札幌は雨。三連休の最終日でもあり、
客足はあまり伸びません…と思ったら、
夕方から急にお客様が来館し、あれよあれよと70人超に。
ニトリ文化ホールや教育文化会館が近いため、
ライブやコンサート前のお客様が立ち寄ってくださることも多いのです。
そんな中、午前中には大阪からの女性観光客2人組が、
網走ロケ「南極料理人」(沖田修一監督、2009年)
の衣装を目当てに ご来館くださいました!
お二人とも、主演の堺雅人さんファンとのこと。
ご本人が実際に来た衣装だと知ると「えぇ~!」と歓声が。
館内をじっくりご覧いただき、楽しんでおられました。
さて、本日から、オープンまでの10年間の足跡をたどる連載
「オープンまでの道のり」を不定期掲載していきます。
◆ ◆ ◆
「北の映像ミュージアム」活動の始まりは、2000年。
同年9月に亡くなった、映画・美術評論家、
竹岡和田男さんの想いが出発点でした。
竹岡さんは、元北海道新聞記者。
長年、編集畑を歩み、退職後は北海学園大教授などを務めました。
映画・美術・音楽・演劇など
芸術文化への造詣が深く、数々の評論や著書を残しています。
とりわけ映画への想いは強く、3万点に及ぶ膨大な映画コレクションを所蔵。
さらに、全国各地の「映像ライブラリー」を調査し、
北海道にとっての必要性、重要性をこう訴えていました。
北海道は戦前から戦後のロケーション地として、日本映画にとって重要な土地であった。(中略)これらの作品的内容は別としても、北海道の街や自然の変貌を知るには絶好の歴史的資料であろう。
例えば谷口千吉監督「ジャコ萬と鉄」の見事なニシンの群来、五所平之助監督「挽歌」の釧路の街と湿原、黒木和雄監督「わが愛 北海道」の希望あふれる時期の表情、小林正樹監督「人間の條件」の大原野、田中絹代監督「乳房よ永遠なれ」の札幌郊外、吉田喜重監督「樹氷のよろめき」のニセコの冬、そして黒澤明監督「白痴」のかつての札幌の街景と人の営みなど、時代を語り、いまは見られぬ情景をいきいきと描き出して、またとない貴重な資料となるだろう。これらを収集して後世に遺すのも、大事な責務ではないか。しかもフィルムは年ごとに劣化し散逸して行く。
札幌(北海道)にフィルムライブラリーを、との声が高まるのは、こうした意義と現状からであり、自治体と民間が一つになっての方策が望まれる。(以下省略)
(1999年7月、「北海学園大学人文論文」第13号、竹岡和田男「映像ライブラリー 日本における現状と課題(Film Archive in Japan)」より)
そんな竹岡さんの遺志を引き継ぎ
2000年、札幌に「北の映像ミュージアム」を
創設しようという動きが始まったのです。
(つづく)