雪が降り始め、いよいよ冬到来の札幌です。
さて昨日13日、札幌在住の細野牧郎監督がご来館下さいました。
ミュージアムへの来館は、昨年3月以来。
そのインタビュー時にお話されていた初の長編映画「花」が完成し、
いよいよ来週22~24日、上映会をするのだそうです。
おめでとうございます!
長編を作るまでの道のりは、以前のインタビューをどうぞ→コチラ
さっそく、最新作「花」について伺いました!
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―初の長編作、いよいよ来週公開ですね!
企画を立てたのが10年位前で、それから結構何度も頓挫しかけたんです。完成できないのではと思うこともありましたけれど、無事撮影を終えることができました。同時進行で編集を進め、頼んでいた曲が全部上がったのが昨日のこと。本当に完成したのは、実はつい昨日なんです。
―そうですか!撮影を振り返って、いかがですか。
よくここまで来たなーというのが実感です。短編と比べて体力がいるというか、筋肉の近い方が違う。正直、長かったですね。今回はどうしても丁寧に撮りたかったので、去年9月のクランクインから今年7月のクランクアップまで、約1年通して撮影しました。振り返ってみれば、あっという間というか、無我夢中で撮っていた気がします。
―特にこだわった部分は。
たとえば、シナリオ通りに撮らなかった部分があります。台本では会話のシーンなのに、前日に思いついて、歌を歌うシーンにしたり。あと、ベッドシーンの質感も粘りました。そして、最も重要なシーンは、僕自身がカメラを回すことにチャレンジしました。特にラストの大事な芝居は、演出とカメラワークを重ねてうまくいかせたいと苦労した部分です。
―なぜご自身でカメラを持とうと?
うまい下手ではなくて、もう無我夢中。絶対ここを切り取りたい、という明確な意志があったんです。
―具体的にはどのシーンですか。
主人公の家に、ヒロインの女性が訪ねていくラストシーンです。ここが伝わらないとこの映画は壊れると思い、演出も悩みに悩みました。どこまで伝わるかわかりませんが、ぜひ観てほしいです。
―映画のテーマは「喪失と再生」ですね。
きっかけは、村上春樹さんの小説「ノルウェイの森」を読んだこと。僕の抱く〝哲学〟に「諦念感情」みたいなものがあるのですが、この小説の「喪失と再生」というモチーフがすごく腑に落ちたんです。失っていく、けれども再生していく。結局生きることってそういうことじゃないかな、と。それがこの映画の企画につながりました。「喪失と再生」のフィルターを通して描きたいのは、「生を肯定すること」です。
―その「諦念感情」とはどこから来るのでしょう?
元々そういう性質を持って生まれたのでしょうね。だから好みもそうしたものなんです。たとえば、小津安二郎とか、「スローターハウス5」などで知られるアメリカの作家・カート・ヴォネガットとか。
―ありがとうございます。それでは上映会に向けて、メッセージをお願いします。
構想10年、撮影1年をかけ、熟成した思いを詰め込んだ作品なので、ようやく皆さんに見ていただけるのが嬉しいです。でも、そんな背景を抜きにして、単純に普通の映画として楽しんでほしいと思います。
また、こうした自主映画の上映会を定期的に続けていきたいと思っています。というのも、札幌ではなかなか、自主映画を観る機会が少ない。音楽や演劇に比べて、自主映画は観客と距離が遠い気がします。僕はこれからも札幌で長編を作り続けようと思っていて、お客さんに見て、育ててもらいたい。だからこの「花」を第一歩として、自主映画を公開し、見てもらう「場」を作り続けたいですね。
―以前お話されていた、自主製作&自主配給の夢への第一歩というわけですね。頑張ってください!
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細野監督、今後は映画祭への出品&次作の構想もあるそう!
これからますますの活躍を応援しています。
札幌自主制作映画上映会 「花」 (同時上映「縛刃 不動仁義」)
日時:11月22、23、24日
上映:①13:00、②16:30 ③20:00
場所:札幌市南2西6 イベントスペースEDIT
料金:1,500円(前売り、当日) ※ローソンチケット:Lコード:12133
お問い合わせ:プロパンムービー
ミュージアムにもポスター&パンフレットあります。
ぜひお手に取ってください。