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NPO法人北の映像ミュージアム 理事長・館長 小檜山 博

ごあいさつ

NPO法人北の映像ミュージアム
館長 小檜山 博

主役は背景、良質で多彩な北海道

 文明はどこへでも移動させることができるが、文化はその場所から動かすことはできないものである。北海道を映した映像もまた、その中におさめられた風景、思想、歴史、人間、光景、風土を含め、ここの大地だけの文化である。
 この北海道の文化を守ることを志して、この北の映像ミュージアムは生まれた。そのうち文学や音楽、絵画や演劇など何万もの文化と同質になり、北海道独自の巨大な文化になるに違いない。
 ぼくは映画が好きで、ビデオテープでだが一年に三百本は見る。たとえば「ワーロック」や「ストリートファイター」「用心棒」「駅馬車」などはもう五十回ずつ見ているが、なぜ同じ作品を五十回も見るかというと、見るたびにぼくが内容から感じ取る自分の人生が違うからだと言うしかない。
 それは見るたびに、見るぼくの心や精神のありようが違っているから、作品の中にこれまでの四十九回には捉えられなかった人生が五十回目に浮き出てくるにものに違いない。
 つまり映画はその内容に深い意味や複雑な思想があるだけでなく、その映画を見ることによって見る者の人生観の底に沈んでいる無意識の中にある、その人間の思想や心が剥きだしになり、感動としてあらわれてくると考えられるのである。
 そして映画の主役は筋や人物だけではなく、背景だ。背景が人物を動かし、心理を描き出す。
 その背景の最も良質で多彩なのが北海道だ。そこにこのミュージアムが生まれてきた根拠がある。
 映画は現代のタイムマシーンである。