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お知らせ

2022年7月19日(火)

7月の「シネマトーク」は、道内ロケの代表4本を紹介

毎月開催の「土曜の午後のシネマトーク」、第5回の7月16日はゲストにフリーアナウンサーの橋本登代子さんを迎え、高村理事が道内ロケ作品の代表4本を選んで紹介するとともに、独自の視点で見どころを解説しました。

今回取り上げた4本の映画

橋本さんは「私も北の映像ミュージアムの会員で、ロケ地ガイドの『シネマてくてく』のすばらしさに感動しました。これを会員以外に広める方法はないかと考えて、STVラジオの番組『TONちゃんのほっかいどう大好き』に、5月と6月に高村さんに7回も出演してもらい、高倉健さんの貴重なエピソードなどおもしろい話をうかがいました」と当法人とのかかわりを語りました。

ゲストの橋本登代子さん

選んだのは、道南=函館ロケ「飢餓海峡」、道北=礼文島ロケ「北のカナリアたち」、道央=札幌ロケ「乳房よ永遠なれ」、道東=中標津ロケ「遙かなる山の呼び声」の4本。高村理事は「道内4ブロックから1本ずつ選ぶのは難しいですが、風景とその中で人間がうまく投影された作品は何か、を基準に選びました」と述べ、各作品のハイライトシーンを紹介しました。各作品についての主なやり取りは以下の通りです。

高村理事(手前)と橋本さんのトーク

「飢餓海峡」(1965年、内田吐夢監督)
橋本 道南はドロドロしていないイメージですが、その中で「飢餓海峡」?
高村 登場人物の中で高倉健だけが浮いています。飢餓を経験していないからです。それが内田監督の狙いでもあります。ラストの津軽海峡で流れるのは「地蔵和賛」という御詠歌です。
橋本 それも調べたんですか? 普通そういう映画の見方しませんよね(笑)。

内田吐夢監督の画面構成について解説する高村理事

 

「乳房よ永遠に」(1955年、田中絹代監督)
橋本 道央は平たい感じ。私は九州出身で、北海道に来るときは「ロシアに行くのと同じ」と送り出されました。札幌や旭川はロケ地になるのかしら。
高村 よく1本に札幌のバックグランドを入れたなというくらい。江別の町村牧場、大通公園、狸小路、建設中のテレビ塔、ドームのある札幌駅、レストランにしむら…。公開されると札幌では3週間で6万人動員の大ヒットになりました。

「北のカナリアたち」(2012年、阪本順治監督)
橋本 道北は究極の北海道。なぜ「北のカナリアたち」を?
高村 阪本監督が子供たちの成長に合わせて、北海道をうまく料理してイメージを作り上げました。
橋本 ただ、風景がいつも美しくて、そこで生きている人はもっと違う景色を見ているのでは。俳優さんが冬も手袋をしていないのがちょっと白けてしまう。
高村 DVDの映像特典のメイキングではスタッフが大変な思いをしてますよ。

北海道の自然をとらえた各作品のハイライトシーン

「遙かなる山の呼び声」(1980年、山田洋次監督)
橋本 道東はすばらしいドラマがたくさんある予感がします。
高村 道東はさいはて感が強く、寂しさや孤独の中で人間を再生するにはもってこいの場所ではないでしょうか。山田監督は「男はつらいよ 知床慕情」でも坂本長利さんが離農する場面を1シーン入れて、厳しい離農の現実を描いています。この映画では道東の雲にこだわって、ジョン・フォード監督の雲の出し方を意識した演出方法を採っています。
橋本 倍賞千恵子さんが先に出演した山田監督の「家族」にも、この映画にも「春になってそこらじゅうが緑になって、牛がもりもり草を食べて…生きていてよかったなと思う」というセリフが出てきます。冬の寒さを知っているから、このセリフが出てくるし、倍賞さんはそれを知っているから、冬も夏も別海で暮らしているんですね。山田監督にインタビューしたときも「北海道のどんなところが好きですが」とお聞きすると「うーん、北海道ね、うーん」と間があって編集が大変でしたが、それは北海道を知っているからなんですよね。
高村 今度ぜひ、「TONちゃんのシネマ大好き」をやってください。