中できなくなる。それが嫌なので、これまでも方言にはこだわってきました。
菅原/俳優さんたちも、方言指導の方に何度も確認されていました。特に綾野君は、函館に友達を作って夜遅くまで一緒にいて、常に函館弁に浸って役作りに励んだようです。
T/監督さんは初めての函館、いかがでしたか?
監督/ものすごく好きになりました。町を好きになる理由って、場所の美しさや居心地の良さ、美味しい食べ物などいろいろありますけれど、結局は「人」。そこに住んでいる「人」に出会えたことが大きいと思います。
T/函館市民に出会ったから、函館を好きになったと。
監督/はい。この映画は(佐藤泰志の小説を映画化した)前作『海炭市叙景』と同じく、函館市民の皆さんの協力で作られています。なので、映画作りの過程で市民の方々と触れ合う時間がたくさんありました。普通に地方で撮影するのとはわけが違うので、だからこそ、情がわくというか、町を好きになりました。
T/市民の協力とは、製作費の面でしょうか。
菅原/総製作費5000万のうち、滞在費や食費など約1割を募金で賄いました。市民の方々には金銭面のほかにも、東京の撮影スタッフが働く現場をさまざまな面から支えてもらいました。
T/最後に、特に思い入れのあるロケ地をお教えください。
菅原/千夏の家のロケ地ですね。函館に住む人間が原作を読むとイメージは函館市の大森浜なんですが、ロケしたのは北斗市の七重浜。でもあの風景も、物語にピッタリでした。
監督/私は(千夏が海を眺めるシーンなどを撮影した)穴澗海岸ですね。あの、人生の行き止まり感を感じさせるどんづまりの雰囲気と、対照的な美しい夕陽を見て、「ここに千夏を立たせよう」と一発で決めました。
T/ありがとうございました。映画の成功を応援しています!
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「そこのみにて光輝く」 呉美保監督
(C)2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会
4月12日(土)から函館シネマアイリスで先行ロードショー!
4月19日(土)から札幌シアターキノほか全国ロードショー!
公式サイトはコチラ